「共同参画」2019年7月号

トピックス2

「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査(第4回)」の概要と結果
国立女性教育会館研究国際室

1.調査の概要

「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」では、平成27年以降、毎年10月に追跡調査を行っており、平成30年に第4回目の調査(入社4年目時点)を実施しました。

この調査は、同一個人に同一質問を繰り返し尋ねる「パネル調査」であり、調査対象者の意識や行動の「変化」を精緻にとらえることが可能です。

■ 調査対象

第1回調査の対象は、協力企業17社に平成27年に入社した新規学卒者(大学・大学院卒)2137人(女性836人、男性1301人)。

企業17社は、正社員が3000人以上(10社)、1000人以上2999人以下(4社)、800人以上999人以下(3社)の大企業で、金融業1社、建設業1社、コンサルタント業1社、サービス業7社、商社・卸業1社、通信・ソフト業2社、製造業4社(本社は東京15社、埼玉1社、大阪1社)。

■ 調査方法

WEBアンケート調査

■ 有効回答数・回答率

第4回調査(入社4年目): 800人(女性321人、男性479人) 女性63.4%、男性45.4%

2.主な結果

■ 成長実感と仕事の将来性・能力不安

(分析対象:入社1~4年目全調査の回答者)

(1)男女ともに、「担当業務を遂行するための知識・技能」が「ある」(=「十分にある」+「ある程度ある」)と思う人が増えており、仕事ができるようになってきた、という実感が年々高まっています。

(2)しかし今の仕事に将来性を感じる人は減っています。「将来のキャリアにつながる仕事をしている」について「あてはまる」もしくは「どちらかというとあてはまる」と回答した人は、男女ともに、1年目に対して4年目には、大きく下がりました。また、毎年、女性の方が「あてはまる」割合が少ないことから、女性は男性ほど将来性を感じていないといえます。

【設問】担当業務を遂行するための知識・技能

【設問】将来のキャリアにつながる仕事をしている

(3)さらに女性は、能力不安がほとんど減少しません。「自分の能力で今の仕事を続けていけるか不安である」について、「あてはまる」もしくは「どちらかというとあてはまる」と回答した人は、1年目は女性58.5%、男性53.1%です。4年目には、男性は41.9%に下がりますが、女性は61.3%に微増しています。

【設問】自分の能力で今の仕事を続けていけるか不安である

■ 職場環境と仕事の将来性・能力不安

・男女ともに、職場環境の評価の高い人つまり、「教育・訓練の機会が充実している」「相談できる同僚・仲間が職場にいる」「上司はあなたの育成に熱心」と感じている方が、「将来のキャリアにつながる仕事をしている」「自分の能力で今の仕事を続けていけるか不安ではない」と感じています。(入社4年目、図は省略)

・しかし職場環境に対する評価は、年々下がっています。男女ともに、「教育・訓練機会が充実している」「上司は育成熱心」と思う人は年々減少傾向です。(分析対象:入社1~4年目全調査の回答者)

【設問】職場では、仕事に必要な教育・訓練の機会が充実している

【設問】上司はあなたの育成に熱心である

3.第1~4回調査からの全般的な傾向

以上のように第1~4回調査の結果から、男女ともに「知識・技能が身についてきた」という成長実感は得ているものの、仕事に将来性を感じる人は減少していること、また女性は、自身の能力に対する不安が減少しないことがわかりました。能力不安を払拭し、将来性ある仕事を得るために必要な職場環境については、男女ともに年々評価が下がっています。

本調査の詳細については、https://www.nwec.jp/about/publish/2018/ecdat60000002plv.htmlをご覧ください。

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