巻頭言
「若年女性を取り巻く現状〜コロナ禍で孤独深める女性たち〜」
2009年より、10代20代の生きづらさを抱えている女性たちの支援をしています。
活動の拠点は東京の渋谷で、相談室は神奈川県の横浜にあります。スタッフは30人ほどで、相談は全国から届き、LINE、メール、電話、オンライン面談、直接会って話を聞かせてもらうなどの相談を受けています。必要に応じて弁護士等と連携しながら、同行支援や一時的な保護、自立準備のための中長期保護などをしています。声を聴いて、女の子たちの現状を伝えて、悩みを一緒に考えて、相談者を必要な支援者へと繋ぐ「動く相談窓口」として活動しています。
「同居する恋人から暴力を受けているが、逃げる所がない」、「コロナで仕事がなくなって、所持金がわずか」、「お父さんから身体を触られる。嫌だけど怖くて断れない。死にたい」、こうした相談が毎日のように寄せられています。相談件数は月に約1000件、新型コロナ感染拡大後は2割ほど相談が増えました。
経済的に困窮している子に、性行為と交換で男が金を貸し付ける「ひととき融資」や経済的に余裕のある男性と一緒の時間を過ごし対価として金銭を得る活動の「パパ活」などにより、望まない妊娠をした、または不安を感じているという相談もありました。危険なアルバイトで稼ぐよう強要する親が、実はコロナ禍でお金に困っていたなど、子どもが間接的に影響を受けている場合も多く、貧困や暴力など、元々あった女性を取り巻く問題がコロナ禍で深刻化、顕在化しています。
じっくり話を聞くと、自分の生きづらさや状況をうまく伝えることができなくて、誰に助けを求めたらいいのかも分からないまま孤立する子たちの姿がありました。毎日生きるのが精いっぱいな彼女たちは、どんな支援を受けられるのか、情報をキャッチする余裕すらありません。そして情報を与えられても自ら相談窓口に出向いたり、申請をすることが困難な女性たちもいます。既存の支援だけでは不十分のため、こちらから声をかけて、手を差し伸べて伴走支援をしていきたいと思っています。
特定非営利活動法人BONDプロジェクト 代表
橘ジュン