「共同参画」2019年3・4月号

トピックス1

スポーツ分野における男女共同参画の推進
スポーツ庁

第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日決定)では、スポーツ分野においても、生涯を見通した健康な体づくりを推進するため、女性のスポーツ参加を推進するなどの環境整備を行うことが定められています。

今回は、スポーツ分野における男女共同参画の推進に係る施策の基本的な方向性や具体的な取組をご紹介します。

1.施策の基本的な方向性

生涯にわたる女性の健康を確保するためには、運動習慣の有無が密接に関連することから、生涯を通じた健康づくりのための身体活動を推進するとともに、男性に比べ女性の運動習慣者の割合が低いことなどの課題に鑑み、女性のスポーツ参加を促進するための環境整備を行います。その際、男女の健康状況や運動習慣が異なることを踏まえた取組を進めることができるよう、スポーツ指導者においても、女性の参画を進める必要があります。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、女性アスリート特有の課題に対応した競技環境の改善を推進します。

2.具体的な取組

(1)女性のスポーツ参加促進

平成30年度にスポーツ庁が全国18歳~79歳の男女20,000人を対象に実施した調査では、女性は男性と比較してスポーツ実施率が低い傾向があります。年代別に見るとその差は年代が低くなるほど開きが大きくなり、特に10代(18歳、19歳)では、男性67.5%に対して女性は57.7%と全世代の中で最も差が大きくなっています。

平成30年9月、スポーツ庁では、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目的として、「スポーツ実施率向上のための行動計画」を策定し、この中では広く国民全体に向けた取組に加え、「女性」を主な取組対象の一つとして位置付けています。

具体的な取組としては、妊娠・出産・子育て期など激しい運動ができないときや時間や場所に制限がある中でも気軽にスポーツができるプログラムの開発に取り組んでいます。その他、女子生徒のスポーツ実施の二極化や、食べない・運動しないことによる痩せすぎ、身体機能の低下も懸念されていることから、女性をはじめ国民及び幅広い関係者に対してメッセージを発信する「女性のスポーツ促進キャンペーン(仮称)」等を実施することとしています。

年代別・性別の週1回以上スポーツ実施率(10代~70代)
年代別・性別の週1回以上スポーツ実施率(10代~70代)


(2)女性アスリートのサポート

女性アスリートについては、身体的な理由等から妊娠・出産期に第一線で競技を続けることが難しく、また、育児と競技生活との両立にも課題が多いことから、妊娠等を機に現役を引退するケースが多くみられます。しかし、平成27年度にスポーツ庁の委託で独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」という。)が行った調査では、女性アスリート282人のうち3割超が出産後の現役続行を望むと回答するなど、日本でも、近年育児をしながら競技生活を続けたいと考える女性アスリートが増えています。

スポーツ庁では、JSCに委託し、平成25年度から出産を経験したアスリートの事例調査やニーズ調査を行い、得られた知見を基に、平成27年度から、産前・産後のアスリートへのトレーニングサポートを実施しています。

また、JSCでは、平成24年度から、ナショナルトレーニングセンターでトレーニングをする女性アスリートやコーチのために同センター内に託児所を設置しています。これに加え、スポーツ庁の委託事業として、長期遠征や休日練習等、普段の保育所等で対応できない事情が生じた際に、一時保育やベビーシッター等の経費の一部を支援する取組を実施しています。

さらに、これから出産を望むアスリートや産後復帰を目指すアスリートのネットワークづくり・情報共有を支援しており、平成26年度にママアスリート・ネットワーク(MAN)が立ち上げられました。MANは、年1回程度のワークショップを開催し、出産後も競技を続ける現役アスリートのロールモデルの紹介や情報交換を行っています。

(3)女性スポーツ指導者の活動促進

女性アスリートの育成・支援に当たり、指導者の育成も重要です。スポーツ庁では、平成30年度は、出産・育児等、女性特有のライフイベントにより女性コーチ等のキャリアが断絶してしまうことを踏まえ、女性スポーツ指導者等が活躍しやすくなるよう研修プログラムを開発しました。

(4)スポーツ団体における女性役員の育成

平成29年5月、「スポーツ団体の経営力強化に関する会合(女性役員登用促進等)」において、スポーツ庁と公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)等のスポーツ団体との間で、2020年までにスポーツ団体の女性役員の割合を30%に引き上げるとする「女性の活躍拡大に関する当面の取組方針」が了承されました。この取組方針に基づき、スポーツ庁では、スポーツ団体の女性役員育成のため研修プログラムの開発や、女性役員同士のネットワーク構築の支援等の取組を進めています。また、平成27年度からは、国際競技連盟等における日本人役員のポスト獲得支援も実施しています。事業開始当初、日本人役員数は17人でしたが、4年間の取組の結果31人に増え、第2期スポーツ基本計画に掲げる平成33年度(2021年度)までの目標である35人に近づいています。この31人の日本人役員のうち女性は4人と決して多いわけでありませんが、スポーツ界における女性の国際的な活躍は今後大いに期待できる領域であると考えます。

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201903