「共同参画」2023年8月号

トピックス1

こども・若者の性被害:現状と周りの大人ができること

内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課


こども・若者の性被害に関する状況

性犯罪・性暴力は、被害者の心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であって、断じて許すことはできません。これまで、こども・若者の性被害防止については、「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」や「子供の性被害防止プラン2022」に基づき、対策が進められてきましたが、依然、多くのこどもや若者が性犯罪・性暴力の被害に遭っています。

警察庁の「犯罪統計資料」によると、2022年の強制性交等罪の認知件数(1,655件)のうち、被害者が20代以下が8割以上、10代以下に限っても4割以上を占めています。また、こども・若者が被害者となる強制性交等罪の認知件数は増加傾向にあり、0-12歳では、2018年に比べ2022年は1.4倍以上となっています。


<強制性交等罪の認知件数>
被害者の年齢層別割合(2022年)
<強制性交等罪の認知件数>被害者の年齢層別割合(2022年)


被害者の年齢層別の推移 (2018年=100)
被害者の年齢層別の推移 (2018年=100)
「犯罪統計資料」より、内閣府男女共同参画局作成


被害の相談状況

深刻な被害がある一方で、必ずしも相談につながっていない現状があります。

内閣府の調査で、性交を伴う被害の相談状況について聞いたところ、被害に遭っても、半数以上はどこ(だれ)にも相談していないこと、また、相談した人の相談先は身近な人(①友人・知人、②家族や親せき)が多いことがわかりました。


<【性交を伴う性暴力被害】性暴力被害の相談状況について>
相談した人・機関(複数回答)、最初に相談した人・機関
<【性交を伴う性暴力被害】性暴力被害の相談状況について>相談した人・機関(複数回答)、最初に相談した人・機関

「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」報告書 (令和4年3月 内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/r04_houkoku.html
※上記グラフは、報告書の本体p55に掲載されています。


被害を打ち明けられたら

被害を受けた方にとって、相談をする相手というのは、安心や信頼感を与えることができる重要な存在です。特にこども・若者が被害者である場合は、周りの大人や、身近な人による適切な対応が求められます。

<周りの大人・身近な人にできること>

●被害者の安全を確保して、本人の同意を得たうえで、被害者の身体に傷等がないか確認してください。

●「話してくれてありがとう」、「あなたは悪くない」と繰り返し伝えてください。

●信じて話や気持ちを丁寧に聞き、そのまま受け止めてください(ただし、こどもの記憶への影響等を避けるため、こどもには聞きすぎず、すぐに専門家に繋ぐことも大事です)。

●あなた自身のこころとからだにも気を配り、無理をしないでください。

<周りの大人・身近な人に気を付けてほしいこと>

●「そんなことありえない」等、被害者の話を疑ったり、否定したりしないようにしましょう。

●「あなたも悪かった」「あなたが不注意だった」「~しなければよかった」等、被害者の落ち度を責めないでください。

●「たいしたことない」「早く忘れてしまえばよい」等、被害を軽いものとして扱ったり、無理に忘れさせようとしないようにしてください。

被害は性別を問わず起こり得ます

「男性や男児が性被害にあうはずがない」「男性なら抵抗できるはず」。このような思い込みをしていませんか。被害は性別にかかわらず誰にでも起こりえます。望まない性的な行為は性暴力です。


男性の性被害に関する啓発動画はこちら
(男女共同参画推進連携会議作成動画)
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/jisedai/jisedai14.html
男女共同参画推進連携会議作成動画


相談できる窓口があります

年齢・性別を問わず、また、どのような状況に置かれたこども・若者であっても、性犯罪・性暴力の被害は根絶していかなければなりません。また、被害を受けた方々やその保護者がためらうことなく被害を訴え、相談をし、心理的サポートを含む適切な支援を受けられるようにしていくことが必要です。

下記の相談窓口では、専門の相談員が相談を受け付けています。一人で悩まず、相談してください。年齢・性別を問わず、相談できます。

<性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター>

緊急避妊薬の処方や性感染症検査、証拠採取などの医療的支援、相談・カウンセリングなどの心理的支援、警察への同行支援、弁護士など専門家を紹介する法的支援などを行います。「#8891(はやくワンストップ)」に電話をかければ最寄りのワンストップ支援センターにつながります。


全国のワンストップ支援センター一
#8891
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html


性犯罪の被害に遭われた方が相談しやすい環境を整備するため、各都道府県警察では、性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」を運用しています。ダイヤルすると、発信された地域を管轄する各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります。


性犯罪被害相談電話全国共通番号
#8103
https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html


SNS相談Cure time(キュアタイム)から、チャットでも相談できます。プライバシーに配慮し、秘密は厳守します。安心してご相談ください。


性暴力に関するSNS相談
「Cure time」(キュアタイム)
https://curetime.jp/

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
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