「共同参画」2023年2月号

特集3

G7各国の男女共同参画の取組
-2023年G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当会合によせて-
内閣府男女共同参画局総務課

G7ロゴマーク

2023年、日本はG7の議長国を務めます。5月19日(金)~21日(日)には、広島県広島市でサミット(主要国首脳会議)が開催され、6月24日(土)・25日(日)には栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が開催される予定です。

今後3回にわたり、G7各国の駐日大使館の御協力のもと各国の男女共同参画・女性活躍に関する現状や取組状況について紹介していきます。


ドイツ国旗ドイツの取組


駐日ドイツ連邦共和国大使 クレーメンス・フォン・ゲッツェ
駐日ドイツ連邦共和国大使
クレーメンス・フォン・ゲッツェ

ジェンダー平等はドイツで大変重視されているテーマです。ドイツ政府は、男女がともに多様性を発揮し、充実した人生を送るため均等な機会を得ていくことを目指しています。

2020年代末までに国内でジェンダー平等が達成されることを目標に、外交、開発協力、財務、労働、デジタル等の政策分野において、省庁横断的にフェミニズム的政策アプローチを追求しています。ジェンダー正義は普遍的人権であり、社会全体の課題であると認識しているのです。

政府は国際的にもジェンダー平等に取り組んでおり、国連、EU、G7、G20を最も重要なパートナーととらえています。ドイツのG7議長国期間中の2022年10月、ベルリンでG7男女共同参画担当大臣会合が開催され、世界中で女性や女児が依然、自らの権利を求める闘いを強いられ、国際社会の全面的な支援を必要としている現状に焦点があてられました。

集合s真

ドイツ政府はジェンダー平等強化に向け様々な取組を行っており、ここでは3つの例をご紹介します。


連邦ジェンダー平等財団

2021年、「連邦ジェンダー平等財団(Federal Foundation for Gender Equality)」が設立されました。活動の趣旨は、ドイツにおける男女平等の促進と、連邦、州、市町村、市民社会、学術、企業間のネットワーク構築であり、先進的「知的ハブ」としてさまざまな情報を整理し、メディアに提供するとともに、情報・知見の不足を見極め、埋めていく役割を担います。

参照
https://www.bundesstiftung-gleichstellung.de/


ドイツ政府ジェンダー平等報告書

ドイツ政府は任期中、国内の男女平等の状況に関する報告書を策定します。同報告書は、ジェンダー正義を追求する、進歩志向の政治をさらに発展させるための重要な手段となっています。

報告書の策定にあたり、まずは独立の有識者委員会が政府の委託を受け提言を作成します。提言には、ジェンダー平等の現状の説明と、望ましい方向性や施策が盛り込まれます。これまでに策定された提言は、様々な政策決定が女性にも男性にも等しく効果をもたらすためには、ジェンダー平等政策と他の政策分野との緊密な連携が今後とも必要であることを示しています。

次に、提言に対する政府の見解が示されます。有識者委員会の提言と政府の見解を合わせたものが政府のジェンダー平等報告書となります。

参照
https://www.bmfsfj.de/bmfsfj/themen/gleichstellung/gleichstellungsberichte-der-bundesregierung/die-gleichstellungsberichte-der-bundesregierung-118040


政府の「スタートアップ戦略」

2022年7月27日、政府は初の包括的「スタートアップ戦略」を策定しました。10の行動分野が盛り込まれ、うち1つが女性によるスタートアップ起業支援および起業における多様性の強化を目指す内容となっています。

参照
https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Publikationen/Existenzgruendung/start-up-strategie-der-bundesregierung.pdf?__blob=publicationFile&v=12


ドイツは2023年、G7議長国日本の下でジェンダー平等の分野において引き続き連携していけることを楽しみにしています。


イギリス国旗イギリスの取組


日本駐箚英国特命全権大使 ジュリア・ロングボトム
日本駐箚英国特命全権大使
ジュリア・ロングボトム

男女共同参画を優先課題に

駐日英国大使を務める初の女性として、女性の地位向上は優先事項であるか、よく尋ねられます。もちろんです。ですが、それは私自身が女性であるからではありません。

男女共同参画は、性別や年齢にかかわらず、私たち全員の関心事項です。仮にその過半数である女性を、才能ある人材として十分に活用しなければ、経済も社会も存分にその可能性を実現することはできません。

また、女性の権利を保護する道義的義務も、私たちは共通して負っています。差別、不平等、暴力に対処し、社会の開放性、包摂性、強靭性を高めることが不可欠です。

だからこそ、女性の地位向上は私にとって優先事項であり、日光で開催される今年のG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が極めて重要なのです。


英国での取組

英国では、家庭における男女共同参画が飛躍的に前進しました。

経済界では、男女の賃金格差は、2017年に報告が義務化されたことを弾みに、過去5年間で3.5%減少しました(2017年18.4%→2022年末14.9%)。

政界では、3人目の女性首相が誕生し、下院議員の35%が女性となっています。また、官界や外交分野でも女性が目立つようになり、2021年にはG7諸国に駐在する英国大使が全て女性になりました。

しかし、まだ道半ばであるのも事実です。世界経済フォーラム(WEF)のジェンダー・ギャップ指数で英国は1位どころか、22位に甘んじています。企業の最高経営責任者(CEO)、 閣僚、省庁の事務次官の50%を女性が占めるようになるまで、私たちは責務を果たしたことにはならないでしょう。

野田聖子氏、有村治子氏、鈴木貴子氏と会談するテリーザ・メイ元首相
野田聖子氏、有村治子氏、鈴木貴子氏と会談するテリーザ・メイ元首相


国際情勢

英国が、単独で男女共同参画の課題を解決することはできません。志を同じくするパートナー国との協力が不可欠です。

二国間関係では、日本を含む自由貿易協定(FTA)に、女性の経済的地位向上に関する章を盛り込むよう求めてきました。

多国間では、全ての女子に12年間の良質な教育を保証するための国連人権理事会の決議を共同で主導し、さらにウクライナ紛争に関連した性暴力を訴追するための専門家派遣を行っています。

日本がG7議長国を担うことは、日英が共有する課題への取組をいっそう前進させる絶好の機会となります。英国がG7議長国だった際の成果を活かせるよう、各国の男女共同参画へのコミットメントのモニタリングと説明責任のメカニズムをいっそう確立し、育児や女性の健康などの優先課題についてパートナー国と協力してまいります。男女共同参画社会の早期実現に向け、共に取り組んでまいりましょう。

2020年10月、日英FTAに署名するリズ・トラス国際貿易大臣(当時)と茂木敏充外務大臣(同)
2020年10月、日英FTAに署名するリズ・トラス国際貿易大臣(当時)と茂木敏充外務大臣(同)


内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019