特集2
DV対策の抜本強化に向けて
男女間暴力対策課
第2回DV対策抜本強化局長級会議を開催しました
去る8月30日、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)を議長とするDV対策抜本強化局長級会議(第2回)がオンラインで開催されました。この会議は、配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護に係る施策を抜本的に強化するため、政府一体となって、各府省が連携して取り組むことを目的として立ち上げられたものです。
第2回の会議では、DV被害者の「生活再建支援の際の手続の見直し等に関する論点」として、手続の見直しに向けた検討の方向性が確認されました。これは、本年2月から3月にかけて内閣府が行った、DV被害者支援を行う配偶者暴力相談支援センター、民間シェルター等に対するアンケートにおいて、生活再建支援に係る具体的な手続の改善してほしい点を調査した結果を踏まえています。なお、同アンケートでは、DV被害者が、生活・就業・住宅・子育てなど、多くの面で生活再建に苦労していることが明らかとなっています(アンケート結果については次々頁以降を参照)。
DV被害者への支援制度は、各府省にまたがっており、被害者が直面する生活再建の困難を改善し、生活再建の円滑化を図るためには、各府省が連携して取り組む必要があります。今後、「生活再建支援の際の手続の見直し等に関する論点」に基づき、本年内にDV対策の抜本強化策を取りまとめることとなります。
会議の場では、小倉内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から「霞が関の論理にとらわれず、現場の切実な声、ひいては被害者の声なき声に真摯に耳を傾けるという心構えで、本日取りまとめた論点に基づき、被害者の生活再建支援に関する手続の見直しを進め、抜本強化策を具体化するようお願いする。」旨の発言がありました。
小倉内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
(DV対策抜本強化局長級会議 構成員) | |
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議長 | 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) |
議長代理 | 内閣府男女共同参画局長 |
構成員 | 内閣府子ども・子育て本部統括官 警察庁生活安全局長 総務省自治行政局長 法務省大臣官房審議官(国際・人権担当) 法務省民事局長 文部科学省総合教育政策局長 文部科学省初等中等教育局長 厚生労働省子ども家庭局長 国土交通省住宅局長 |
オブザーバー | 最高裁判所事務総局民事局長 |
この会議で取りまとめられた「生活再建支援の際の手続の見直し等に関する論点」の概要は次頁のとおりです。
また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の見直しについては、女性に対する暴力に関する専門調査会の下に置かれた配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループにおいて検討が進められています。
配偶者暴力相談支援センター・民間シェルター等へのアンケートを踏まえた
生活再建支援の際の手続の見直し等に関する論点(概要)
令和4年8月30日
DV対策抜本強化局長級会議
配偶者からの暴力の被害者に係る支援について、以下の論点に基づき、令和4年内に抜本強化策を取りまとめる。
経済的支援 |
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就業 |
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社会保険(雇用保険を除く) |
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住宅 |
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子育て |
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母子生活支援・女性相談支援センター・女性自立支援施設 |
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住民票・戸籍謄本・地方団体が発行する証明書 |
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支援体制の強化 |
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DV被害者支援に関するアンケート結果について
本年2月から3月にかけて内閣府が行った、DV被害者支援を行う配偶者暴力相談支援センター、民間シェルター等に対するアンケート結果について説明します。
○調査の概要
◇対象:全国の配偶者暴力相談支援センター・市町村の婦人相談員、民間シェルター・自立支援ステップハウス
◇期間:令和4年2・3月に実施(直近5年程度の状況を念頭においた回答)
◇回答総数:534票(配偶者暴力相談支援センター・婦人相談員票:435票/民間シェルター・自立支援ステップハウス:99票)
○自宅を離れた被害者が危害や脅迫等を受けるおそれ
まずは、一時保護や相談支援を行っている施設を対象に、自宅を離れた被害者が、危害や脅迫等を受けるおそれを感じることがあるかについて聞いた結果を紹介します。
①身体的暴力、②精神的・性的暴力のうちPTSDなど心身に重大な影響がある場合、③精神的・性的暴力(②以外)、④経済的・社会的暴力の4つの暴力類型に分けて状況を聞き取りました。
図(1)のとおり、身体的暴力については約7割、精神的・性的暴力については約6割が、危害や脅迫等を受けるおそれが「よくある」「たまにある」と回答しており、一時保護等により自宅を離れてもなお、DV被害者は危害や脅迫を受けるおそれがあることが見受けられます。
(1)自宅を離れた被害者への危害や脅迫のおそれの有無(暴力類型※別)
自宅を離れた被害者が危害や脅迫等を受けるおそれは、時間の経過とともに減っていくことがわかりますが、半年が経過しても、約5割が、身体的暴力や精神的・性的暴力による危害や脅迫等を受けるおそれが「ある」と回答しています(図(2)参照)。
(2)自宅を離れた被害者が危害や脅迫を受けるおそれの有無(暴力類型別・時期別)
また、危害や脅迫に至らない接触や接近への不安や恐怖に関しても、半年が経過しても、身体的暴力については7割以上、精神的・性的暴力については6割以上が、危害・脅迫に至らない接触や接近について、不安・恐怖を感じていることがわかります(図(3)参照)。
(3)自宅を離れた被害者が危害や脅迫に至らない接触や接近を不安・恐怖に感じるかどうか(暴力類型別・時期別)
○被害者が苦労していると感じること
続いてのグラフ(下の図(4),(5))では、DV被害者が、一時保護中、一時保護後においても、トラウマなどの心理的な被害の影響を受けながら、生活資金や住宅の確保、就業や子育てなど多くの面で、生活再建に苦労していることが見て取れます。民間シェルターやステップハウスの一時保護から生活再建に円滑につなげることが課題だと考えられます。
(4)被害者が一時保護中に苦労していると感じること
(5)被害者が一時保護後(退所・退去後)に苦労していると感じること
○タッチポイントの必要性
最後に、加害者と被害者の「タッチポイント」の必要性について取り上げます。タッチポイントとは、離婚、婚姻費用・養育費や子供の養育権等を整理するための窓口(弁護士等)のことです。ご回答いただいた民間シェルター・ステップハウスの3割が既に実施しており、図(6)のとおり、多くの配偶者暴力相談支援センターが必要性を感じています。
(6)加害者と被害者のタッチポイントの必要性
このような配偶者暴力相談支援センター、民間シェルター等に対するアンケートやそれを受けた対策の取りまとめは、配偶者暴力防止法施行以来、初めての取組でした。実際に被害者支援を行っている現場の声を踏まえ、DV対策の抜本強化を図ってまいります。
アンケート結果の詳細はこちら