行政施策トピックス
企業におけるダイバーシティ経営の推進にむけて
経済産業省経済産業政策局
我が国の経済成長のためには、女性、外国人、高齢者、チャレンジド(障がい者)など、多様な人材が能力を最大限発揮し、企業の価値創造に参画していくことが必要です。経済産業省では、多様な人材が活躍する企業を後押しするために、次のような取組を実施しています。
1.新・ダイバーシティ経営企業100選及び100選プライム
平成24年度より、多様な人材の能力を活かして、イノベーションの創出、生産性向上等の成果を上げている企業を表彰してきました。平成29年度は、121社の応募の中から21社(大企業9社、中小企業12社)を表彰しました(表1)。今年度表彰された企業には、社員の自発的なキャリア形成を促進するなど、多様な人材育成の取組が見られました。
また、平成29年度からは、新たに過去の受賞企業を対象に、特に先駆的に全社的、継続的取組を行う企業を「100選プライム」として選定しました。平成29年度は、70社の応募の中から、カルビー株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データの2社を選定しました。
(表1)平成29年度 新・ダイバーシティ経営企業100選
2.なでしこ銘柄
平成24年度より、東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の成長力」のある優良銘柄として投資家に紹介することで、各社の取組の加速化を図っています。
平成29年度は、表面的な対応に終始せず、経営成果につながる女性活躍推進の取組ができているかどうか、その情報を適切に資本市場、労働市場に公開しているかどうか等、取組の“質”に注目して「なでしこ銘柄」48社を選定しました(表2)。また、昨年度に続き、先進的な取組を実施する企業を「注目企業」として選出しました。
(表2)平成29年度 なでしこ銘柄
3.新・ダイバーシティ経営企業100選表彰式・なでしこ銘柄発表会
平成30年3月22日に「新・ダイバーシティ経営企業100選表彰式・なでしこ銘柄発表会」を開催し、平成29年度の表彰・選定企業を紹介するとともに、先進的な取組を広く発信するため、「100選プライム」選定企業の代表者として、カルビー株式会社 松本 晃氏\株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 柳 圭一郎氏および有識者として、中央大学大学院 戦略経営研究科教授 佐藤 博樹氏\ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社 高山 与志子氏\エム・エス・シー・アイ 内 誠一郎氏を交えたパネルディスカッションを開催しました。
パネルディスカッションでは、100選プライム選定企業代表者から、ダイバーシティ経営を会社全体で実践する際のポイントに加え、苦労した点や困難に直面した際にどう乗り越えてきたか等、具体的なエピソードを紹介するとともに、経営者の視点から、ダイバーシティ経営による意義や成果についてお話し頂きました。また、有識者を交えてダイバーシティ経営に取り組む上で重要なポイントとなるガバナンスの強化や情報発信の在り方について議論を行い、ダイバーシティ経営実践のヒントを提供しました。パネルディスカッションの詳細な概要は以下からご覧ください。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/ceremony/pdf/H29_gaiyo.pdf
【参考URL】
○新・ダイバーシティ経営企業100選(表彰企業の取組事例を御覧いただけます)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/
○なでしこ銘柄
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko.html
○ダイバーシティ2.0行動ガイドライン
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20170323001.html
会議の様子(田中代表による発言)
我が国からは、12日に田中由美子代表がテーマ(b)のラウンドテーブルに出席し、我が国は、農山漁村の女性をエンパワーし、活躍を助けることが、地方活性化と日本全体でのジェンダー平等を達成するために重要との考え方の下、様々な取組を行っていることを述べました。
具体的には「農業女子プロジェクト」の推進、農業経営者の経営力向上のためのWeb研修「オンラインアグリビジネススクール」の実施やICTを活用した園芸施設や家畜の管理、搾乳ロボット等の省力的技術の導入を通じ、生産性の向上とともに働きやすい環境整備をするための補助事業を実施していることなどを紹介しました。
また、女性に対する暴力への取組として、全国278か所(平成29年11月現在)に「配偶者暴力相談支援センター」を設置していることや「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」を全国の都道府県に最低一か所設置するよう、取組を進めていることなどを紹介しました。
合意結論及び決議
今回のCSWの成果として、合意結論及び決議が採択されました。
「合意結論」では、農山漁村女性の土地、土地保有、財産、相続権などの権利を保護するための法整備を進めていくことや、農山漁村の女性のICTへのアクセスを保障し、デジタル・ディバイドを解消することなどが要請されています。
決議としては、「パレスチナ女性の状況及びその支援」、「紛争下で捕虜とされた女性・児童及び拘置された者の釈放」、「女性、女児とHIV及びAIDS」、「女性の地位に関する今後の組織と作業方法」、「第4回世界女性会議25周年」が採択されました。
サイドイベント
会期中、各国政府、国連機関、NGO等により様々なサイドイベントなどが開催されました。
今回のCSWでは、初日の3月12日に日本政府とUN Women との共催で「LEAP ラウンドテーブル」、2日目の3月13日に国連日本政府代表部が日本のNGOと共催して「農山漁村地域の女性と少女のエンパワーメントに向けての活動」と題するサイドイベント、3日目の3月14日に国連日本政府代表部、国連インドネシア政府代表部、ジョージタウン大学、UN Womenとの共催で、WAW!2017フォローアップ及び国際的な発信を目的としたサイドイベント「女性のエンパワーメントを通じたコミュニティにおける暴力的過激主義(PVE):平和安全保障プログラムからの教訓」が行われました。
「LEAP ラウンドテーブル」では、自然災害や紛争などの危機影響下における女性及び女児のエンパワーメントについて議論され、出席した山下内閣府大臣政務官からは、国際社会の一員として、各国と共に女性及び女児のレジリエンス向上に向けた取組を加速していきたいとの発言がありました。
サイドイベント(LEAP ラウンドテーブル)
「農山漁村地域の女性と少女のエンパワーメントに向けての活動」をテーマにしたサイドイベントでは、日本の女性農業者を代表して農業女子メンバーであり、山形県で果樹園を経営している、結城こずえ氏がスピーカーとして登場しました。結城氏は、農業女子プロジェクトを通じて知り合った女性農業者のネットワークが加工や販路開拓など自身の経営の発展に繋がった、これからは次世代のリーダー育成のための環境づくりにも取り組んでいきたい、と述べられました。
サイドイベント(農山漁村地域の女性)
WAW!2017フォローアップのサイドイベントでは、日本の支援でUN Womenが実施するプロジェクトに触れつつ、コミュニティにおける小さなトリガーや他者の変化に気がつきやすい女性は、平和を推進する担い手であり、暴力的過激主義に対する女性の意識醸成と防止の取組における女性の参画は必須である旨が強調されました。
サイドイベント(WAW!2017フォローアップ)
来年のCSWについて
来年(2019年)の第63回CSWは、「Social protection systems, access to public services and sustainable infrastructure for gender equality and the empowerment of women and girls(社会保障制度、公共サービスへのアクセス、ジェンダー平等及び女性と女児のエンパワーメントのための持続可能なインフラストラクチャー)」をテーマに開催される予定です。