「共同参画」2023年7月号

巻頭言

グローバル企業から全国津々浦々まで女性活躍を

 東京証券取引所のプライム市場(グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場)に上場する企業を対象に、女性役員比率の数値目標が「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」によって設定されたことが話題になっています。いまだに女性役員が1人もいないプライム上場企業が約2割にのぼっており、2025年を目途に1名以上選任する取組みが進められます。また、2030年までに女性役員比率30%以上を目指すとされ、企業にはそれらのための行動計画の策定が推奨されることになります。

 女性取締役が1人もいなかったり一定割合以上いなかったりする会社については、株主総会で社長・会長の取締役選任議案に反対する方針を最近の機関投資家や議決権行使助言会社は持つようになっています。資本市場においても経営者層の多様化が企業の持続的成長のために不可欠と考えられるようになっており、各企業には人材パイプラインの構築や指導的地位に立つ女性の育成を加速させることが期待されます。

 また、今年の女性版骨太の方針では、女性活躍を支える各地の男女共同参画センターの機能強化や、独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)が男女共同参画基本計画に定める施策全般の事業を展開できるようにするための法案提出を目指すことも掲げられました。男女共同参画社会の形成は、グローバル企業の経営といった領域だけでなく、全国津々浦々で促進されなければならないことは言うまでもありません。

 筆者は、2022年12月から2023年4月にかけて開催された「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ」の座長を仰せつかりました。例えばセンターには、職員の継続的な人材育成や専門性の高い人材の確保が難しい、自治体部局や他のセンターとの連携が不十分である、地域の事業ニーズを把握するためのノウハウが不足している、職員の待遇面などで体制が脆弱である、といった多くの課題があります。

 そこでワーキング・グループでは、センターとNWECについて今こそ必要と考えられる施策を報告書として4月11日にとりまとめました。センターが各地域の課題に応じた役割をこれまで以上に果たしていけるよう、また、NWECが様々な事業を行う「ナショナルセンター」に、そして各地のセンターを強力にバックアップする「センターオブセンターズ」に進化していけるよう、皆様からの応援をぜひ宜しくお願いいたします。

株式会社大和総研 執行役員男女共同参画会議議員 鈴木 準
株式会社大和総研 執行役員
男女共同参画会議議員
鈴木 準

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