「共同参画」2019年2月号

取組事例ファイル/団体編

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言賛同者の取組

平成26年に「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言が公表され、現在200名を超える男性リーダーが本宣言に賛同しています。今月は3名の賛同者の取組を紹介します。


■ダイバーシティ&インクルージョン推進

MS&ADインシュアランスグループでは、2018年度からスタートした中期経営計画「Vision 2021」で、ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)を人財戦略のベースに位置付けました。

D&Iのアプローチ方法には二通りあります。

ひとつは性別、国籍、ハンディキャップの有無といった、ある種の区分を意識して、関連する指標を高めていくことです。女性管理職比率、男性育児休業取得率、障がい者雇用率などの指標がこれにあたります。一方で、区分を意識せず、誰一人として差別を受けたり萎縮したりすることのない普遍性も必要です。「区分を意識した指標の改善」と「区分を取り払った普遍性の確立」の両輪で、D&Iを推進していきます。

■推進には三つの要素が重要

 一つめは、企業情報を開示し透明性を保つことです。従来の男性中心型社会のように、閉鎖的な状況の中で物事を決定するのではなく、経営情報をできる限り開示して課題を解決することが大切です。

二つめは、「働き方改革」です。多様な人々が活躍できる基盤を構築することは企業の競争力を高めるうえで極めて重要なだけでなく、社員の働きがいにもつながります。

最後にイノベーションを起こす風土づくりです。「5%を改善するのではなく、30%の改善を目指せ」といわれるように、大胆な目標に取り組まなければイノベーションは生まれません。そのためには、誰もが自由に意見を言え、その意見を取り入れる意思決定プロセスが重要です。D&Iを推進する先には、世界のさまざまな社会的課題を解決し、企業が持続的に成長し、社員がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実感できる世界があると確信しています。

柄澤康喜
柄澤 康喜
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社
取締役社長 グループCEO

中期経営計画「Vision 2021」
中期経営計画「Vision 2021」



■女性の活躍できる職場=男性も活躍できる職場

山口県では、いわゆる女性活躍推進法の成立に先駆け、平成27年3月に「山口県女性職員活躍推進行動計画」を策定しました。この計画では、「女性職員がいきいきと活躍できる職場づくり」を取組の方向として位置づけるとともに、「両立支援」と「活躍支援」の二本柱に基づき、これまで様々な取組を進めてきています。

■両立支援の取組

まず、「両立支援」では、育児、介護等の家庭生活と職業生活の両立ができるように、フレックスタイム制や時差出勤を導入しています。また、男性職員の育児休業の取得促進にも努めており、子どもが生まれた男性職員に対し、お祝いと育児への参加を呼びかける、私自身のメッセージを送ることとしています。このほか、制度の周知や子育て応援ハンドブックの作成等に取り組んだ結果、平成23年度に0%だった男性職員の育児休業取得率は、平成29年度には13.9%まで向上しました。

■活躍支援の取組

「活躍支援」では、能力や適性が十分に発揮できるように、女性職員の積極的な登用を行っており、従来5%前後にとどまっていた課長級以上に占める女性割合が、平成30年4月には10.2%まで伸長しました。

男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる環境を整えることは、活力ある県づくりを進める上でもきわめて重要です。平成30年4月には、先述の県行動計画を改定したところであり、引き続き、実効性ある取組を積極的に進めていくこととしています。

村岡 政
村岡 嗣政
山口県知事

「子育て応援ハンドブック」より
「子育て応援ハンドブック」より

「山口県庁子ども参観デー」での一コマ(知事室にて)
「山口県庁子ども参観デー」での一コマ(知事室にて)



■出る杭を伸ばせ!

乃村工藝社は商業施設、文化施設、広報施設など、集客空間を創造する企業です。当社には126年前の創業時から老若男女問わず活躍できる風土がありました。「出る杭を伸ばせ!」という社風で、やりたいと手をあげた人の意見を尊重し、周囲がそれをバックアップしてきました。

当社には社員が誰でも応募できるビジネス提案制度があります。社員の30%を女性が占める中、多くの女性から積極的な提案があり、最近では入社2~3年目の女性たちが提案した「女性のための休憩スペースの新設」が入賞しました。女性が会社で休憩できる場所がないことへの気づきが提案につながり、受賞後、実現に向けて女性だけのプロジェクトチームを発足、「NEST ROOM」という女性専用の休憩室を新設しました。

■お客様への提案活動でも女性が活躍

2015年第9回キッズデザイン賞 優秀賞を受賞した「TeamM」は育児中の女性社員が、当事者ならではの視点を空間創りに活かした提案でした。育児中の社員でチームをつくり、授乳室やキッズスペース、保育園、学童保育施設などの空間に当事者の視点を加えることで、使い手に寄り添う空間をつくることができています。

また、TeamMは、子どもの身体寸法や事故事例を集めたデザイン指針書や産学連携による調査研究等の様々な活動実践と併せ、東洋大学の仲綾子准教授との共著で「こどもとおとなの空間デザイン」という著書を出版しました。子どものための安心、安全、快適な空間づくりのノウハウを、社内だけでなく、社会全体で利用可能にしていくための取組の一環です。

全ての人にここち良い空間づくりのために、今後ますます女性の活躍は欠かせないと確信しています。

榎本修次
榎本 修次
株式会社乃村工藝社 代表取締役社長


女性専用休憩室「NEST ROOM」
女性専用休憩室「NEST ROOM」

こどもとおとなの空間デザイン
「こどもとおとなの空間デザイン[対訳]」(産学社 2018年1月発売)
2018年 第12回キッズデザイン賞受賞



【御案内】「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言
賛同者による女性の活躍推進報告書を作成しました!

平成30年度版「『輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会』行動宣言賛同者による女性の活躍推進報告書」を作成しました。

報告書では、女性活躍推進に取り組む男性リーダーご自身の「想いや原点」、「行動宣言に沿った取組」などを紹介しています。

男性リーダーの熱い想いを感じ、取組を共有することで、皆様の組織における女性活躍推進の一層の加速にお役立ていただければ幸いです。

【主な掲載内容】

●女性活躍推進への想いや原点、行動宣言に沿った取組の実践
●地域における男性リーダーのネットワーク
●男女ともにあるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に対する取組
●管理職の行動・意識改革
●女性の活躍によって得られた成果

以下のサイトに掲載しています!
http://www.gender.go.jp/policy/sokushin/male_leaders/activity.html#report

日本語版と英語版
日本語版と英語版を作成

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