「共同参画」2022年7月号

トピックス1

配偶者暴力被害防止等のための調査・研究結果の公表について
内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課

配偶者暴力被害防止等のための調査・研究結果の公表について

配偶者暴力(DV)は被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。また、被害にあわれた方が、相談し、支援や保護を受けられることが必要です。

内閣府男女共同参画局では、DV被害防止等のため、調査・研究を行っています。

この度、「DV被害者等のための民間シェルター実態調査及び先進的取組事例に関する調査報告書(概要)」、「令和3年度前期「DV相談+(プラス)事業における相談支援の分析に係る調査研究事業」報告書」、「配偶者暴力加害者プログラム 試行のための留意事項」の3件を公表しました。本稿では、それぞれについて御紹介します。


DV被害者等のための民間シェルター実態調査及び先進的取組事例に関する調査報告書(概要)

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護において、民間シェルターをはじめとする民間の団体は、相談業務、同行支援、自立支援など極めて大きな役割を担っています。

内閣府では、令和2年度から「DV被害者等セーフティネット強化支援パイロット事業」を実施し、都道府県等と連携してDV被害者等支援を行う民間シェルター等に対して、都道府県等を通じて、交付金を交付しています。

本調査は、地域における官民が連携したDV被害者等支援の充実及び多様なニーズに応じた支援の枠組みの構築に資することを目的として実施しました。

本調査により、民間シェルター等の財政的基盤や人的基盤の脆弱性といった課題が改めて浮き彫りとなるとともに、各種支援活動において交付金が活用されている実態が把握できました。

今後とも、交付金を活用した取組を更に拡大して進めていくことで、民間シェルターが地域社会における不可欠な社会資源として、重要な役割を担い、DV被害者等への更なる支援の充実につながっていくことが期待されます。


「DV相談+(プラス)事業における相談支援の分析に係る調査研究事業」報告書

内閣府では、新型コロナウイルス感染拡大の問題に起因して、生活不安・ストレスから、DVの増加・深刻化が懸念されたことを受けて、令和2年4月に「DV相談+(プラス)」を開設しました。

「DV相談+(プラス)」は、①24時間対応の電話相談、②オンライン・チャット(SNS)相談、③メール相談、④10言語に対応した外国語相談等の相談支援に加え、⑤被害者の安全を確保し社会資源につなげるための同行支援、緊急保護等の支援を総合的に提供しており、被害者にとって相談のしやすさにつながっていると思われます。

本調査研究事業は、DV相談に関する有識者による委員会を設置し、令和3年度前期(令和3年4~9月)に実施したDV相談プラスに関する相談事例について分析を行い、今後のDV対策の施策の充実に活かすとともに、体制等を検証することを含め、その効果や課題を明らかにし、全国の地方公共団体への調査結果の還元等を通じて、被害者支援の更なる充実につなげることを目的として実施しました。

分析の結果、DV相談プラスが、電話、SNS、メールと複数の相談手段の特性を活かし、幅広い相談ニーズに対応していることや、相談内容が、精神的DVをはじめとする複合的・深刻な被害が多いということが把握できました。

また、各有識者から、DV相談プラスの有用性とともに、各地域における相談機関での支援の重要性や、逃げることができない人へのアウトリーチ(出張相談等こちらから出かけていく支援)の必要性等の課題も指摘されました。


配偶者暴力加害者プログラム試行のための留意事項

配偶者暴力加害者プログラムとは、一般に、参加者(加害者)が暴力をやめるためのグループに参加して、自分が暴力をふるった話をしたり、他の参加者の話を聞くことで、自分の暴力の責任を自覚し、自分が変わることで、暴力の再発を防ぐためにはどうすればよいのかなどを考えたり、実践したりするプログラムのことです。

今後、全国の地方公共団体において、民間の加害者プログラム実施団体と連携して、加害者プログラムの受講を希望する方々が受講できる体制を整備していく予定です。そのため、内閣府では、令和3年度、広島県・長崎県・熊本県で試行実施を行い、地方公共団体がDV被害者支援施策の一環として、加害者プログラムを実施するにあたり、望ましい取組内容として、実施体制モデルや関係機関の役割等を示す「試行のための留意事項」を策定しました。


相談窓口について

DVでお悩みの方が安心して相談できる窓口があります。

DV相談+(プラス)

24時間受付の電話相談、SNS・メール相談の対応を行っています。SNSでの相談は英語や中国語など10言語の外国語にも対応しています。専門の相談員が対応し、面談、同行支援などの直接支援も行います。

DV相談ナビ #8008

全国共通の電話番号 #8008(はれれば)では、発信地等の情報から最寄りの相談機関の窓口に電話が自動転送され、直接御相談いただくことができます。


DVの深刻化が懸念され、社会的関心が高まる中、調査・研究結果から得られた知見を生かして、引き続き相談窓口の拡充を行うとともに、各種施策の充実を進めていきます。

不安なことがあれば、一人で悩まず、相談窓口に相談してください。

また、周りで被害に困っている方がいる場合には、相談窓口の情報を共有していただき、一人でも多くの方が相談・支援につながることができるよう、御協力をお願いします。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
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