「共同参画」2023年5月号

特集1

令和5年3月27日に「政治分野への女性の参画拡大に向けたシンポジウム」を開催しました

内閣府男女共同参画局推進課

シンポジウムの開催の経緯と目的

政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点から極めて重要です。

日本の衆議院及び参議院に占める女性議員の割合はそれぞれ10.0%(令和5年2月13日時点)、26.0%(令和5年3月30日時点)であり、他のG7の国々では3割から4割(令和5年1月1日時点)であることと比較して、非常に低い水準にあります。

また、近年、地域における人口減少や高齢化が進行する中で、女性の政治参画の拡大は、議員のなり手不足の解消にも資するとの観点から、本シンポジウムを開催しました。

基調講演~多様性ある地方議会へ~

駒澤大学教授の大山氏は、地方議会は住民代表機関として多様な民意を代表する必要があり、そのためにまずは女性議員を増やすことが第一歩であること、地方議会は女性議員が活躍できる議会の在り方を積極的に考える必要があるとともに、例えば、政党は候補者養成・支援など、首長・行政は有権者教育など、地域社会は地域リーダーの育成など、市民は啓発活動や立候補支援など、各主体がそれぞれの役割を果たすことが重要であること、等を述べました。

また、女性や若者など平均的議員像とは異なる候補者に投票する可能性を高める制限連記制の採用、新人の立候補者の主張を有権者に伝えられるようにするための選挙運動期間の延長など、地方議会の選挙制度改革が多様な層の参加を促し、投票率を上げる上でも大変重要と述べました。

所属 氏名


パネルディスカッション第一部
 ~政治分野におけるハラスメントの防止、議員活動と家庭生活の両立について~

コーディネーター 上智大学法学部教授 三浦 まり氏
パネリスト 茨城県取手市議会事務局次長 岩﨑 弘宜氏
神奈川大学経営学部教授 杉田 弘也氏
Stand by Women代表 濵田 真里氏
福岡県議会事務局副理事兼法務監 安武 弘光氏

福岡県における全国初の議員や候補者へのハラスメント防止条例や、オンライン議会を始めとする取手市議会の取組の紹介があった後、豪州議会の事例、民間の支援活動の状況などの様々な角度から議論がなされました。各登壇者の主な発言は、以下のとおりです。

茨城県取手市議会事務局次長 岩﨑弘宜氏
(岩﨑氏)

  1. 議員は住民の方に出向いて対話し、議会改革を進める意識づくりが重要。
  2. 議会でのオンラインの活用は、育児、介護等と議会活動の両立に有効。

神奈川大学経営学部教授 杉田弘也氏
(杉田氏)

  1. 豪州では託児所の設置や議会開始時間の見直しが行われている。
  2. 議会の制度と政党・政治家の意識の両方を変えていくことが必要。

Stand by Women代表 濵田真里氏
(濵田氏)

  1. 子育て中の女性が立候補しにくい状況の改善が必要。
  2. 地方議員の場合、秘書がいない場合が多く、(ハラスメント対応について)第三者が介入する取組が必要。

福岡県議会事務局副理事兼法務監 安武弘光氏
(安武氏)

  1. ハラスメント防止について、議員に対する研修だけでなく、若い方への公人教育が必要。それによって若い方の政治に対するものの見方が変わってくるのではないかと期待。

上智大学法学部教授 三浦まり氏
コーディネーター
(三浦氏)

  1. ハラスメント防止について、英国のように相談と調査、処分の機能を完全に分化させた専門体制を置き、その後も、制度運用の実態調査⇒勧告⇒手直しといった仕組みの構築が重要。
  2. 家庭内の責任が男性よりも重い女性の状況を踏まえた社会的な支援の在り方を考えていく必要がある。

パネルディスカッション第二部
 ~政治分野への女性の参画拡大をどのように進めるか~

コーディネーター 駒澤大学法学部教授 大山 礼子氏
パネリスト 大正大学社会共生学部
公共政策学科教授
江藤 俊昭氏
Earth Guardians Japan代表 川﨑 レナ氏
神奈川大学経営学部教授 杉田 弘也氏
地域政策塾21代表 寺島  渉氏
上智大学法学部教授 三浦 まり氏
一般財団法人村上財団代表理事 村上  玲氏
徳島県未来創生文化部次長
(こども・青少年担当)
脇田喜見枝氏

飯綱町議会における「政策サポーター制度」等や、徳島県における「とくしまフューチャーアカデミー」といった取組の紹介があった後、議会、行政、市民それぞれにおいて何ができるかといった観点で議論がなされました。

女性の政治参画の拡大に向けて何が必要かについて、各登壇者の主な発言は、以下のとおりです。

大正大学社会共生学部 公共政策学科教授 江藤俊昭氏
(江藤氏)

  1. 意識改革≦制度改革。意識は制度の後からついてくる。議会とともに行政・市民が積極的に取り組むことが大事であり、選挙のシステム等を主権者教育に位置付けていくことも重要。

Earth Guardians Japan代表 川﨑レナ氏
(川﨑氏)

  1. 女性政治家等のロールモデルと若い世代との交流と対話が重要。そのためには、心理的安全性を確保することが重要。

神奈川大学経営学部教授 杉田弘也氏
(杉田氏)

  1. 女性の政治進出の障壁は、女性の問題ではなく、特に男性の意識の問題ではないかと考えており、男性の意識を変えていくことが必要。

地域政策塾21代表 寺島渉氏
(寺島氏)

  1. 審議会委員への女性の登用等により、女性議員の予備軍を増やすことが大事。
  2. 全国の都道府県の町村議会議長会などが積極的に議員の養成に取り組むべき。
  3. 地域社会に女性が活躍できる基盤をつくる地域民主主義の充実が重要。

上智大学法学部教授 三浦まり氏
(三浦氏)

  1. 女性議員を増やすのは通過点。その先にどういう民主主義を目指すのかという議論が欠かせない。
  2. 議員の多様性の確保のために政党交付金の使い方をどう変えられるかなど、国会における議論の促進が不可欠。

一般財団法人村上財団代表理事 村上玲氏
(村上氏)

  1. 1人区の問題や被選挙権の引下げなど選挙制度を改革し、女性や若者などがチャレンジしやすい環境づくりが必要。

徳島県未来創生文化部次長 >脇田喜見枝氏
(脇田氏)

  1. ジェンダーギャップを解消するための意識改革、自ら行動する人材の育成、向上心ある人同士をつなぐネットワーク形成が重要。その機会の創出・支援が行政に求められている。

駒澤大学法学部教授 大山礼子氏
コーディネーター
(大山氏)

    最後に、コーディネーターの大山氏から、女性に限らず男性も、若い方も高齢者も、ぜひ行動していただきたい。それによって日本の政治が地方から変わっていくことを期待したい、との締めくくりの言葉があり、パネルディスカッションは終了しました。

詳細は、こちらを御覧ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwXND8_Qn55p3ioWZDzNGXdsWiZYCezVw


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