「共同参画」2024年1月号

特集2

女性に対する暴力をなくす運動 活動報告

内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課

11月12日(土)~25日(日)までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施しました。運動期間中、全国各地で実施された「パープル・ライトアップ」の様子をご紹介します。

全国各地で様々な取組を実施

今年度の「女性に対する暴力をなくす運動」では「殴る・蹴るといった身体的暴力だけが暴力ではない」というメッセージと、配偶者等からの暴力及び性犯罪・性暴力の相談窓口の周知を行いました。加藤鮎子内閣府特命担当大臣は、精神的な暴力を含め、暴力を許さないという認識を広く社会全体で共有し、暴力のない社会の実現を目指すことを呼び掛けました。女性に対する暴力の根絶を呼びかけるパープル・ライトアップは、全都道府県が参加し、過去最多の420か所以上で実施されました。さらに、全国各地でパネル展示やイベント、SNS等による広報が行われました。来年度も様々な関係者と連携し、この運動を一層推進していきます。

パープル・ライトアップ



Special introduction

特集2では、「女性に対する暴力をなくす運動」の活動報告をさせていただきましたが、各省庁においても、暴力をなくすための啓発活動や、万が一被害にあった場合の相談窓口の開設など、様々な取組を実施していますので、ご紹介させていただきます。

内閣府男女共同参画局総務課

「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」について

こども家庭庁 支援局 虐待防止対策課

11月に児童虐待防止のための集中的な広報を実施

こども家庭庁では、11月を「秋のこどもまんか月間」とし、こども・子育てにやさしい社会づくりのための各種取組を行っています。その一つとして、「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」に取り組み、児童虐待防止のための集中的な広報・啓発活動を実施しています。

令和5年11月の期間中は、「あなたしか 気づいてないかも そのサイン」(愛知県・森園紗帆さんの作品)を標語として決定し、児童虐待問題に対する深い関心と理解を得ることができるよう、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」や「親子のための相談LINE」のポスターやリーフレットの全国一斉掲示や、動画の配信、他にも、特設WEBサイトの公開やタイアップコンテンツなどの様々な取組を実施しました。


189(いちはやく)・親子のための相談LINEポスター
189(いちはやく)・親子のための相談LINEポスター


東京スカイツリー<sup>®</sup>・オレンジライトアップ
東京スカイツリー®・オレンジライトアップ


ガチャピンちゃんねる×こども家庭庁コラボ動画
ガチャピンちゃんねる×こども家庭庁コラボ動画
ⒸGM/ガチャピンちゃんねる


コラボ動画はこちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=hcJYV7BcbcU


全国フォーラムを岡山で開催 

「こどもを虐待から守るのに、理由はいらない。こどもまんなか社会の実現に向けて、みんなで一緒に考えよう。」

平成17年より全国各地で開催してきた全国フォーラムを、11月23日(木・祝)岡山県においてこども家庭庁YouTubeアカウントのライブ配信によるハイブリット形式で開催しました。特設WEBサイトにおいて、アーカイブ版を公開中ですので、是非ご覧いただき、私たちみんなの力で、児童虐待を防止し、こどもの命を守る社会を作っていきましょう。


トークショーの様子(タレントの近藤千尋さんも登壇)
トークショーの様子(タレントの近藤千尋さんも登壇)


より詳しくご覧になりたい方へ、特設WEBサイトはこちらをご覧ください。
https://kodomoshien.cfa.go.jp/no-gyakutai/

こどもを虐待から守るのに、理由はいらない。


『生命(いのち)の安全教育』について
~子供たちを性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないために~

性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為です。とりわけ、子供や若者に対する性犯罪・性暴力は、被害に遭った当事者の心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援を強化していく必要があります。

文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

生命(いのち)の安全教育とは

文部科学省では、子供たちを性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないための「生命(いのち)の安全教育」を推進しており、幼児期・小学校・中学校・高校の各段階に応じて授業等で活用できる教材や指導の手引き、大学生・一般向けの啓発資料等を公表しています。

「生命(いのち)の安全教育」では、生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動、また、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解した上で、生命を大切にする考えや、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を発達段階に応じて身に付けることをめざしています。

具体的には、

・幼児期や小学校低学年等では、水着で隠れる部分を他人に見せない、触らせない、触られたら大人に言うなど、自分の身を守ることの重要性

・小学校高学年では、自分と相手を守る「距離感」の概念や、SNSの危険性

・中学校では、小学校高学年の内容に加えて、いわゆる「デートDV」等

・高校では、中学校の内容に加えて、性暴力の実態に関するデータや、セクハラ、二次被害の予防等

について取り上げています。高校卒業前、大学、一般向けの啓発資料には、身近な被害実態や性暴力が起きないようにするためのポイント、性暴力被害に遭った場合の対応・相談先等を記載しています。

文部科学省における取組

令和3年度から、上述の教材等を活用したモデル事業を実施しており、延べ44団体(140校)の各実践校において指導モデルを作成し、その普及や展開を図るための取組を行っています。

令和4年度は、教員向け研修動画の公開及び児童生徒向け動画教材の活用等を周知しました。また、「生徒指導提要(令和4年12月改訂版)」では、新たに、性犯罪・性暴力に関する対応について、生徒指導の観点から整理し、課題未然防止教育として「生命(いのち)の安全教育」の実施を位置付けました。

今年度は、学校等における「生命(いのち)の安全教育」の実践を後押しするための取組として、教育委員会、大学等に対して、これまでのモデル事業を基に作成した実践事例集を周知し、活用を促しました。また、全国の教育委員会の「生命(いのち)の安全教育」担当者や教職員向けに、参考となる情報やノウハウの共有、また関係者のネットワーキングの機会とするため、11月17日(金)に「生命(いのち)の安全教育 全国フォーラム」を対面とオンラインによるハイブリットで開催し、約480名が参加しました。全国フォーラムでは、内閣府及び文部科学省からの行政説明、葛飾区立柴又小学校 木間校長からの基調講演、東京都、千葉市、大阪市の各教育委員会からの実践事例紹介、『「生命(いのち)の安全教育」の授業実践について』をテーマとしたワークショップを行うことにより、学校等における「生命(いのち)の安全教育」の全国展開の加速化を図りました。

さらに、今後は、新たに取り組む学校等が容易かつ効果的に授業を実施できるよう、指導過程を解説した動画の作成や、「生命(いのち)の安全教育」の全校実施を目指す教育委員会等の取組の支援などにより、更なる拡大を図ることとしています。


「生命(いのち)の安全教育」教材例
「生命(いのち)の安全教育」教材例


「生命(いのち)の安全教育 全国フォーラム」の様子
「生命(いのち)の安全教育 全国フォーラム」の様子


学校等における取組状況

今年度から、東京都(小・中学校)、福岡県(小・中学校・高校・特別支援学校)、大阪市(小・中学校)、さいたま市(小・中学校)、浦安市(小学校)等の教育委員会が性犯罪・性暴力防止のための教育の全校実施に取り組んでいただいております。

一方で、「生命(いのち)の安全教育」の教材を活用していないものも含まれますが、全国における性犯罪・性暴力防止のための教育の実施率(令和3年度実績)は、幼稚園で5.0%、小学校で37.0%、中学校では53.4%、高等学校では63.0%(※)となっており、「生命(いのち)の安全教育」を全国の学校現場に浸透させていくことが課題と認識しています。

引き続き、全ての児童生徒等が性犯罪・性暴力に対して適切な行動をとれる力を身に付けることができるよう、「生命(いのち)の安全教育」をはじめとする、性犯罪・性暴力防止のための教育が、全国の学校現場で行われるよう、強力に呼びかけてまいります。

(※)文部科学省「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査」(令和3年度実績)参照
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1339095.htm


「生命(いのち)の安全教育」教材(スライド・動画)、指導の手引き、実践事例集等は、こちらに掲載していますので、ぜひご活用ください!
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html


「生命(いのち)の安全教育」教員向け研修動画は、こちらからご視聴ください。
https://www.nits.go.jp/materials/intramural/118.html


「女性の人権ホットライン」について

法務省 人権擁護局 調査救済課

「女性の人権ホットライン」とは

法務省の人権擁護機関(全国の法務局又は地方法務局及び各市区町村にいる人権擁護委員)では、女性に対する暴力や差別、ハラスメント、いじめやAV出演被害といった女性の人権をめぐる様々な人権問題についての相談を受け付け、解決に導くための専用相談電話として「女性の人権ホットライン」(0570-070-810(ゼロナナゼロのハートライン))を開設しております。

人権問題に関するその他の相談窓口 

法務省の人権擁護機関では、女性の人権ホットラインのほか、みんなの人権110番、こどもの人権110番などの電話相談窓口や、インターネット人権相談受付窓口、LINEじんけん相談なども設置しています。人権について困ったことがあれば、ひとりで悩まずご相談ください。

人権侵害による被害者の救済事例

法務省の人権擁護機関が被害者からの救済の申出を受けて対応した救済事例の一例です。

○講師による受講者に対するセクシュアル・ハラスメント

研修の受講者が、講師から、研修中に性的な発言を受けたとして、相談があった事案です。

法務局が調査した結果、研修中に、講師が当該受講者に対し、性的な発言を行ったことが認められました。

法務局は、講師に対し、当該発言が当該受講者の意に反する性的な言動であって、セクシュアル・ハラスメントに該当することを指摘するとともに、人権尊重の理念等を説明したところ、講師からは反省の意が示されました。

○夫から妻に対する暴力・暴言

夫から暴力等を受けている妻を一次的に保護しているとして、人権擁護委員から相談があった事案です。

法務局が調査した結果、妻が夫に対して強い恐怖心を抱いていることが認められたことから、速やかに婦人相談所に情報提供を行い、必要な措置を求めました。

その結果、妻及びそのこどもは、婦人相談所に保護され、安全が確保されるとともに、関係機関による情報共有が図られ、妻らに対する支援体制を構築することができました。


令和5年度女性の人権ホットラインポスター
令和5年度女性の人権ホットラインポスター


相談窓口は、こちらをご覧ください。

女性の人権ホットライン  TEL 0570-070-810
【受付時間】
 8:30~17:15 (土・日・祝日除く)


みんなの人権110番  TEL 0570-003-110
【受付時間】
 8:30~17:15 (土・日・祝日除く)


こどもの人権110番  TEL 0120-007-110
【受付時間】
 8:30~17:15 (土・日・祝日除く)


インターネット人権相談受付窓口
https://www.jinken.go.jp/

LINEじんけん相談
https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=snsjinkensoudan

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019