「共同参画」2020年5月号

トピックス2

「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進」について
内閣官房 内閣人事局

 男性の家庭生活への参画促進は、男性自身の仕事と家庭の両立のみならず、女性の活躍促進等の観点からも極めて重要です。
 国においては、民間部門を含めた我が国全体の育児休業等の取得率向上につなげていくためにも、国家公務員が率先して思い切った取組を進めることとし、令和2年度から、子供が生まれた全ての男性国家公務員が、1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得することを目指すこととしました。
 ここでは、取組の背景や取得促進策の概要について、紹介します。

1.男性が育休をためらう要因

 男性国家公務員の育児休業取得率は12.4%と民間企業の6.16%と比べて高いですが、取得期間は短期(1か月以下が68.7%)で、女性の取得状況(取得率98.5%、平均取得期間14.3月)と比べて差が大きく(※1)、取得促進に向けて一層の環境整備が必要と考えられています(図1)。

(※1)内閣人事局「女性国家公務員の登用状況及び国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」(令和元年11月公表)、厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査」

図1 国家公務員の育児休業取得率
図1 国家公務員の育児休業取得率

 国家公務員への調査では、男性職員(50歳未満)の「育児休業」の取得意向(潜在的なものも含む)は8割を超えています。一方、取得をためらう要因として、収入面の懸念のほか、業務の多忙さや職場の雰囲気を挙げる者が多く、これは民間企業とも同じ傾向にあります(※2)。

(※2)出典:内閣人事局「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進に関する職員アンケート調査」(令和元年12月中間集計公表)、厚生労働省「平成30年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書(労働者アンケート調査結果)」

2.取得促進策の概要

 これらを踏まえ、男性職員の育児に伴う休暇・休業の取得促進には、本人のみならず上司をはじめ職場全体で取り組むことが重要との認識のもと、昨年末に決定した政府方針(※3)では、具体的な取組として、①上司である管理職員による取得計画の作成や業務面での環境整備、②幹部職員や人事当局の積極的な関与、③取組状況の人事評価への適切な反映などに取り組むこととしています。

(※3)政府として決定した「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針(令和元年12月27日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)」

3.取得期間「1か月以上」とその考え方

 取得促進に当たっては、期間について、育児に参画する時間をきちんと確保する観点から、原則として子の出生1年後までに「1か月以上」を目途としています。また、収入減への懸念や柔軟な取得への要望も踏まえ、多様なニーズに対応できるよう、育児休業のみではなく、「男の産休」(※4)、育児時間、年次休暇等を幅広く対象とし、育児に伴う休暇・休業全体で、取得の促進に取り組むこととしています。また、取得時期については、本人の判断によりますが、特に、出産後の女性の心身両面の負担を踏まえ、配偶者の出産後8週間経過する日までに一定期間まとめて取得することを推奨しています。

(※4)男の産休:配偶者出産休暇(2日)及び育児参加のための休暇(5日)

4.取得しやすい環境整備の工夫

 実際に取得を検討していく際には、部下本人からは言い出しづらい雰囲気を払しょくするため、管理職が取得勧奨を行い、本人の意向を確認して管理職が取得計画の作成を行うこととしています。また、休暇・休業等を取得した場合の業務分担の見直し等についても管理職においてしっかり対応することが求められます。こうした環境整備について、幹部職員や人事当局が積極的に関与することとしており、その取組状況は、(本人ではなく)管理職等の人事評価にも適切に反映することとしています。(図2)。

図2 標準的な取組の実施方法の例と役割分担のフローイメージ
図2 標準的な取組の実施方法の例と役割分担のフローイメージ

 また、休暇・休業の取得が自己目的化することなく、当該期間はもちろん、その後の育児にとってもできるだけ意味があるものとなるよう、先進的な取組を行っている企業の協力もいただき、家族の役割分担等を考えるための材料として「家族ミーティングシート」を作成し、各府省に提供しています。

 政府が決定した方針に限らず、各種計画書や家族ミーティングシートなどについては、内閣人事局のHPでも公表しており、ぜひ御覧になっていただければと思います。(図3)。

図3 家族ミーティングシート
図3 家族ミーティングシート

 男性が安心して育児に参画することができる組織、社会づくりに向けて、こうした政府の取組が参考になれば幸いです。

詳細は、こちらをご覧下さい。
男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進特集ページ


【HP】 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/male_childcare/index.html

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