「共同参画」2019年2月号

連載/その2

「人権が尊重され、誰もが心豊かに安心して暮らせるまちをめざして」
那覇市長 城間 幹子

那覇市 市章

沖縄本島の南部西海岸に位置し、空港・港を擁す那覇市は、古くから東南アジアの各都市を結ぶ交通の要衝地点として、現代では沖縄への玄関口として、沖縄県の政治・経済・文化の中心として発展しました。

先の沖縄戦では多くの文化財が消失しましたが、中国と日本の建築文化を融合した独特の様式をもつ首里城や識名園の復元、2000(平成12)年にはこれらの文化施設がユネスコ世界遺産(琉球王国のグスク及び関連遺産群)にも登録され、琉球の歴史や伝統文化・芸術等が改めて見直されています。

2020年3月の供用開始を目指す那覇空港第2滑走路やクルーズ船バースの増設等による観光客の増加は、沖縄県のリーディング産業である観光業の発展と雇用状況の改善にもつながる大きな経済効果をもたらすものと期待され、当市は県都として今後ますます発展する可能性を秘めています。

2014(平成26)年に那覇市長に就任後は、「平和・こども・未来 -ひと つなぐ まち-」を高く掲げ、特に注力して取り組んだ待機児童の解消をはじめとするこども政策や、観光関連産業や情報通信産業、国際物流産業等の経済振興政策による「稼ぐ力」を高める幅広い施策を積極的に展開しています。

当市の男女共同参画行政の歩みは、本土復帰後の1976(昭和51)年に経済部労働福祉課(当時)に勤労婦人担当主査が配置され、当時は女性の地位向上や男女平等、女性の諸問題の解決を目指す女性行政の取組から始まっています。

その後、1998(平成10)年に「なは男女共同参画都市宣言」、2005(平成17)年に「那覇市男女共同参画推進条例」を制定し、性別や固定観念にとらわれず、一人ひとりが個性と能力を発揮できる社会、多様な生き方を尊重できる社会の実現を目指し活動を続けてきました。

そのような中、1996(平成8)年に開設された「なは女性センター」において、20年以上前からセクシュアリティに関する市民向けの講座や、窓口として明示はしていませんでしたが、女性相談のみならず、セクシュアリティに関する相談にも対応してきました。

これまでの当市の取組をアピールするとともに、性的マイノリティに関する問題を人権問題と捉え、「宣言」という形でより多くの市民に知っていただけるよう、2015(平成27)年7月、全国で2番目となる「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言(通称レインボーなは宣言)を発表し、性の多様性の尊重に関する取組を進めています。同宣言の1年後にあたる、2016(平成28)年7月8日には、全国で5番目となる「那覇市パートナーシップ登録」を開始し、2019(平成31)年1月21日現在、28組の方々の登録がございます。

これらの取組が市民・県民に少しずつ認知・理解され、当市のみならず、県内の自治体においても、市民や教育現場における多様な性の尊重に関する施策・取組が進められ、広がりをみせていることには感慨深いものがあります。

2021年に市制100周年を迎え、風格ある県都を目指す那覇市のリーダーとして、これからも、市民・事業者の皆様とともに、一人ひとりの個性や多様性を認め、誰もが安心して自己の意思であらゆる分野に参画できるまち・那覇の実現を目指し、邁進してまいります。


執筆者写真
しろま・みきこ/伊是名村出身。宮城教育大学卒業。昭和55年4月那覇市立石田中学校採用後、那覇市立鏡原中学校校長、香港日本人学校中学部校長、那覇市教育委員会教育長などを歴任。平成26年4月、那覇市長に就任(現在2期目)。趣味・特技:ウォーキング。座右の銘:要はその根をくさらせないこと(漫画「家栽の人」から)
内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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