「共同参画」2019年1月号

トピックス4

「東日本から熊本への知見共有の現状について~多様な視点を踏まえた復興の取組事例発表~」について
復興庁男女共同参画班

はじめに

復興庁男女共同参画班では、平成30年10月6日(土)、いわて県民情報交流センター(アイーナ)において、岩手県及び岩手県男女共同参画センター主催「平成30年度男女共同参画サポーター養成講座」の一環として第5回公開講座「東日本から熊本への知見共有の現状について ~多様な視点を踏まえた復興の取組事例発表~」を開催しました。

東日本大震災においては男女共同参画を含めた多様な視点を踏まえて復興が進められた面もありましたが、本講座は熊本地震からの復興に当たり、東日本の多様な視点からの復興の知見・経験がどのようにいかされたかを参加者に伝え、今後の参加者自身の活動をより活発化させ、地域内外の復興を加速させることを目的に開催しました。

基調講演

冒頭、復興庁復興推進参与、(一財)ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎氏が基調講演を行いました。

田村氏からは、
・災害ごとに被害状況は違うが、参考になりそうなことを吸収して次に生かしていくことが大事。
・一本調子で復興が進んでいくと思っていると、進まなくなる時期が来たら「これで終わりになるのではないか」と不安に思う。途中で必ず踊り場があるということを理解しておくと心が安らぐことがある。
・男女を含め様々な人が運営に関わることにより、多様な視点が抜け落ちないようにすることが重要。
・今どういう状況で何が問題なのか、これからどうしたいのかを多様な担い手が連携し、スタートとゴールを明確にして共通認識を持つことが非常に大事。
などの話がありました。

基調講演:復興庁復興推進参与の田村氏
基調講演:復興庁復興推進参与の田村氏


事例発表①

石巻市の(特非)石巻復興支援ネットワーク代表理事の兼子佳恵氏、熊本県益城町の(特非)子育て応援おおきな木理事長の木村由美子氏から発表がありました。

兼子氏からは、
・まずは自分はここにいていいという承認される場所を作り、そして、生きがいを作り、生業を作る。そういうことをゆっくり丁寧に作ってきた。
・課題を持っている人たちを置き去りにしないで、自分たちもその方たちと一緒に作るということで、主体性を持って関わってもらえることを目指してきた。
・災害が起きると人・物・金がたくさん入ってくるけれども、地元で学ぶ、地元で何かを成し遂げる、そういう経験をたくさんしてもらうということにすごく気を付けて活動してきた。
・仮設住宅で様々な支援をするときに、自立支援、いうなれば自分を律する支援ということで、活動において必要なお金はきちんといただくこととしてきた。仕事がないという話をきいたら、それであれば仕事を作るというような流れで事業を作ってきた。
などの話がありました。

事例発表①:石巻復興支援ネットワーク代表理事の兼子氏(左)及び子育て応援おおきな木理事長の木村氏(右)
事例発表①:石巻復興支援ネットワーク代表理事の兼子氏(左)及び子育て応援おおきな木理事長の木村氏(右)


事例発表②

仙台市の(一社)パーソナルサポートセンター執行役員・名取市すまいとくらしの再建支援センターセンター長の髙木秀明氏と、熊本市の(一社)minori代表理事・益城町地域支え合い支援センターみなし仮設担当事業センター長の高木聡史氏から発表がありました。

髙木氏からは、
・伴走型支援においては、ワンストップサービス、相談を受けたらたらい回しにしない、再建まで付き合うという思想が大切であること。
・トラウマを抱えている人が支援員になる場合の対応。
・支援者、被災者の安全確保ということで、行動は必ず男女ペアとすること。
・支援員がやるべきこと、やってはならないことを箇条書きにして、徹底的に理解してもらった。
などの話がありました。

事例発表②:パーソナルサポートセンター執行役員の髙木氏
事例発表②:パーソナルサポートセンター執行役員の髙木氏


高木氏からは、
・民間による独自裁量で急性期に動くため、民間によるネットワーク組織を立上げたこと。
・震災当初、益城町ではボランティアの渋滞が起きていたことから、まずは自分の周りでできることから支援に取り組んだこと。
・訪問活動で大切なことは、困っている方を見付けることだが、そもそも困っている方に既につながっている団体を支援することによって、より効率的なアウトリーチができること。
などの話がありました。

事例発表②:minori代表理事の高木氏
事例発表②:minori代表理事の高木氏


終わりに

参加者のアンケートでは9割以上の方から、本講座に参加して「とても参考になった」「参考になった」と回答いただきました。

また、「私自身が被災者。その経験が役立つならお役に立とうと考えました。」、「素晴らしい活動の裏側で自身がとても苦労していて、その上で成り立っていたということに、改めて尊敬しました。」等の感想をいただきました。

本講座の資料や議事録は、復興庁HPに掲載されていますので是非御覧ください。
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-16/20181105103800.html
復興庁男女共同参画班 03-6328-0274

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