「共同参画」2021年2月号

巻頭言

第5次男女共同参画基本計画の策定に関わって

2020年12月25日に「第5次男女共同参画基本計画」が閣議決定された。第5次の基本計画は、第4次の基本計画で実現できなかった課題と今後の社会経済構造の変化、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大で顕在化した女性を巡る諸課題などを踏まえて策定された。また、基本計画策定のための専門調査会では、公聴会やパブリックコメントを通じて建設的な意見をいただき、それを基本計画に反映する努力を行った。

「2020年30%目標」※に関しては、分野毎に進捗が遅れている要因を分析し、今後の課題を確認し、さらに第4次の基本計画策定後に成立した政治分野における男女共同参画推進法(2018年)、また経済分野における女性活躍推進法(2015年)や働き方改革関連法(2019年)など制度面の環境整備を踏まえて推進することとした。

例えば、政治分野では進捗が遅れている要因として、①立候補や議会活動と家庭生活の両立が困難なこと、②人材育成の機会が不足していること、③候補者や政治家へのハラスメントなどがあるなどと指摘している。今後はこうした要因の解消が求められることになる。また、経済分野の民間企業を取り上げると、女性活躍推進法(2015年)施行後に、企業の多くでは、課長直前の女性の課長への登用が進展したものの、それに続く人材が育成されていなかったため、女性の管理職登用が進展していない事例も少なくなかった。今後は、担当職から主任や課長へ、課長から部長へ、部長から役員へとキャリアが繋がるいわゆる「パイプライン」の構築が求められる。そのためには、社会のみならず、女性にもみられる「女性はリーダーとしての能力や資質を備えてない」などの「無意識の思い込み」を解消することも必要となろう。

こうした取り組みを通じて、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会」の早期実現を目指していきたい。

※「2020年30%目標」とは、2003年に政府が掲げた「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度となるよう期待する」との目標のこと。

中央大学大学院戦略経営研究科教授 佐藤博樹
中央大学大学院戦略経営研究科教授
佐藤博樹

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