「共同参画」2022年5月号

巻頭言

政治分野の男女共同参画

日本はジェンダーギャップ指数において、世界156か国中120位(2021年)と低迷しているが、その主たる原因は政治分野での共同参画の遅れにある。政治分野の順位は前年の144位からさらに下落し、147位であった。国会に女性議員が少ないこと(2022年2月現在、衆議院の女性議員は9.7%で、192か国中167位)は広く知られるようになってきたが、地方議会の状況も似たりよったりである。2019年統一地方選後の地方議会における女性議員比率は微増の14.0%にとどまり、女性議員が一人もいない議会がいまだに302(全国1788議会の16.9%)も存在している。

議員の偏りは政策の偏りを生むだけでなく、議会に対する不信、ひいては代議制民主主義そのものに対する不信にもつながりかねない。議員の構成があまりに偏っていると、有権者は議会を自分たちの代表と感じられなくなるからである。とりわけ、身近な地域の問題を協議する場である地方議会にとって、議員の偏りは致命的な問題といえるのではないか。諸外国の状況を見ると、女性の政治参画はまず地方議会から始まり、国会に波及していくケースが多い。政治分野の男女共同参画の推進には地方議会の変革が急務と考えられる。

地方議会自身も問題を自覚していないわけではない。今年1月、第33次地方制度調査会(地方制度に全般的な検討を加えることを目的とする審議会)の発足にあたり、地方議会の全国団体である三議長会(全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会)は、地方自治法改正の早期実現を求める決議をおこなったが、そのなかで揃って女性や若者などの多様な人材の参画の重要性を訴えている。

しかし、実際には、地方議会の内部で、女性議員や新人議員がパワハラ、セクハラの標的とされることはけっして稀ではなく、被害を訴えた議員が逆に懲罰されるという事態さえ起きている。また、女性議員や女性の立候補者に対する有権者からのハラスメント被害も深刻である。研修などを通じて地方議員の意識改革を進めると同時に、私たち有権者も政治参画の意欲をもつ女性たちをどのようにサポートすべきかを真剣に考えていかなければならないだろう。

秋田県理事 陶山さなえ
駒澤大学法学部教授
大山礼子

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