「共同参画」2022年6月号

特集2

仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査の結果
内閣府男女共同参画局推進課

内閣府男女共同参画局では、第5次男女共同参画計画及び女性活躍・男女共同参画の重点方針2021に基づき、男女ともに仕事と子育て等を両立できる環境の整備に取り組んでいます。

この度、仕事と子育て等の両立を阻害したり、父親の育児参画を阻む身近な慣行等について、事例の収集・分析を行い、今後の対応策を検討することを目的に調査研究を実施しました。


1.調査概要

調査は、【個人オンライン調査】と【意見募集】の2つに分けて実施しました。

【個人オンライン調査】は、小学生以下の子供を持つ20歳から49歳までの男女2,166人(男性1,057人、女性1,105人、その他4人)の方から、【意見募集】は、一般個人5,640人(男性236人、女性5,334人、その他70人)の方から回答を得ました。いずれも「幼稚園・保育園・認定こども園等」といった日常生活の6つの場面での子育ての困りごとについて尋ねました。以下、調査結果を具体的に見ていきます。


2.子育ての困りごとの有無

(1)全体

【個人オンライン調査】では、困りごとが『ある(よくある、ときどきある)』と回答した割合は「習い事・課外教室等」を除く全ての場面で5割前後を占めました。

【意見募集】では、困りごとの記入があった割合は、「幼稚園・保育園・認定こども園等」が89.8%で最も高く※1、「地域・外出先」84.5%が続きます※2

※1 回答者が6つの場面の回答欄に困りごとを記入した数を基に算出。
※2 「地域・外出先」の困りごとのほとんどが外出時・外出先での困りごとであった。


困りごとの有無

困りごとの有無


(2)男女別

男女別でみると、全ての場面で男性より女性のほうが困りごとが『ある』割合が高く、男女ともに「地域・外出先」での困りごとが『ある』と回答した割合が最も高くなっています。


困りごとの有無

困りごとの有無


3.場面ごとの困りごと

子育てや家事に関わる日々の対応で、「やりづらくて負担に感じていること、変えられそうなのに変わっていないこと」の具体的エピソードを6つの場面ごとに聞きました。


(1)幼稚園・保育園・認定こども園等

幼稚園等の場面では、「入園申込手続き等で、似たような内容を何度も手書き」、「オンライン手続きが出来るようにしてほしい」といった手続きに関すること、「おむつやビニール袋まで、一つ一つに記名」、「使用済みおむつの持ち帰り」といった持ち物に関すること、「園からのお知らせが紙、連絡方法が電話のみ」といった連絡手段に関すること、「行事等が基本的に平日で仕事をしていると参加できない」、「保護者会等の役員は母親が前提となっている風潮がある」といった行事に関すること等の困りごとが寄せられました。

困りごと


(2)小学校・学童保育等

小学校等の場面では、「給食当番のスモック等を自宅で洗濯・アイロンがけするのが負担」、「おはじきや書道セット等の教材は共有とし、個人が所有しなくてもよいのではないか」といった持ち物に関すること、「学校からのお知らせが紙」、「電話で欠席連絡をすることになっているが、メールかSNSで済ませられるようにしてほしい」といった連絡手段に関すること、「PTAの出席や役員となることが半ば強制的」といったPTAに関すること、「学童保育の数が少ない」といった学童保育に関すること等の困りごとが寄せられました。

困りごと


(3)習い事・課外教室等

習い事等の場面では、「平日の送迎ができない」といった送迎に関すること、「少年野球等で父親はコーチ、母親はお茶出しといった性別による役割分担がある」等の困りごとが寄せられました。

困りごと


(4)地域・外出先

地域・外出先の場面では、ほとんどが、外出時・外出先での困りごとでした。「エレベーターの数が少なく、ベビーカーでの移動が困難」、「ベビーカーでは満員のエレベーターや電車に乗れず、何回も見送る」といった子供を連れての移動に関すること、「公共施設・商業施設において、男性用トイレにおむつ替え台やベビーチェアがない」、「離乳食の持ち込みを認めているレストランが少ない」といった公共施設等に関すること、「公共の場で子供が泣くと嫌な目でみられたり子育てに対する理解がない」といった周囲の理解に関すること等の困りごとが寄せられました。

困りごと


(5)家庭(炊事・洗濯・掃除等)

家庭の場面では、「離乳食の手作り神話をやめてほしい」、「アレルギー対応のミールキットや惣菜が増えてほしい」といった炊事に関すること、「夫の理解がなく、家事や育児をしない」、「女性が家事をやるものという意識が根付いている」といった家庭内の分担に関すること、「家事代行サービスは高額で日常的には使えない」、「家に知らない人をあげることに抵抗があり諦めた」といった家事代行サービスに関すること等の困りごとが寄せられました。

困りごと


(6)その他

その他の困りごととしては、「乳幼児健診の日程が平日に固定されていて変更できなかった」、「オンラインで手続きできるようにしてほしい」といった乳幼児健診等の手続きに関すること、「お便りの宛先が『お母さんへ』となっている等、世の中の仕組みや制度、慣習が旧態依然のまま」といった父親の疎外感に関すること等の困りごとが寄せられました。

困りごと


本調査結果を踏まえ、仕事と子育て等の両立を阻害したり、男性の育児参画を阻む固定的な性別役割分担意識や身近な慣行等を解消するために必要な対応策を検討し、関係省庁と連携して、取組を進めていくこととしています。


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