「共同参画」2023年7月号

特集2

令和5年版男女共同参画白書

内閣府男女共同参画局総務課調査室

令和5年版男女共同参画白書が、6月16日に閣議決定・公表されました。この白書は、「男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)」に基づいて国会に毎年報告されるもので、法定白書としては通算で24回目となります。


男女共同参画白書


若い世代を中心に、男女ともに、家事や育児と仕事の両立を希望する人が増えていますが、昭和時代から続く、長時間労働を前提とした労働慣行、固定的な性別役割分担意識等がこの実現を阻んでいます。

今回の白書では、このことについて、各種統計データや新たに実施した調査結果等を用いて分析したうえで、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会、「令和モデル」の実現に向けて優先すべき課題について考察しています。

以下、特集のポイントをご紹介します。

Ⅰ 働き方や就業に関する意識の変遷、家事・育児等・働き方の現状と課題

我が国では、平成の前半まで、有業女性の約6割が第1子出産後、退職していましたが、これまでの官民の積極的な取組により、第1子出産後も就業継続する女性が増加し、直近では、約7割が就業を継続しています。しかしながら、1日の時間の使い方のデータからは、依然として有償労働(仕事)時間が男性、無償労働(家事関連)時間が女性に大きく偏っていることが分かります(図1)。


図1 時刻区分別行動者率(平日、令和3(2021)年)
図1 時刻区分別行動者率(平日、令和3(2021)年)


労働時間に目を向けると、男性では、働き盛りと言われる30代後半から50代前半で、他の年代と比較して労働時間が長くなっていますが、女性では、子育て期と重なることもあり、労働時間が短くなっています。このような背景もあり、令和4年に内閣府で実施した世論調査では、女性の8割以上が「育児や介護、家事などに女性の方がより多くの時間を費やしていることが、職業生活における女性の活躍が進まない要因の一つである」と回答しています。

Ⅱ 根付きつつある新たな生活様式・働き方

このような中、若い年代の意識は大きく変化しつつあります。令和4年度に内閣府で実施した意識調査では、家事・育児等を「自分が率先してすべきことである」と回答した割合について、50~60代では、女性が男性を10%ポイント以上上回る一方、20代では、男女差はほとんど見られませんでした。(図2


図2 家事・育児等への考え方(自分が率先してすべきことである)
図2 家事・育児等への考え方(自分が率先してすべきことである)


また、子供のいる20~30代の男性では、「家事・育児時間を増やしたい」が3割、「仕事時間を減らしたい」も3割となっています。若い男性の家事・育児への参画意欲は高まっているものの、労働時間の長さが、男性の家事・育児参画を阻んでいることが推察されます。

さらに、仕事での昇進等への20代時点での考え方について、男性ではあまり年代差はありませんが、女性では若い年代ほど、「この仕事を長く続けたい」、「昇進できる」、「いずれは管理職につきたい」と考える割合が大きくなっています。男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などの法整備等の成果が表れてきているものと推察されます(図3)。


図3 仕事の継続希望、昇進希望(20代時点での考え方)
図3 仕事の継続希望、昇進希望(20代時点での考え方)


Ⅲ 「令和モデル」の実現に向けて

我が国の未来を担う若い世代が、理想とする生き方、働き方を実現できる社会を作ることこそが、今後の男女共同参画社会の形成の促進において、重要です。このことは、単独世帯、ひとり親世帯、共働き世帯の増加等、家族の姿が変化し、人生が多様化する中、全ての人が活躍できる社会の実現にもつながります。

そのためには、若い世代の意識の変化を認識し、時代に合わなくなっている慣行等を変えていかなければなりません。白書では、「男性は仕事」「女性は家庭」という、いわゆるサラリーマンの夫と専業主婦から成る家庭を前提とした制度、固定的な性別役割分担を前提とした長時間労働や転勤を当然とする雇用慣行等を「昭和モデル」、職業観・家庭観が大きく変化する中、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会への変革が実現した姿を「令和モデル」と称しています。そして、「令和モデル」の早期実現に向けて、特に優先すべきこととして、①誰もが、希望が満たされ、能力を最大限に発揮して仕事ができる環境の整備、②仕事と家事・育児等のワーク・ライフ・バランスが取れた生活を行うことができること、その前提としての③女性の経済的自立を挙げています。

「令和モデル」の実現に向けて


令和5年版男女共同参画白書は男女共同参画局のHPに掲載しています。
こちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/index.html

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019