「共同参画」2022年2月号

トピックス2

地方議会における両立支援に係る会議規則の整備状況について
内閣府男女共同参画局推進課

内閣府男女共同参画局では、各地方議会における議員活動と家庭生活の両立支援に係る会議規則の整備状況について、2021年7月1日時点の状況を調査しました。


Ⅰ 調査の背景・目的

政治分野における男女共同参画の推進は、政治に的確に民意を反映させる観点から極めて重要です。女性は我が国の有権者の約52%を占めますが、地方議会議員に占める女性の割合は、特別区議会では30.2%、都道府県議会では11.6%、市議会では16.2%、町村議会では11.3%です。また、女性が1人もいない地方議会は、市議会では29、町村議会では269存在します。

2021年6月に改正された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(以下、「候補者男女均等法」という。)では、国及び地方公共団体は、議会における欠席事由の拡大をはじめとする議員活動と家庭生活の両立を支援するための体制整備等の取組を積極的に進めることができる環境整備を行うものとすることが規定されています(第8条)。

また、「第5次男女共同参画基本計画」(2020年12月25日閣議決定)では、政治分野における女性の参画拡大に向けて地方議会の取組を進めるため、
全ての市区町村議会において会議規則に出産が欠席事由として明文化されるよう要請すること
出産に係る産前・産後期間にも配慮した会議規則の整備や、育児・介護等の欠席事由としての会議規則への明文化が促進されるよう全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会に要請すること
会議規則における出産・育児・介護等に伴う欠席規定の整備状況等を調査し、「見える化」等を行うこと
等を盛り込んでいます。

こうしたことから、2021年1月に、女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から三議長会(全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会)に対して、地方議会の規則のひな形である標準会議規則の改正等の検討を要請しました。これを受けて、各議長会において、1月下旬から2月上旬にかけて標準会議規則の改正が行われました。

本調査は、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」(2021年6月16日政府決定)において、「各地方議会における産前・産後期間にも配慮した会議規則の整備状況について調査・公表する」としていることに基づき、2021年7月1日時点における整備の進捗状況を確認するため実施したものです。


Ⅱ 議会における欠席事由の整備状況

都道府県議会においては、育児及び家族の介護を欠席事由として明文化している議会の割合が、昨年度から大きく増加し、いずれも全体の約8割となりました。


議会における欠席事由


市区町村議会においては、出産を欠席事由として明文化している議会が増加し、全体の約9割となりました(一方で、いまだ明文の規定がない議会は188ありました)。出産以外の欠席事由については、育児、家族の介護のほか、本人の疾病や配偶者の出産、家族の看護についても大きく増加し、いずれも全体の6割を超えました。


Ⅲ 出産を欠席事由として明文化している議会における産前産後期間の規定の有無

出産を欠席規定として明文化している議会において、産前産後期間について具体的な規定を設けている議会は、都道府県議会では35議会(約75%)、市区町村議会では1,128議会(約73%)となりました。


出産を欠席事由として明文化している議会における産前産後期間の規定の有無


Ⅳ 出産を欠席事由として明文化している議会のうち産前産後期間の規定がある議会における欠席可能期間

Ⅲで示した、出産を欠席規定として明文化しており、かつ、産前産後期間について具体的な規定を設けている議会においては、都道府県議会、市区町村議会共に全数が、労働基準法第65条に定める期間相当の期間(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間)を定めています。


Ⅴ 会議規則の整備による出産による欠席可能期間への影響

規則に定めがある場合のほか運用上の取扱いも含めて、出産により欠席が可能な期間をみると、都道府県議会、市区町村議会のいずれにおいても、労働基準法相当であるとした議会が大幅に増加し、期間の定めなしとする議会が大きく減少しました。

Ⅳで示したように、今回調査において欠席可能期間が労働基準法相当である議会は、全て産前産後期間について規則に規定を設けている議会であったことを踏まえると、標準会議規則の改正を踏まえ、各議会の会議規則に産前産後期間を明記する改正が進められたことにより、多くの議会で労働基準法相当の期間欠席が可能であることが明確になったといえます。


会議規則の整備による出産による欠席可能期間への影響


Ⅵ 今後の取組について

各地方議会において、両立支援に係る会議規則が整備され、議員活動と家庭生活を両立するための環境整備が進んでいることは、政治分野における女性の参画拡大に向けた一定の前進であるといえます。

内閣府では、候補者男女均等法を踏まえ、各政党や各議会における取組の「見える化」や環境整備を通じて、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組を後押ししていきます。


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