「共同参画」2018年12月号

特集

各国の駐日大使からのメッセージ(各国の男女共同参画の取組)

バングラデシュ、カナダ、フランス、ニュージーランド、スウェーデン、イギリス
6か国の駐日大使より、男女共同参画の取組に寄せたメッセージをご寄稿いただきました。

男女平等に対するフランスの取り組み
駐日フランス大使 ローラン・ピック閣下からのメッセージ

駐日フランス大使


エマニュエル・マクロン大統領は就任数カ月後の2017年11月、女性に対する暴力を根絶すべく男女平等を「国の大義」として掲げました。男女平等問題はあらゆる面で政治の優先課題です。1999年以来、「選挙によって選出される議員職及び役職への男女の平等なアクセスを促進する」ため、憲法改正や新法制定など法整備が進められました。この立法府の意志によって、大きな進歩を遂げました。

政治面では、2000年法と2013年法が候補者名簿を男女同数とすることを義務化、違反した場合に罰金を科す制度も導入され、女性の代表性向上につながりました。パリテ(男女同数)は2012年以降、政府内でもルール化されました。現内閣の閣僚数は男性17人、女性17人です。国民議会の女性議員比率は39%です。わが国では女性大統領はまだ誕生していませんが、女性が政治的要職に就くことは一般的になりました。女性の政治参画の拡大に伴い、政治活動で実力を発揮する有能な人材も増えています。

フランス現内閣の閣僚
フランス現内閣の閣僚(2018年10月)


進歩は経済・社会面でも

 女性就業率は近年上昇の一途をたどり、現在67.6%に達します。フランスでは男性だけが働くという伝統的な家族形態はもはや少数派です。適切な家族政策(父親・母親育児休暇、託児制度、大家族に対する経済的支援など)のおかげで、女性は経済的に自立し、私生活と仕事を両立しています。その結果、フランスの出生率はヨーロッパ屈指の高水準(女性1人あたり1.8人の子ども)にあります。2011年法は従業員500人以上の企業を対象に、取締役会と監査役会の女性比率を2017年を目途に40%以上に引き上げる目標を定めました。経済面でも、女性の役割と地位の強化は平等な権利の実現だけでなく、国の経済や人口動態の活性化につながります。

第一線で活躍するフランス女性たち
第一線で活躍するフランス女性たち 左から、
-クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事
-エマニュエル・シャルパンティエ博士(微生物学・遺伝学者)「生命科学」分野でJapan Prizeを受賞
-ローランス・テュビアナ元気候変動交渉担当大使(COP21特別代表)・欧州気候基金CEO


行政機関が模範を示す

2012年法は公務員の上級管理職・幹部職への女性登用率を40%以上にすることを定めました。これは即効性がありました。例えばヨーロッパ・外務省では、2012年に11%だった女性大使の比率が今や26%、47人に急増し、フランス外交の顔が大きく変わりました。

平等に向けて道半ば

完全な男女平等の達成はなお道半ばです。女男平等・差別対策担当副大臣が指摘するように、2018年の数字はまだ不十分です。女性が家事の72%を行い、女性の30%(男性の8%)がパートタイム労働者であるほか、女性は男性との賃金格差や低い管理職登用率に苦しんでいます。特に女性はカップル間や公共空間で、ハラスメント、身体的暴力、性的暴力の最大の被害者です。

男女平等は日仏交流・協力の優先テーマ、フランス対外行動の優先課題

日仏両国は経済・社会分野をはじめ、数多くの共通課題に直面しています。両国は高齢化、教育、社会政策・家族政策、男女平等などのテーマをめぐり共有すべきことが多くあります。経験とグッドプラクティスの共有は、われわれが日本で取り組む政治、経済、学術、文化の交流の優先課題です。これらのテーマをめぐる討論会が定期的に開催され、両国の専門家が接触する機会となっています。このようにしてわれわれは手を携えて前進し、日仏両国で女性が本来の地位を占めるように取り組みを進めています。

日仏交流160周年について

日本とフランスは今年、日仏交流160周年を迎えています。

この記念すべき年に、フランスからジャン=イヴ・ル・ドリアン・ヨーロッパ・外務大臣が1月に来日、国民議会議長が春に来日した一方、日本の河野太郎外務大臣が7月12日から14日まで、日本文化を紹介する「ジャポニスム2018」の開幕に合わせてフランスを訪問、皇太子殿下が9月7日から14日までフランスを訪問されました。

日仏両国は2013年より、同じ価値観の共有に基づいた「特別なパートナーシップ」で結ばれています。2019年にG20議長国を務める日本とG7議長国を務めるフランスは、多国間主義の強化、気候変動対策、テロとの闘いを共通の優先課題として掲げています。またG7では、人材育成を優先課題としており、男女平等も重要なテーマです。

日本はフランスにとってアジア第2位の貿易相手国、アジア最大の対仏投資国です。観光分野では、フランスはヨーロッパで日本人旅行者が最も多い国です。

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