巻頭言
女性が輝く先進企業表彰に関わって
内閣府男女共同参画局における女性が輝く先進企業表彰に7年間関わってまいりました。この間大変優れた企業の活動状況を具に観察することにより、日本においても着実にダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が進んできていることを感じ取ることができました。しかしこの動きを緩めてはいけないと思います。
私見ではありますが、D&I推進において重要なのはトップマネジメントの意識だなと思います。長期的な企業の趨勢を考えるとき、真の底から必要なことであるという気構えのあるトップの存在は重要だなと今更感じる次第です。
次に重要なのはトップの情熱を具現化する執行役員・部長の役割です。崇高な理念をいかにシステム化するかは彼らの役割です。
最近ではサステナビリティ・ガバナンスという概念が欧米、特に欧州では重要視されています。社外取締役にD&Iに理解のある識者を選出し取締役会自体が重要なテーマとして認識し、トップの行動を監督するということになります。
私は大学教員になる前(2005年以前)は外資系企業に長らく勤めていましたが、1980年代においてもそこでは女性が溌剌と働いていたという印象があります。
従いまして大学での教え子の女性の方から、就職したその日本企業では「飲み会」が重要な参画すべき行事であることに違和感がある、と聞いたとき(2010年頃)この時代においてもそうなのかと、とてもがっかりしたことを覚えています。
幸い内外の機関投資家は今効果的D&Iの進展には相当の関心を抱いています。彼らの多くは長期的な業績推移と相関性があると信じています。この波は一過性のものではありません。過去の7年間の進展をこれから数年で従来になく加速化させることが日本社会の課題かと思います。
青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授
北川哲雄