「共同参画」2021年12月号

特集3

ぼうさいこくたい2021「集まれ!防災女性職員とその応援団」を開催しました
内閣府男女共同参画局総務課

令和3年11月6日(土)・7日(日)、国民の防災意識向上を目的とした「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2021」が開催されました。今年は、「~震災から10年~つながりが創る復興と防災力」をテーマに、様々な団体・機関がセッションやワークショップ、プレゼン、屋外展示を実施。コロナ禍を踏まえ、現地とオンラインの組合せで行われた今大会には、開催地の岩手県釜石市に約5,800人が来場、またオンラインでもたくさんの方が参加し、大盛況となりました。


「集まれ!防災女性職員とその応援団」プログラム

■開会の挨拶
林 伴子
内閣府男女共同参画局長

■事例紹介
多田 明世氏
よんなな防災会女子部管理者/元 大阪府茨木市危機管理課長

■情報提供
小野 協子
内閣府政策統括官(防災担当)付災害緊急事態対処担当企画官

■テーマ別ワークショップ
テーマ1
「これって私だけ?防災×行政女性職員~防災に関わる行政女性職員の本音トーク」
ファシリテーター 上園 智美氏
(一社)福祉防災コミュニティ協会

テーマ2
「防災と家庭との両立~みんなでみんなの命を守りたい! 防災×子育て・介護」
ファシリテーター 松村 直子氏
元 沖縄県北谷町役場総務部基地・安全対策課防災アドバイザー/Life+ Life laboratory 代表

テーマ3
「つながりで応援しよう!防災×男女共同参画×福祉」
ファシリテーター 湯井 恵美子氏
防災企業連合 関西そなえ隊事務局

■ワークショップの結果共有

■閉会の挨拶
内田 欽也
内閣府大臣官房審議官(防災担当)



今年は、男女共同参画局が初めての「ぼうさいこくたい」のセッションの一つを主催しました。その名も「集まれ!防災女性職員とその応援団」。地方自治体や省庁で防災や男女共同参画に関わる部局の職員のほか、地域の防災リーダーや防災士等、約100人がオンラインで一堂に会しました。

今回のセッションの目的の一つは、防災女性職員同士が「つながる」こと。災害対応では、地方自治体の役割が大変重要であり、各自治体で男女共同参画の視点からの取組が進められることが不可欠です。その具体的な取組の一つが「防災部局に女性職員を配置すること」ですが、現状では、国においても地方自治体においても防災部局の女性職員は少数派であるため、組織で意見を言いづらい、災害対応での悩みを相談しづらい等、女性職員が所属内で孤独を感じることも多いという声が聞かれました。そこで、防災に関わる女性職員が日頃の業務で感じていることや、実際の災害対応でモヤモヤしたことをざっくばらんに話し、一緒に解決方法を考えるためのワークショップを実施しました。

もう一つの目的は、行政と民間が「つながる」こと。災害対応において行政の責任は大きい一方で、行政による対応には限界もあります。そのため、地域防災リーダーや防災士等に「応援団」として参加いただき、平常時から行政と民間が「つながる」ための事例紹介等を行いました。

また、今回のセッションには「よんなな防災会女子部」と「オンライン市役所デザイン部 図解・グラレコ課」に共催団体として参加いただきました。企画から当日の事例紹介、各ワークショップのファシリテーター、セッションのグラフィック・レコーディング(グラレコ)に至るまで御協力いただいたおかげで、参加者の満足度も高く、セッションは大成功のうちに終了しました。


開会の挨拶

林 伴子 男女共同参画局長

林 伴子 男女共同参画局長

女性職員が防災の現場に参画することで質の高い災害対応につながること、また防災分野における男女共同参画の視点に立った日本の取組は、国際的にも高く評価されており、今後も全国各地で男女共同参画の視点からの取組が促進されるよう国として支援していくというメッセージが伝えられました。


事例紹介

多田 明世さん よんなな防災会女子部管理者

多田 明世さん よんなな防災会女子部管理者

平成30年大阪北部地震発生時、大阪府茨木市危機管理課長として災害対応をした多田さん。実際に自分や家族が被災した中で、災害対応業務を行った自治体職員としての体験をお話いただきました。

気象警報対応業務では、夜中に職場から呼び出され、何日も家を空けることが続くと、夫から「家族も巻き込まれているからね」と言われたが、北部地震発生時には、「家のことは気にしないでしっかりやってこい」と家族が送り出してくれたことが心強かったと話し、平常時から災害時にはどうするのかを、家族と共有しておくことが必要と述べられました。

また茨木市では、以前から男女共同参画部局や男女共同参画センターと連携し、女性防災リーダー育成事業や職員向け防災研修を実施していたことで、講座参加者とのつながりや研修での学び、職員防災訓練などが実際の災害対応でとても役立ったとのことでした。

そして最後に、女性が防災部局にいること、そして居続けること、また違和感を覚えたら、言いづらくても言葉にしていくことが大切、と全国で頑張る防災女性職員へのアドバイスとエールを送られました。


情報提供

小野 協子 災害緊急事態対処担当企画官

小野 協子 災害緊急事態対処担当企画官

内閣府防災担当と男女共同参画局の女性職員により結成された「防災女子の会」がとりまとめた、女性の視点からの災害対応に関する提言及び提言を踏まえた取組について紹介いただきました。

また、自身が内閣府調査チームの一員として被災地に派遣された経験を踏まえ、女性の視点に立った取組を実践するには、女性職員が災害対応の現場にいることが重要であることを述べられました。


テーマ別ワークショップ

3つのテーマで参加者がグループごとに分かれ、ファシリテーターを中心に意見交換や情報共有を行いました。


テーマ1
「これって私だけ?防災×行政女性職員~防災に関わる行政女性職員の本音トーク」

ファシリテーター 上園 智美さん
グラレコ 山内 あかりさん

テーマ1は、地方公共団体や省庁で防災に関わる行政の女性職員(元職員も含む)に限定して実施。参加者の自己紹介とともに、防災に関わる職員として日頃から抱えている悩みや疑問を共有しました。

多くの参加者から、防災部局に配属されている女性が少ない、女性一人だけなので「自分の意見=女性の意見」のようになってしまう、という悩みが聞かれました。また、災害時に外部からの電話に対応した時、男性職員に替われと言われてしまった方もいました。

一方、防災部局の女性職員が多く配置されている市の参加者からは、女性職員のネットワークを作ったとの情報共有もありました。

上園さんは、「防災は体力的に厳しいから女性には難しいと言われるのは残念。1人では難しくても、2人、3人と協力して取り組めばできないことはない。だからこそ防災部局に女性が増えることが大事」と述べ、今回のワークショップをきっかけに、今後もよんなな防災会女子部を通じてつながっていくことを約束しました。



テーマ2
「防災と家庭との両立~みんなでみんなの命を守りたい! 防災×子育て・介護」

ファシリテーター 松村 直子さん
ゲストスピーカー 山中 弓子さん
看護師・防災士、親子支援・災害看護支援*てとめっと
グラレコ 廣瀬 杏奈さん

最初に、自衛隊の「緊急登庁支援制度」や山中さんの災害対応時の体験談が事例として紹介されました。続いて参加者から、緊急時の子どもの預け先、在宅介護中の両親を置いて現場に行くことへの不安、また自治体では市民サービスが第一なので、育児や介護をする職員への支援は後回しになるといった、災害対応業務における様々な課題が共有されました。

こうした課題に対し、被災地の自治体職員の活動を支援するネットワークや元行政職員にも積極的に頼って協力体制を作るのはどうか、といった提案が出されました。

最後に、松村さんの「介護や子育てを一人で対応するのは難しく、配慮が必要だと気づいてもらうことが大切。まずは声を上げることから始めよう」という言葉に、参加者全員が励まされました。



テーマ3
「つながりで応援しよう! 防災×男女共同参画×福祉」

ファシリテーター 湯井 恵美子さん
ゲストスピーカー 山中 晶一さん
高知市職員、(一社)アスミー設立理事
グラレコ 山脇 英明さん

「学校が避難所になったら行政職員とどのように連携したらよいのか」という参加者の質問から議論が始まりました。湯井さん、山中さんから、行政職員は地域と行政の調整役であり、学校の先生を尊重し支えること、また現場の温度感を大切にすることが必要との回答がありました。

そして、行政職員には女性や男性の様々な地域の困り事を調整する役割もあり、計画やマニュアルの作成もその一つではあるが、まずは「対話」することが重要だとも述べられました。

最後に、性別や障害の有無にかかわらず、「自分の強みは何か、その強みをどのように生かして災害時困っている人を助けられるか、このワークショップをきっかけに考えてもらえたら嬉しい」との言葉で締めくくられました。



閉会の挨拶

内田欽也 内閣府大臣官房審議官(防災担当)

内田欽也 内閣府大臣官房審議官(防災担当)

男女共同参画局との連携をさらに進めていくとともに、防災担当においても働き方改革を進めていき、一人ひとりの負荷がかかり過ぎないような仕組みづくりを進めていくこと、そして将来的には防災部署に配属を希望する職員が増えていってもらいたい、と述べました。


最後に

1時間半という短い時間でしたが、充実したセッションとなりました。これからも防災女性職員とその応援団の皆様とのつながりを継続し、さらに広げていくために、男女共同参画局としても取り組んでまいります!


※よんなな防災会女子部
防災分野で少数派として頑張っている女子達をつなぎ、一人ひとりがそれぞれの場で、その能力を発揮し、楽しくいきいきと防災活動ができるよう、オンラインを通じて、定期的な学習会や意見交換会などを開催。
よんなな防災会女子部ひまわり通信
https://www.facebook.com/よんなな防災会女子部-ひまわり通信-100720872065535/


※オンライン市役所デザイン部 図解・グラレコ課
「オンライン市役所」は、現役公務員なら誰でも参加できるプラットフォーム。地域や所属などを超え、課題や経験をシェアすることで、互いを高めていくことを目的に活動。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
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