「共同参画」2023年1月号

巻頭言

「キャリアもライフも楽しむ!」

男女共同参画とは「平等な機会、公正な処遇を基本に女性も男性も働き方、生き方を選ぶことができ、働きがいや生きがいを感じられること」と理解しています。その実現のために、政府は男女共同参画基本法をはじめ女性活躍推進法まで様々な政策を展開してきました。当初は女性の人権尊重、出産などがあっても働き続けられる両立支援に重点が置かれていましたが、2010年ころから女性と経済が注目され、「ウーマノミクス」が政府の成長戦略として打ちだされました。私は2010年から3年間APEC女性リーダー会議の日本代表メンバーを務めていましたが、この間「女性を保護する、支援する」という議論から「女性が力を発揮することが経済や社会の発展を促す」という議論に明確に変わったことを憶えています。人口の半分を占める女性の力が活かされない社会にはイノベーションも経済成長もないということです。

女性版骨太方針2022では、女性の経済的自立が大きな柱となっています。中でも男女間賃金格差開示の義務化は大きな一歩と言えます。これは国際的にみて基本的な指標ですが、重要なのは、女性管理職・役員の少なさや低収入の職種に女性が多いなど、賃金格差が起きている要因を分析し改善を促していくことです。加えて、男性の家庭・地域における活躍も初めて柱の一つに位置付けられました。法制の後押しもあり、男性も育休を取るのが当たり前の風潮が生まれつつあります。女性も男性も家事・育児を担い、やりがいのある仕事を通してキャリアを築いていくことが可能な時代になりました。

私事ですが、夫と私は男女ではなく、それぞれ何が得意かで家事を分担してきました。例えば私の担当は料理、夫は掃除と洗濯です。足りない部分は週に一度家政婦さんの助けを借りました。子育ても夫婦協働で、娘たちは米国と日本両方の文化・行事をご近所やお友達と一緒に体験して成長しました。夫も私もキャリアアップする時期と重なり、時間に追われる日々でしたが、かけがいのない楽しい思い出がたくさんできました。家事や育児は負担ではなく、一緒にやれば生産的でとても楽しいものです。

私のモットーは「キャリアもライフも楽しむ!」です。女性も男性も、どちらかを選ぶのではなくどちらも追っかけましょう。それは人生において価値あるチャレンジであり、その先に豊かな未来が待っています。


男女共同参画推進連携会議議長 アキレス美知子
男女共同参画推進連携会議議長
(三井住友信託銀行取締役、横浜市参与、G20 EMPOWER日本共同代表)
アキレス美知子

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