「共同参画」2022年3・4月号

トピックス1

我が国の企業における女性の役員の状況
内閣府男女共同参画局推進課

企業で女性が能力を発揮することは、多様な視点によってイノベーションを促進し、企業の持続的成長につながるものであり、また、グローバルな人材獲得競争が激化する中で、我が国の企業が国内外の人材から選ばれるためにも、極めて重要です。今稿では、我が国の企業における女性の役員について、その状況を概観していきます。


Ⅰ 現状について

全上場企業の女性の役員数は着実に増加しており、2012年からの9年間で約4.8倍に増え、2021年は3,055人となりました。しかし、OECDの調査によれば、日本の女性の割合は2020年時点でG7では最下位、OECD加盟国全37カ国中32位と、国際的に見ると低い水準となっています。

また、東証一部上場企業のうち、女性の役員がいない企業は、全2,189社のうち732社あります。その数は年々、減少しているものの、いまだ約3割の企業において女性の役員がいないのが現状です。

さらに、業種別で見ると、女性の役員がいない企業が過半数を占めている業種が、上場企業全33業種のうち9業種ありました。

諸外国の女性の役員割合


Ⅱ 企業が女性活躍に取り組むメリット

女性が企業の責任ある地位で活躍することは、企業の持続的な成長につながります。

役員に占める女性の割合が高い企業の方が、役員に女性がいない企業よりも、パフォーマンスが高い傾向にあるというデータもあり、企業が女性登用に取り組むことで企業価値の向上が期待されます。

また、2020年度の内閣府の調査によると、企業への投資判断において、半数以上の機関投資家が企業における女性活躍に関する情報を活用しているなど、企業の女性活躍情報が注目されています。

活用状況


Ⅲ 今後について

今年の4月4日より、現在の東京証券取引所の市場区分が、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分に再編されます。最上位であるプライム市場に上場予定の企業の役員における女性の割合は9.3%であり、女性の役員がいない企業は541社と全体の約3割にものぼります。

東京証券取引所が上場企業に対して課している「コーポレートガバナンス・コード」においては、社内に多様な視点や価値観が存在することは、企業の持続的な成長を確保する上での強みとなり得るとされています。昨年6月の改訂においては、女性を始め外国人、中途採用者の管理職への登用等に関する考え方、目標とその状況を開示すべきとされました。

男女共同参画局では、今年2月に開催した「男女共同参画会議 計画実行・監視専門調査会」(第11回)で、金融庁から、企業の有価証券報告書等における情報開示の在り方の検討状況やコーポレートガバナンス・コードに沿った企業の取組状況についてヒアリングを行いました。第5次男女共同参画基本計画では、成果目標の1つとして、「東証一部上場企業役員に占める女性の割合を2022年までに12%」とすることを掲げており、今後、達成度評価を行います。また、今回の市場再編を踏まえ、2025年までの新たな成果目標の検討を行います。さらに、今後も企業が女性活躍に取り組むメリットについて、機会を捉えて発信する等、企業の女性の役員登用の加速に向けて、取り組んでいきます。

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