「共同参画」2022年8月号

トピックス2

「女性が力を発揮するこれからの地域防災~ノウハウ・活動事例集~」
内閣府男女共同参画局総務課

人口の半分以上は女性であり、災害対応に女性の視点を反映することで、女性と男性で異なる影響やニーズに適切に対応し、必要な支援ができるようになります。防災のあらゆる施策に女性の視点を取り入れるためには、意思決定過程や防災の現場に女性が参画することが重要ですが、地方防災会議といった地域の災害対策に関する計画を策定する重要な意思決定の場における女性の参画の割合は極めて低い状況です

一方、地方防災会議の委員に占める女性の割合が高い地方公共団体では、自主防災組織や消防団等に所属し、地域で防災リーダーとして活躍する女性を委員として登用している事例もあります。これらを踏まえ、地域で女性が防災活動をするに当たっての課題及び地方公共団体や自治会・自主防災組織等の地域組織の先進的な取組について調査・分析し、女性が防災リーダーとして地域で活躍するためのノウハウと事例をとりまとめました。

※都道府県防災会議の委員に占める女性の割合は16.1%、市区町村防災会議では9.3%(令和3年4月時点)


ノウハウ・活動事例集の構成

項目 掲載内容 頁数
はじめに本冊子の背景、目的1
どんな課題があるだろう?女性防災士や女性リーダーを対象としたワークショップでの声2
目次 3
ノウハウ地域・行政の悩みや疑問を解決するための活動のヒントをQ&A形式で掲載4〜
活動事例女性が地域で防災活動をしやすくするために工夫する12団体の取組を紹介22〜
有識者からのメッセージ有識者4名から女性や地域、行政に対する応援メッセージを掲載48〜
女性が力を発揮するためのポイントチェック50
お役立ち情報51
内閣府男女共同参画局からのメッセージ裏表紙

●地域の防災活動における課題とは?

本「ノウハウ・活動事例集」の作成ではまず、女性が地域で防災活動を行うに当たっての課題を抽出するため、女性防災士や自主防災組織の役員、自治会長等の女性を対象にワークショップを実施しました。その結果、「防災=男性という意識が根強く、防災活動は男性中心に行われている」ことや、固定的な性別役割分担意識の影響により「組織の代表や役員はほぼ男性」「女性は補助的な役割しかやらせてもらえない」といった課題が浮き彫りになりました。また日本では女性が主に家事や育児・介護を担う傾向があるため、「防災活動に対して家族の理解が得られない」や、家庭や仕事との両立に難しさを感じるという声も聞かれました。


●第1部 ノウハウ集

これらの課題を踏まえ、ノウハウ集の前半では防災活動に女性が参画するために地域として何ができるかを検討するため、「地域のギモン」としてQ&A形式でまとめました。まずは防災活動に関心を持ってもらうために、地域のお祭りと防災を組み合わせる、地域の活動を「見える化」するという活動のヒントや、地域組織に参画しやすくするために規約で女性の役員の人数を決める、役割を性別で固定しない等のノウハウを紹介しています。また、個人の生活スタイルにあわせて活動に参加できるようにするため、会議の時間設定の仕方や会議で女性が発言できるように女性だけで話せる部会を設ける等の工夫を取り上げています。後半は「行政のギモン」として、防災人材の育成に関する工夫や、防災講座や研修を受けた女性を実際の活動につなげるための方法を紹介しています。

第1部 ノウハウ集
第1部 ノウハウ集


●第2部 活動事例集

第2部は、第1部のノウハウと関連する12団体の活動事例を掲載しています。高知県安芸市の「川向地区防災会」は、副会長を男女1名ずつにし、責任ある立場を男女両方が担うことを規約に書き込むことで、女性が組織に参画しやすい体制を整えています。同防災会では、女性の役員が増えたことで、組織の中で女性が意見を言いやすくなったという効果もありました。宮城県仙台市の「福住町町内会」では地域の夏祭りと連動した防災訓練や近隣の小中学生との合同訓練の実施によって地域のつながりが深まり、実際の震災時には地域と子供たちが協力して活動した例や、同市の「市名坂東町内会」ではいざ災害が発生した時に、避難所で迅速に女性や多様な方々のニーズを把握するための「女性コーディネーター」の育成を行っているといった事例を紹介しています。

行政については、練馬区が誰でも気軽に参加できる防災講座を実施するだけでなく、実際に防災活動をしたい女性に対して丁寧に希望を聞き取って自主防災組織等とのマッチングを行っていたり、県と大学が共同で設置した「清流の国ぎふ防災・減災センター げんさい未来塾」が、研修生一人ひとりに合わせたカリキュラムを設定し、実際に地域で動ける人材を育成するためのきめ細かくフォローをしていたり、女性が継続して防災活動ができるよう支援をしている団体の事例を挙げています。

その他、民間団体の事例として、地域の防災活動を通じて女性の意思決定の場への参画についての重要性を学び、実際に団体のメンバーが地方防災会議の委員として女性の視点から積極的に発信している「流山子育てプロジェクト」についても紹介しています。

第2部 活動事例集
第2部 活動事例集


【これからの地域防災のために】

地域の防災活動に女性が参画することは、防災活動の担い手が増えるだけでなく、多様な視点が反映され、地域防災力の向上につながります。これからの地域防災では女性が力を発揮することが不可欠です。本ノウハウ・活動事例集を活用して、災害に強い地域をつくるために、今できることから始めてみませんか?


女性が力を発揮するこれからの地域防災~ノウハウ・活動事例集~
女性が力を発揮するこれからの地域防災~ノウハウ・活動事例集~
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/knowhow/index.html

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