「共同参画」2022年2月号

トピックス1

性別による無意識の思い込み チェックシート・事例集の活用について
内閣府男女共同参画局総務課

内閣府男女共同参画局では、令和3年9月30日に公表した「令和3年度性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果」を基に、チェックシート・事例集を作成し、令和3年12月16日に公表しました。

調査では、回答者全体の76.3%に、性別による無意識の思い込みが見られ、特に50代、60代の年齢層において、性別役割の思い込みのある人の割合が高いことが分かりました。50代、60代の年齢層は、職場においては経営層や管理職など業務を管理する立場にある方が多いと考えられます。

令和の現在、昭和の時代とは、職場や家庭を取り巻く環境が大きく変わっています。標準世帯と呼ばれる専業主婦世帯が多かった昭和の時代と、共働き世帯が専業主婦世帯の2.5倍以上となった現在において、昭和の時代と同じ人事管理、業務管理を行うことは、環境の変化に対応できているとは言えません。例えば、人事担当者が、「男は仕事、女は家庭」という思い込みで、社内結婚した社員について、育児期間中の女性は育児に配慮したポストに配置するが、育児期間中の男性は育児期間中であることを考慮しないポストに配置するといった人事運用をしていると、当該社員の家庭内における家事・育児負担が、女性側に偏り、働きながら家事・育児の負担の多くを担うことになります。男性は、育児期間中であるにも関わらず、仕事が多忙で帰宅時間が遅くなれば、育児に関わりたくても関われず、人事上の配慮がされていないことで、結局は女性側が育児を一手に担うことにつながります。また、夫と妻子の間で生活時間のずれが生じることで、コミュニケーションもなかなか取れなくなってきます。このような状況は、家庭内不和や離婚などの問題を引き起こしかねません。

現在、3組に1組が離婚をしている状況にあります。性別による無意識の思い込みによる人事配置や業務管理などに起因する働き方、そのような働き方に影響を受けざるを得ない家事・育児の役割分担が離婚の一因になっていることも考えられます。離婚となれば両親の一方と暮らせなくなるなど、子どもの成長過程における様々な場面において、大きな影響を与えると考えられます。また、仕事と育児の両立が難しいと感じた若い人が、子どもはいらないという判断をする可能性もあり、少子化をますます加速させることにもなりかねません。

家庭に問題を抱えた構成員は、従前どおりに仕事をすることができなくなると考えられ、他の構成員にも仕事上での影響が生じることにもなります。

このように、組織における人事管理、業務管理の影響は、構成員一人一人の家庭への影響も大きく、それが巡り巡って結局は組織にも影響が出てくるため、特に、経営層や管理職、人事管理をする立場に就かれている方は、「男は仕事、女は家庭」といった専業主婦世帯が多かった昭和の時代とは違い、令和の時代の現在では、共働き世帯が半数以上と大きく変化していることを認識し、対応していく必要があります。

今回作成したチェックシート・事例集を、組織内における研修などに活用し、性別役割意識による思い込みがないかのチェックを行うことで、少しでも皆様に気づきの機会を提供することとなり、性別による無意識の思い込みに基づく多くの課題の解消に役立てていただければ幸いです。


チェックシート


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チェックシート・事例集はこちらで閲覧、ダウンロードできます
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/seibetsu_r03.html


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