「共同参画」2023年3・4月号

特集3

G7各国の男女共同参画の取組
-2023年G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当会合によせて-
内閣府男女共同参画局総務課

G7ロゴマーク

2023年、日本はG7の議長国を務めます。5月19日(金)~21日(日)には、広島県広島市でサミット(主要国首脳会議)が開催され、6月24日(土)・25日(日)には栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が開催される予定です。

G7各国の駐日大使館の御協力のもと各国の男女共同参画・女性活躍に関する現状や取組状況について紹介する本特集について、2回目となる今回はアメリカとカナダの取組を紹介します。


アメリカ国旗アメリカの取組


駐日米国大使館特命全権大使 ラーム・エマニュエル
駐日米国大使館特命全権大使
ラーム・エマニュエル

女性・平和・安全保障(WPS)の推進- 米国の取組

米国は、女性が完全、平等、効果的かつ有意義な形で生活のあらゆる側面に関与することが、より平和で繁栄した安全な社会を構築する上で不可欠であると確信している。バイデン大統領が述べたように、「私たちは国の半分を置き去りにして前に進むことはできない」。ホワイトハウス、連邦議会、シカゴ市長という公職に身を置く中で私が常に訴えてきたのが、女性のインクルージョンだ。変化は難しい。そして、このような考えが主流となるよう社会の中で意識の転換を促進していくには時間がかかる。だが、私たちはそれを実践している。なぜなら、それは正しいことであり、性別に関係なく、誰もが自分のため、家族のため、そして国のために、より安全な社会をつくる機会を与えられて当然だからだ。日本はG7議長国として、各国が女性とジェンダー視点を国の安全保障体系に反映する枠組みである女性・平和・安全保障(WPS)を推進するまたとない機会を手にしている。それにより、喫緊の国防、経済、社会の優先課題へ取り組めるよう、より安全で持続可能な環境をつくることができる。

ウクライナの勇敢な女性リーダーたち

ウクライナではロシア侵攻後、女性があらゆる前線で勇敢さを示し続けている。兵士として戦闘に参加し、地域サービスを率先して行い、資金を集め、家業を切り盛りし、前線にいる人々に必需品や医療品を届け、同胞の勇気ある行動に光を当てようと声を上げ、国の防衛に貢献している。彼女たちは、このような人々のニーズに応えようと、横断的なアプローチをとり、支援ネットワークを構築してきた。また、ウクライナの地域社会に対して強くあるよう鼓舞し、ロシア軍の残虐行為に抵抗するよう励ますことで力を発揮してきた。このようなとてつもない難題に直面する中で発揮された彼女たちのリーダーシップを頭に、女性が紛争後の復興時にウクライナにもたらすプラスの影響と貢献を想像してほしい。

女性は社会にプラスの変化をつくり出す必要不可欠な主体者

WPSとは共通課題と域内のテーマを結び付ける組織であり、そこからより適応性のある、強靭で女性主体の解決策が生み出される。人口の半分を脇に追いやるような国は、国が持つ潜在能力を十分に発揮することはできない。女性や少女は、域内を安定させる解決策において必要不可欠な主体者であることが往々にして見過ごされる。これは特に、無法者が民主主義や人権、ルールに基づいた国際秩序を弱体化させるような場合において起こる。ジェンダー視点を主流化させ、女性が安全保障、政府、市民社会に有意義に関与していくことを推進する取り組みは、よりインクルーシブな社会をつくり出し、平時でも有事でも、あらゆる人々が意思決定プロセスに平等に関与できるようにするものだ。このような関与の拡大は、女性だけでなく、社会や国全体にとっても、より有意義で持続可能な結果へとつながっていくのだ。


カナダ国旗カナダの取組


駐日カナダ特命全権大使 イアン・マッケイ
駐日カナダ特命全権大使
イアン・マッケイ

ジェンダー平等と女性のエンパワーメント

カナダが目指している世界は、全ての女性と少女が尊重され、権限を持ち、自分の人生を自分でコントロールし、意思決定に全面的に参加し、さらには経済発展に貢献してその恩恵を得られる世界です。このビジョンを実現するため、カナダ政府は国内外で多種多様な取組を通じて、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを進めています。

国内では25年以上にわたり、“Gender-based Analysis Plus (GBA+)” を意思決定に取り入れて、多様なニーズを反映した公共政策を構築するよう努めています。GBA+とは、特定の要因(ジェンダー、人種、宗教、年齢、精神または身体の障がいなど)が政府の方針や施策の効果にどのように影響しているかを評価する手法です。

また、カナダではジェンダーに基づく暴力が依然としてジェンダー平等を達成する上での障害になっていることから、カナダ政府は2022年、「ジェンダーに基づく暴力廃絶に向けた国家行動10カ年計画」を発表しました。また同年、国政史上初となる、LGBTの人々の権利と平等を推進するための「連邦アクションプラン」も始動しました。

LGBTの人々の権利と平等を推進するための「連邦アクションプラン」の始動を宣言するトルドー首相とイエン女性・ジェンダー平等・青少年担当大臣(2022年8月)
LGBTの人々の権利と平等を推進するための「連邦アクションプラン」の始動を宣言する
トルドー首相とイエン女性・ジェンダー平等・青少年担当大臣(2022年8月)

カナダでは、女性が無給の家事や育児・介護に費やす時間が男性に比べて一日当たり2.5時間多いことから、労働市場に参加しにくくなっています。長年続いているこの状態を解消するため、カナダ政府は、女性の就労を増やし、家族を支援して、2026年3月までに託児所を一日当たり平均1,000円で利用できるようにすることを目指して、幼児教育と保育への戦略的な投資を開始しました。

対外的には総合的な「フェミニスト外交政策」に基づいて、人権、ジェンダー平等、ダイバーシティ&インクルージョンを全ての国際的な施策の核心要素としています。たとえば、カナダの「フェミニスト国際援助政策」では、ジェンダーギャップの解消、ジェンダー平等の障壁の排除、持続可能な開発目標達成の支援につながる投資に重点を置いています。また、「貿易多様化戦略」の一環として、女性をはじめより広範な人々に恩恵と機会が共有される、インクルーシブな取組を進めています。エング国際貿易大臣は先頃、女性経営者のみで構成される貿易ミッションを率いて日本を訪れました。国際的な安全保障に関しては、カナダは世界規模の「女性と平和・安全保障」の課題に深く関与しています。

カナダの女性経営者のみで構成された貿易ミッション訪日の際に開催された科学・技術・工学・数学分野の女性に関するパネルディスカッションの様子(2022年12月)
カナダの女性経営者のみで構成された貿易ミッション訪日の際に開催された
科学・技術・工学・数学分野の女性に関するパネルディスカッションの様子(2022年12月)

駐日カナダ大使のメッセージ

昨年カナダが任命した在大阪と在広島の名誉領事はいずれも女性で、これによって日本国内のカナダ名誉領事が初めて男女同数になったことを誇りに思います。

「自由で開かれたインド太平洋地域に資する日加アクションプラン」と「インド太平洋戦略」によって、カナダでは前向きな気運が高まっています。カナダはこの機会を生かし、日本が今年G7議長国を務めることも踏まえて、女性の権限強化に向けて日加の連携を強化し、協力していきます。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019