「共同参画」2019年2月号

トピックス1

「行政、NPO、企業等官民連携で取り組む子供の貧困対策」
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付 子どもの貧困対策担当

子供の貧困?この日本で?

子供の貧困率は、平成27年時点で13.9%。およそ7人に1人が「相対的な貧困」の状態にあると言われています。「相対的な貧困」とはおおよそ、平均的な所得の世帯の半分に満たない所得のレベルで生活をしなければならないという状態です。今日の日本においても、子供の貧困という問題は現実に存在しているのです。

そこには、親の収入が少なく十分な教育を受けられない、進学や就職のチャンスにも恵まれず、十分な収入を得られず子供世代も貧困になる、という貧困の連鎖が生じているのです。特に、ひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%と、実に2世帯に1世帯が相対的な貧困の生活水準となっています。この30年間で母子世帯数は1.5倍、その80%以上が就業しているにもかかわらず、非正規の場合平均年間就労収入は約133万円です。

子供の大学等進学率は、全世帯の進学率73.0%に比べ、生活保護世帯(35.3%)、児童養護施設(27.1%)、ひとり親家庭(58.5%)において低くなっています。

経済的な困窮の問題はそれだけにとどまらず、生活習慣、健康管理、自己肯定感など、子供たちの成長に様々な影響を与えます。生育環境により、「頑張っても仕方がない」と、学ぶ意欲と将来への希望を失ってしまうのです。

子供の貧困問題を解決するために

国は、教育の支援(奨学金の充実等)、生活の支援(相談体制や居場所づくり、児童養護施設退所者支援)、保護者の就労支援、経済的支援(ひとり親家庭の支援等)の4本柱で子供の貧困対策の充実強化に取り組んできました。しかしながら、子供の貧困はその実態が見えにくく捉えづらい、また、必要な支援が行き届かないという課題があります。

そこで、現在、行政機関、NPO等の支援団体、企業等が連携して、社会全体でこの問題に取り組んでいます。民間の活動事例として、安心して過ごせる居場所づくり、子供食堂、学習支援、フードバンク等の取組があります。こうした活動には資金のみならず、食材、人材、ノウハウなども必要です。

広げよう、支援の輪

こうした子供たちへの支援を「子供の未来応援国民運動」として推進し、その一環として平成27年10月に創設された「子供の未来応援基金」で全国の支援団体に対して子供食堂や学習支援の活動資金を提供しています。寄付総額は平成30年末時点で累計10億円を超え、これまでに延べ165団体に支援を実施しました。

この基金の原資は企業寄付のほか、古本を活用した「こどものみらい古本募金」や、子供服をリユースする「こども服みらいファンド」、自宅に眠る物品を寄付する「お宝エイド」、飲料1本あたり10円を寄付する寄付型自動販売機の設置といった方法で集められています。

また、支援団体が企業等との交流を行い、連携した取組を推進するための「子供の貧困対策 マッチング・フォーラム」を全国(東京(1/25)、盛岡市(2/12)、周南市(3/14)、名古屋市(3/19))で開催中です。「自分たちにできることがないか」、手軽な支援方法を御紹介します。是非御参加ください。

▽▼詳細はこちら▼▽
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/forum/h29_forum-kaisai.html

子供の未来応援国民運動
ディック・ブルーナさんのイラストで「子供の未来応援国民運動」を推進


内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019