「共同参画」2023年12月号

巻頭言

地方における男女共同参画のかたち

さる11月1日、内閣府で開催された「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」リーダーミーティングでファシリテーターを務めさせていただきました。大手企業の会長・社長を中心に、自治体の首長、大学の学長など、経済・行政・教育部門の男性リーダーたちが、いったいどのような議論をするのだろうかと興味を持って参加しました。「女性役員の登用」「男女賃金格差の是正」「男性育休の促進」といったテーマに真摯に向き合い、熱く意見交換される場面を見て、ジェンダーギャップ指数146か国125位(世界経済フォーラムが2023年6月に発表)の日本もまだまだ変われる!と勇気づけられました。

一方で、この「男性リーダーの会」の熱量は、日本のどこまで広がっているでしょうか。「都道府県別ジェンダー・ギャップ指数」(地域からジェンダー平等研究会)を見ると、地域によってまだまだ大きく格差があることが見て取れます。また、企業規模によって格差がさらに広がる可能性もあります。東証プライム企業が女性役員比率を2030年までに30%以上とすることを求められるようになり、各社が切磋琢磨する一方で、女性活躍推進法の対象になっていない300人以下の中小企業の取組を加速する仕組みは不足しています。地方に中小企業が多いことを考えると、地方と中央の格差は開く一方かもしれません。

兵庫県北部にある人口約8万人のまち、豊岡市では2018年に市内16事業所で経済分野のジェンダーギャップ解消をめざす「ワークイノベーション推進会議」を立ち上げました。現在では109事業所が参画、研修会や従業員意識調査、表彰制度などを通して「女性も、男性も、働きやすく、働きがいのある事業所」を目指し、経営者たちが切磋琢磨しています。同市は2021年には「ジェンダーギャップ解消戦略」を策定、経済分野だけでなく地域コミュニティや教育分野のリーダーも巻き込みまちをあげてジェンダーギャップ解消を推進しています。

地方の隅々まで男女共同参画を加速していくためには、全国各地で豊岡市のように中小企業経営者や地域のリーダーとともに本気でジェンダーギャップ解消を促す仕組みを構築することが重要な鍵となるでしょう。

小安 美和
小安 美和
Miwa Koyasu
株式会社Will Lab
代表取締役社長

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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