「共同参画」2019年5月号

特集1

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2018(概要)
社会で支える継続就業〜「働きやすさ」も「働きがい」も〜
内閣府男女共同参画局仕事と生活の調和推進室

仕事と生活の調和が実現した社会に向けて、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(2007年12月策定)に基づき、官民一体となって、様々な取組が進められています。「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」では、取組の現状、今後の課題等を「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート」にまとめ、毎年公表しています。

今号では、2018年度のレポートの中から、巻頭特集として取り上げた「女性の継続就業と子育て支援」について御紹介します。

1.第1子出産前後の女性の継続就業率

第1子出産前後に女性が就業を継続する割合は、これまでは4割前後で推移していましたが、最新の調査では53.1%となっています。  

就業を継続している者の状況を見ると、育児休業制度を利用して就業を継続している者の割合が大きく上昇していることが分かります。一方で、第1子出産を機に離職する女性の割合もなお46.9%あり、依然として高い状況です(図表1)。

【図表1 出産前有職者に係る第1子出産前後での就業状況】

第1子出産前後の就業異動の状況について見ると、就業形態の異動は少ないことが分かります。正規の職員は、育児休業制度を利用して、正規の職員として就業を継続する者が多数である一方で、パート・派遣の形態の職員として働いていた者は、育児休業制度の利用率が低く、出産後、労働市場から離れてしまう者が大半を占めています(図表2)。

【図表2 第1子妊娠前の従業上の地位別にみた妻の就業異動の状況(正規の職員、パート・派遣)】

2.出産・育児と女性の就業状況

過去5年間(2012年10月〜2017年9月)の女性の出産・育児を理由とする離職者の割合は、多少の変動はあるものの、2007年以降離職者総数の1割程度で推移しています。過去5年間に出産・育児を理由に前職を離職したものの、調査時点で仕事に復帰している者の割合は、上昇しており、出産・育児を理由に一度離職しても、数年程度で再び仕事に就いている者が増えています(図表3)。

【図表3 出産・育児を理由とした離職と復職の状況】

3.無業者の就業希望状況

育児をしている女性と女性の無業者全体を比べると、15〜24歳を除いて、育児をしているか否かで就業希望率に顕著な変化は見られませんが、育児をしている男性は、男性の無業者全体と比べて、いずれの年齢階級においても就業希望率が大きく上昇しています。

なお、同様の比較を行った場合、15〜24歳の女性は、就業希望率の上昇が、男女、全年齢階級を通じて最も顕著です(図表4)。

【図表4 就業を希望する者の割合】

また、就業を希望している無業者のうち、実際に求職活動を行っている者の割合は、25歳以上のいずれの年齢階級においても、女性が男性を下回っています。無業の就業希望者について全体と育児をしている者を比較すると、女性は、育児をしている者の方が実際に求職活動をしている割合が低いのに対し、男性は、育児をしている者の方が、実際に求職活動をしている割合が上昇しており、女性と男性で逆の傾向を示しています(図表5)。

【図表5 実際に求職活動を行っている者の割合】

4.女性の継続就業へ向けた取組

女性の活躍を進めるためには、女性が出産後のキャリアを継続できるよう、多様な働き方に向けた環境整備、企業における意識改革と理解の促進などの総合的な取組を進めることが重要です。

そうした観点から、2018年度のレポートでは、国や地方公共団体における女性の継続就業を推進・支援するための取組を紹介しています(図表6及び7)。また、企業において仕事と家庭の両立とキャリア形成に資することを目的として行われている、多様で柔軟な働き方を支援する先進的な取組についても紹介しています(図表8)。

【図表6 新・ダイバーシティ経営企業100選/100選プライム(経済産業省)】

【図表7 あすばるキャリアアップ・カレッジ(福岡県)】

【図表8 仕事と家庭の両立サポートハンドブック(小田急電鉄)】

5.「新・放課後子ども総合プラン」

保育の受け皿整備や保育人材の確保を着実に進め、待機児童の解消を図ることは、最優先で取り組む課題であるという認識の下、国は、女性の就業率80%に対応する保育の受け皿を整備する「子育て安心プラン」及び「放課後子ども総合プラン」を前倒しするとともに、2018年9月に、2019年度からの5年間を対象とする「新・放課後子ども総合プラン」を策定しました。「新・放課後子ども総合プラン」では、全ての小学校区で一体的に又は連携して放課後児童クラブ及び放課後子供教室を実施し、うち一体型については、1万か所以上で実施することを目指しています(図表9)。

【図表9 放課後子ども教室と学童クラブ(放課後児童クラブ)の一体型の取組(小平市)】

6.今後の課題

女性の継続就業率が上昇する一方で、第一子出産を機に離職する女性の割合は依然として高く、仕事と子育ての両立への負担が女性の就業継続の大きな障壁となっています。また、正規職員の継続就業率は上昇しているものの、非正規職員の継続就業にはなかなか結びついていないこと、育児中の女性で就業を希望している者は多いものの、実際に求職活動を行っている者は少なく、男女で大きな違いがあります。

女性が就業を継続しやすくすること、また一旦出産・育児で離職をしても再度労働市場に参入しやすくすること等、就業を希望する女性が働くことができるよう、引き続き課題の把握を行うとともに、効果的な対策を行うことが求められます。


※仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2018の詳細は、HPをご覧ください。
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-18/zentai.html

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