「共同参画」2023年2月号

トピックス1

第3回DV対策抜本強化局長級会議
男女間暴力対策課

第3回DV対策抜本強化局長級会議を開催しました

昨年12月26日、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)を議長とする第3回DV対策抜本強化局長級会議がオンラインで開催されました。

DV被害者への支援制度は各府省にまたがっており、被害者が直面する生活再建の困難を改善し、自立の円滑化を図るためには、各府省が連携して取り組んでいく必要があります。

そこで、昨年8月に開催された第2回会議では、内閣府が実施したDV被害者支援を行う配偶者暴力相談支援センター及び民間シェルター等へのアンケート調査の結果を踏まえ、生活再建に必要な手続の見直し等について、論点が整理されました(第2回会議については「共同参画」令和4年10月号を参照)。

その後、各府省において、論点の具体化に向けた検討が進められ、第3回会議において、DV被害者の生活再建支援の強化について、抜本強化策が取りまとめられました。

本強化策は、経済的支援、就業、社会保険、住宅、子育て、母子生活支援施設等、住民票等の証明書、支援体制の強化の8項目32件にわたる取組で構成されています(概要は次頁を参照)。このような、配偶者暴力相談支援センター等からのアンケートにより、意見を伺い、対策を取りまとめることは、配偶者暴力防止法の施行以来、初の取組です。

また、本強化策に基づき、令和4年度内に、手続の見直し等に関する各制度所管府省からの通知等に加え、内閣府から全体の概要を整理し、各地方公共団体の配偶者暴力対策所管部局に向けて一括通知を行います。

更に、第3回会議においては、非同棲交際相手からの暴力、いわゆる「デートDV」への対応について、内閣府から説明しました(概要は次頁のリンク先を参照)。

デートDVは、刑罰法令による加害者への処罰やストーカー事案にもなりうる行為であり、許されない行為です。

このような前提を明らかにし、地方公共団体におけるデートDVの被害者支援の充実を図るため、令和4年12月、内閣府において、「ストーカー被害者支援マニュアル」を改訂しました。

改訂したマニュアルは、令和4年度内に、地方公共団体等に配布される予定であり、相談支援などにおいて活用されます。

会議の場では、小倉内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から「本日取りまとめた対応は、現在検討を進めている配偶者暴力防止法の見直しとあいまって、DV被害に苦しむ方々を守り、支援するための手立てを大きく前進させるものであると考えています」、「被害者の置かれた現状に十分に思いを馳せ、なお一層の御尽力をお願いします」との発言がありました。


小倉内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
小倉内閣府特命担当大臣(男女共同参画)


また、DV対策の抜本強化に向けては、配偶者暴力防止法の改正法案の早期の国会提出に向けた準備も進められています。


配偶者からの暴力の被害者に係る生活再建支援の強化について(概要)
令和4年12月26日
DV対策抜本強化局長級会議
〇配偶者からの暴力の被害者の生活再建の支援を強化するため、8項目32件にわたる取組を行うこととし、本取りまとめを受け、令和4年度内に、見直し等に関する各制度所管府省からの通知等に加え、内閣府男女共同参画局から全体の概要を整理し、各地方公共団体の配偶者暴力対策所管部局に向けて一括して通知を行う。

(1)経済的支援
 被害者が新たな生活を始めるにあたり、当面必要となる生活資金の確保を支援するため、以下の取組を進める。

  1. 被害者が利用できる経済的支援について、一覧表に整理し、配偶者暴力相談支援センター等への周知を図る。
  2. 被害者に対し生活保護を適用するに当たり、扶養能力調査の在り方、実施責任及び世帯の認定等に関し、留意すべき事項を改めて整理し、再度周知を行う。
  3. 児童扶養手当の遺棄の認定事務においては、被害者である場合でも、本人の申立書及び遺棄調書以外の書類の提出を求めていない旨について、周知を行う。

(2)就業
 被害者の抱える困難を踏まえ、被害者一人一人の状況に応じた被害者に対する就業支援を促進するため、以下の取組を進める。

  1. 配偶者から暴力を受け、加害配偶者との同居を避けるため住所又は居所を移転したことにより離職した場合について、雇用保険制度上の特定理由離職者として取り扱う方向で整理し、通知を発出する。
  2. 被害者について、その配偶者から1年以上遺棄されている状態が継続すると見込まれるときは、「ひとり親」として扱われる場合がある旨について、周知を行う。
  3. 配偶者等から経済的援助を受けていない場合は、世帯収入要件の「同居の又は生計を一にする別居」に含まれない旨を明記した「訓練受講のしおり」を積極的に活用し、求職者支援制度の周知を継続的に行う。
  4. プライバシーの保護等に留意しつつ、被害者の就業ニーズに配慮できる企業への職業紹介、都道府県をまたぐ広域職業紹介、きめ細かな職業相談等の具体的な取組内容を整理し、通知を発出する。
  5. 求職者(被害者)のニーズを的確に把握し、労働市場の状況や求められる人材・スキル等を踏まえた適切な職業訓練のあっせんを行い、訓練受講前の段階から就職まで、一貫した支援を引き続き行う。
  6. 子育て中の女性などが職業訓練を受講しやすいように、託児サービス付きの訓練コースの設定を推進する。

(3)社会保険(雇用保険を除く)
 被害者が安心して社会保険制度を利用できるようにするため、以下の取組を進める。

  1. 医療保険関係事務及び年金関係事務における被害者の保護に関する証明書に関し、行政機関又は関係機関と連携して配偶者暴力の被害者支援を行っている民間支援団体による確認書の取扱いについて、どの範囲までを対象とすることが適当か検討し、必要な取扱いを示す。
  2. 秘密保持を図っていること、被害者の離脱手続について被害者に配慮した取扱いをしていることについて、周知を行う。
  3. 被害者が被扶養者等から外れるまでの間は保険診療による受診が可能であることを周知するとともに、被保険者宛の医療費通知の記載事項等について、保険者において適切な対応が図られるよう、必要な取組を実施する。
  4. 国民年金保険料の特例免除の取扱いについて、被害者に有効に伝わるよう、周知を行う。
  5. 被保険者による届出の提出を待たずに被害者を被扶養者等から外すことができる「一定期間」の考え方や、被害者が被扶養者等から外れる場合における被保険への通知の取扱いについて検討し、周知を行う。

(4)住宅
 被害者が自立して生活するための基盤である被害者の居住の安定を図るため、以下の取組を進める。

  1. 公営住宅における被害者の優先入居や目的外使用の活用の促進を図るよう、制度を周知するとともに、被害者等の入居を拒まないセーフティネット登録住宅制度を推進する。
  2. 公営住宅等への入居に関し、地方公共団体における配偶者暴力相談支援センター等との連携事例を調査・整理し、周知を行う。また、地方公共団体における公営住宅の空き室等の問合せ窓口及びセーフティネット登録住宅の情報提供システムについて、周知を行う。

(5)子育て
 被害者の自立支援を図る中で子育ての負担を軽減するため、以下の取組を進める。

  1. 保育所等の保育料、優先入所、保育認定等及び生活再建のための手続を行う際に必要となる一時預かりの利用について、制度の周知を行う。
  2. 「配偶者からの暴力の被害者の子どもの就学について(通知)」を踏まえた取組が行われるよう周知を図った上で、引き続き、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実の支援を含めた学校における相談体制の強化を図る。
  3. 自治体における親子交流の実施に必要な費用を補助する。

(6)母子生活支援・女性相談支援センター・女性自立支援施設
 被害者への相談支援や保護、自立支援を担う母子生活支援施設・女性相談支援センター・女性自立支援施設等に関し、以下の取組を進める。

  1. 母子生活支援施設の入所に関する手続に関し、円滑な利用を可能にするよう、また、申し込みに必要な書類を児童福祉法及び同法施行規則を踏まえて必要最小限なものとなるよう、自治体や施設の運用実態を把握の上、通知を発出する。
  2. 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が円滑に施行されるよう、ガイドライン等を策定する。
  3. 婦人相談所一時保護所及び婦人保護施設に対し、医師及び心理療法担当職員の配置等に必要な費用を補助することで、困難な問題を抱える女性に対する医学的又は心理学的な援助の促進を図る。

(7)住民票・戸籍謄本・地方団体が発行する証明書
 被害者が行政手続を円滑に行う観点から、以下の取組を進める。

  1. マイナンバーカードの住所地市区町村以外の市区町村(居所地)を通じた申請・交付手続について、個人番号カードの交付等に関する事務処理要領等に基づき実施するとともに、コンビニ交付等における証明書交付サービスについて、引き続き、さらなる普及に取り組む。
  2. 住民票の写しの請求者の住所以外の場所への送付について、請求者に直接手交した場合と同様に評価できる場所に限り送付する。
  3. 運用において、委任状の活用により配偶者暴力相談支援センターの職員の心理的負担が解消される方法で戸籍謄本等の代理請求を行うことが可能であることについて、周知を行う。

(8)支援体制の強化
 被害者の支援体制の強化を図るため、以下の取組を進める。

  1. DV相談プラスにおいて、令和4年度内に、全国の配偶者暴力相談支援センターの相談員等を対象に経験豊富な相談員が助言・情報提供等を行う「ヘルプデスク」(仮称)を試行実施し、当該機能の今後の運用の在り方を検討する。
  2. 「DV被害者の非対面交渉等の推進モデル事業」(仮称)を実施し、その課題等を整理し、効果を検証する。
  3. 法テラスにおいて、日本弁護士連合会・各弁護士会と協議し、DV等被害者法律相談援助の実施状況を踏まえた協力依頼等を行うなど、DV等被害者支援の経験や理解のある弁護士を確保する。
  4. 内閣府・法務省・法テラスにおいて、日本弁護士連合会と連携し、各地域の配偶者暴力相談支援センター・法テラス地方事務所・弁護士会の間における、相談希望者を弁護士につなぐための情報共有や連携の在り方について、通知を発出する。

非同棲交際相手からの暴力(いわゆる「デートDV」)への対応については、
こちらを御覧ください
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/dv03-k_03.pdf

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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