「共同参画」2024年2月号

巻頭言

トップのコミットメント

「人は力、人が全て」。これは、私が一貫して拘り続けている信念です。国、社会、企業など、いずれの組織においても、組織を持続的に発展させる原動力は人です。それゆえに、組織のトップは、多様な人材が多彩に活躍できるように、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できる環境を整える責任を負っています。

その責任を果たすため、女性活躍に向けた人材育成において、私が重視していることは3つあります。まず1つ目は、リーダーを志向する意識を持たせることです。

例えば、私が女性管理職や管理職候補者に求めることのひとつに、全人格でリーダーシップを発揮する人物であれ、というものがあります。本物の信念と嘘偽りのない取組み姿勢がなければ、リーダーシップは発揮できませんし、目標は達成できません。それがリーダーシップの厳しさであり価値だということを、社内の様々な場面で繰り返し語ってきました。

2つ目は、挑戦する機会を与えることです。

例えば、女性管理職の優秀層には、各部門の中核ポスト・関係子会社の社長ポストへの抜擢や、本社役員クラスの会議体の傍聴等を通じて、経営マネジメントにかかる経験値の底上げと視座の引上げに挑戦させています。

3つ目は、挑戦する人をサポートすることです。

例えば、女性課長層に役員によるメンタリングを行っていますが、挑戦する人が孤立しないよう上司を含めた周りのサポートは重要です。同様に、男性育休100%運営や介護に向き合う全員行動等を通じて、女性に偏りがちな両立の困難さを男性が実感することも、重要なサポートのひとつだと考えます。

その上で、女性活躍を進めるために最も重要なことは、目標の設定と、トップ自らのコミットメントです。日本生命は、2030年までに女性管理職比率30%、女性部長比率10%を達成するという目標を定めて取組んできました。女性役員比率についても、政府が示したプライム市場の上場企業に対する目標である「2025年までに19%・2030年までに30%以上」を意識した取組を進めています。

そして私自身、男女共同参画会議をはじめとする社内外の様々な場で、自らのコミットメントを表明してきました。女性活躍を推進するということはすなわち、女性の活躍にとどまらず、様々な個性を持った意欲のある人材が、その能力を最大限に発揮できる社会を目指していくということであり、違いを前向きに捉え、違う感性や考え方の人同士が協力し高め合うことで、より良いものが生まれると信じることだと思います。これからも、女性活躍を含むDE&Iの推進に積極的に取り組んでいく。これは私の信念であり、誓いです。

清水 博
清水 博
Hiroshi Shimizu
日本生命保険相互会社
代表取締役社長 社長執行役員

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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