特集
2019年度男女共同参画に関する世論調査の結果
内閣府男女共同参画局調査課
内閣府では、数年おきに、「男女共同参画社会に関する世論調査」を実施しており、本年9月に調査した結果を11月に公表しました。今回調査は標本数5,000人に対し、有効回収数2,645人(52.9%)でした。うち女性1,407人、男性1,238人でした。
ここでは、いくつかの結果について御紹介します。
なお、平成28年度の世論調査から、対象年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられています。
女性の就業継続を支持する考え方が男女合わせると初めて60%超えに(図表1)
一般に女性が職業をもつことについての考え方を問う質問では、「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」といういわゆる就業継続を支持する回答が61.0%と最も多く、次いで「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」(20.3%)となっています。男女別にみると、就業継続を支持する回答は、女性が63.7%、男性が58.0%となり、女性の方が多いものの、男性も6割近くが就業継続を支持しています。
時系列的にみると、就業継続を支持する考え方は、これまで増加傾向にあります。26年調査では44.8%と減少しましたが、28年調査では54.2%に増加し、今回は大きく数値を伸ばして、初めて60%を超えました。こうした結果は、女性が職業を持ち続けることに賛同する考え方が、男性も含めて、より一般的になったことによるものではないかと考えられます。
固定的性別役割分担意識は、「賛成」が過去最少に(図表2)
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」との考え方、いわゆる固定的性別役割分担意識を問う質問では、「賛成」は35.0%と、過去最少の割合となり、「反対」は59.8%と過去最多となりました。これまで長期的には「賛成」が減少傾向、「反対」が増加傾向となる中で、24年調査においては、「賛成」と「反対」が逆転したものの、26年調査では再度反転し、今回も引き続き、「反対」が「賛成」を大きく上回っています。
「賛成」もしくは「反対」と考える理由についてもあわせて聞きました(複数回答)。「賛成」とする理由としては、「妻が家庭を守る方が、子供の成長などに良い」が55.2%、「両立しながら、妻が働き続けることは大変」が44.7%となっています(いずれも賛成者中)。また、「反対」とする理由としては、「固定的な役割分担意識を押しつけるべきではない」が56.9%、「妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良い」が43.3%となっています。
女性が増える方がよいと思う職業や職種(図表3)
職業や役職について今後女性がもっと増える方がよいと思うのはどれか、という質問はこれまで選択肢を見直し、入れ替えながら継続してきました(複数回答)。結果は「国会議員、地方議会議員」(59.3%)が最も多く、次いで「企業の管理職」(48.7%)、「閣僚(国務大臣)、都道府県・市(区)町村の首長」(47.0%)、「小中学校・高校の教頭・副校長・校長」(41.7%)、「国家公務員・地方公務員の管理職」(40.4%)等となっています。政治分野や企業、行政における管理職などの女性がもっと増える方がよい、という回答が多くなりました。
男女共同参画に関する用語の認知度(図表4)
男女共同参画に関する言葉のうち、見たり聞いたりしたことがあるものを問う質問も、これまで継続して調査してきました。今回調査(複数回答)でも、「配偶者などからの暴力(DV)」が81.5%、「男女雇用機会均等法」が79.3%と8割前後の高い認知度がありました。次いで、「男女共同参画社会」(64.3%)、「ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別)」(55.8%)、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」(43.1%)等となっています。特に「ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別)」は前回調査(平成28年)の40.3%から大幅に上昇しました。
家事等に対する配偶者との役割分担については「配偶者と半分ずつ分担したい」が多い(図表5)
今回調査では初めての設問もありました。その一つ、育児、介護などの家庭で担われている役割について、自分と配偶者でどのように分担したいと思うかを問う質問では、保育所、訪問介護、家事代行などの外部サービスの利用/非利用を含め「自分と配偶者で半分ずつ分担したい」との回答が最も多く、育児は56.6%、介護は64.4%、育児・介護以外の家事は58.3%となっています。そして、「自分と配偶者で半分ずつ分担したい」の意見は、いずれも若い層ほど高くなる傾向があり、18~29歳では70%を超えます。
その内訳を見ると、「育児」は、「自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)」が31.4%、「外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担」が25.2%となっており、「介護」は、「外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担」が47.8%、「自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)」が16.6%となっており、「育児・介護以外の家事」は、「自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)」が39.7%、「外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担」が18.6%となっています。
結果、育児と(育児・介護以外の)家事は、保育所、家事代行などの外部サービスを利用せずに行いたいと思う人が多いのに対し、介護は、訪問介護などの外部サービスを利用しながら行いたいと思う人が多いという結果になりました。(図表5−②)
こうした結果は、家庭内で家事分担を行うことに賛同する考え方が、より一般的になったことによるとともに、介護等を中心に外部サービス活用も検討されているという結果によるものではないかと考えられます。
最後に
今回調査では、これまでに紹介したもののほかに、男女の平等感、旧姓使用、女性に対する暴力、男女共同参画社会の達成状況などについての意識を問いました。
これらの調査結果については、女性の活躍推進及び男女共同参画社会の形成の促進に向けた施策の検討及び実施に係る参考資料として活用していきます。
今回調査結果の詳細につきましては、以下のキーワードを検索してください。