「共同参画」2022年5月号

トピックス4

外務省主催ウェビナー「女性差別撤廃条約を知っていますか?」開催報告
外務省総合外交政策局女性参画推進室

女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として1981年に発効しました。日本は1985年に批准・締結していますが、日本国内のジェンダー平等の実現に向けた取組は未だ十分とは言えません。そこで、外務省は3月28日及び29日にウェビナーを開催し、秋月弘子女子差別撤廃委員会(CEDAW)委員(亜細亜大学教授)をモデレーターに迎え、現役CEDAW委員4名から女子差別撤廃条約の内容及びその遵守の意義等について講演及び議論いただきました。


1日目

テーマ1「女性が政治・経済の意思決定に参画するとは?」

ヒラリー・ベデマ委員(ガーナ出身)からは、男女平等は民主主義の根幹であり、女性の政治分野での意思決定過程への参画が増加した結果、社会福祉等が充実したガーナの好事例を紹介いただきました。また、女性の政治・経済参画を阻害する要因として、性別役割分業やジェンダー・ステレオタイプ等が挙げられました。議論では、男性の意識を変えるためには、幼少期からの学校教育、家庭教育や指導層への働きかけ等の必要性が提言されました。


外務省主催ウェビナー


テーマ2「働き方をジェンダーの視点から考える」

ゲノヴェヴァ・ティシェヴァ委員(ブルガリア出身)より、労働と雇用における課題として、女性の低雇用率や非正規雇用に従事する女性の比率の高さ等が提起されました。また、コロナ禍において、女性の就労が多いサービス業等が打撃を受けた一方で、テレワーク等の柔軟な働き方が広まり、男性にとっても育児参加の機会拡大になったとの指摘がありました。さらに、働き方改革の促進のため、複数回の柔軟かつ長期の育児休暇制度の構築等が提案されました。


2日目

テーマ1「ジェンダー・ステレオタイプとは何か?~無意識の偏見を克服するために~」

ナフラ・ハイダル委員(レバノン出身)より、「女性は感情的だから政策決定等に向いていない」等の考えはジェンダー・ステレオタイプに基づいた女性差別であり、こうした差別は雇用や結婚等の様々な分野にて表出し、文化的慣習等により強化されていくとの説明の上、こうした問題は国の立法・行政・司法の全分野において対応しなければならないとの問題意識が共有されました。また、全ての世代に対する意識啓発を実施し、ボトムアップとトップダウンの双方向から偏見を無くす必要があるとの指摘がありました。


外務省主催ウェビナー


テーマ1「ジェンダーに基づく暴力(GBV)の撤廃に向けてどう取り組むべきか?~被害者保護、加害者処罰のために~」

コリネ・デットメイヤー=フェルムーレン委員(オランダ出身)は、GBVは身体的・性的・心理的・経済的暴力を含み、その原因として家父長制や家庭内での差別があると解説しました。また、ジェンダー平等が進んでいる欧州でさえも、GBVを巡る改善状況は遅れていることも指摘されました。議論では、性教育こそジェンダー平等の基礎であり、幼少期から自分の体は自分自身のものと教育することで、互いの人権を尊重し暴力を減らす基盤となるということが強調されました。

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