「共同参画」2020年12月号

巻頭言

世界的なジェンダー平等と女性のエンパワーメント実現の必要性

新型コロナウイルスの感染者は世界で5,800万人を超え、死者も138万人に達し1、世界の経済成長率はマイナス4.9%になると予測されるなど2、人類は未曽有の危機に面しています。世界中のあらゆる関連機関が、最優先課題として対応に取り組んできました。そういった中で特筆すべきは、この危機の影響は、すべての人に対し同じではないということです。国連の報告書は、健康、経済、安全、社会保障を含むあらゆる領域において、女性・女の子がより大きな影響を受けていると述べています。

例えば、ロックダウンの実施とともに、特に女性に対するDVの増加が世界各地で確認されました。また、医療や社会保健分野での女性従事者の割合は世界の平均で約70%を占めますが、同時に、女性は男性に比べて約3倍の無償労働を家庭で担っています。リモートワークが普及するなか、家庭におけるジェンダー不平等が顕著に現れてきました。また、リモートワークができない職種、そして一般的に収入や貯蓄が少なく、不安定な非正規の仕事に就いている女性に対する経済的な影響の深刻さも指摘されています。

効果的な対策を実施するには、女性・女の子に配慮する施策が不可欠であり、そして復興後も見据え、これまでに達成した進歩から後戻りすることなく、さらにジェンダー平等と女性のエンパワーメントの達成を加速させることが急務となります。

UN Women(国連女性機関)は世界中で、女性・女の子に焦点を当てた支援事業・各種キャンペーンを実施してきました。さらに各国政府に対して、景気刺激対策や社会保障政策に、意思決定過程への女性参画も含め、ジェンダーの視点が反映されるように働きかけてきました。今回の危機に伴い顕著になったジェンダー不平等の問題は、日本を含め全ての場所に共通する課題です。こういった難しい状況だからこそ、ジェンダー平等と女性・女の子のエンパワーメントの実現のために力をあわせて取り組んでいきましょう。

1 2020年11月23日時点
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201123/k10012726741000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_036

2 https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2020/06/24/WEOUpdateJune2020

バングラデシュにて、UN Womenの支援を受けマスクを作成する女性達
バングラデシュにて、UN Womenの支援を受けマスクを作成する女性達
(Nadira Islam/国連女性機関)

UN Women(国連女性機関)日本事務所 所長 石川雅恵
UN Women(国連女性機関)日本事務所 所長
石川雅恵
(国連女性機関日本事務所)

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