「共同参画」2017年7月号

行政施策トピックス2

「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」(第二回調査)の概要と結果
国立女性教育会館

1.調査の目的と特色

国立女性教育会館では、「生涯を見据えた早期からのキャリア形成支援を、男女共同参画の視点に立って行うための方策を探ること」を目的として、平成27年に民間企業の正規職についた男女(大学・大学院卒)を5年間追跡する「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」を行っています。平成27年10月の第一回調査(入社1年目時点)に続き、平成28年10月に第二回目の調査(入社2年目時点)を実施しました。

この調査は、同一個人に同一質問を繰り返し尋ねる「パネル調査」です。このため調査対象者の意識や行動の「変化」を、より精緻にとらえることが可能です。

そこで第二回調査結果と第一回調査結果を比較しつつ検証することで、「入社1年目から2年目にかけての初期キャリア期」に生じた変化や特徴をいくつかご紹介します。

2.第二回調査の概要

本調査の概要は、以下の通りです。

  • 1)調査対象:調査協力企業17社に平成27年に入社した新規学卒者(大学・大学院卒)2137人(女性836人、男性1301人)のうち、第二回調査時点での退職者などを除く1931人(女性753 人、男性1178人)。この17社は、正社員が3000人以上(10社)、1000人以上2999人以下(4社)、800人以上999人以下(3社)の大企業で、金融業1社、建設業1社、コンサルタント業1社、サービス業7社、商社・卸業1社、通信・ソフト業2社、製造業4社(本社は、東京15社、埼玉1社、大阪1社)。
  • 2)調査方法:WEBアンケート調査
  • 3)回答数:979人(回答率 50.7%)、うち有効回答数975人
  • 4)有効回答者の内訳:女性393人(40.3%)、男性582人(59.7%)
  • 5)調査実施期間:平成28年10月3日~平成28年10月22日

3.主な結果

以下は、入社1年目・2年目(第一回・第二回)の両調査に回答した女性305人、男性440人を分析対象とした結果です。

1)仕事満足度とプライベート満足度

仕事満足度とプライベート満足度(=趣味や友人関係などの満足度)は、2年目になると男女差がみられます。図1は仕事満足度、図2はプライベート満足度について、「満足している=4点、やや満足している=3点、やや不満である=2点、不満である=1点」として、男女別に平均点を算出したものです。

これによると入社1年目時点(第一回調査)では、仕事満足度・プライベート満足度とも、統計的に有意な男女差はありません(図1・図2の点線)。しかし2年目になると、仕事満足度は男性の方が、プライベート満足度は女性の方が高い傾向にあります(図1・図2の太線)。

図1:仕事満足度


図2:プライベート満足度


2)残業頻度の増加とワーク・ライフ・バランス

残業頻度は、男女とも2年目になると増加します。図3によると残業が「ほぼ毎日」は、女性は27.2%(1年目)から40.0%(2年目)へ、男性は25.2%(1年目)から45.5%(2年目)へと、男女ともに大きく増えました。一方、残業が「ほとんどない」は、女性は30.8%から11.1%へ、男性は33.2%から11.1%へと大きく減少しています。

図3:残業頻度


このような傾向から、男女ともにワークとライフのバランスが維持しにくくなっていると推測されますが、ワーク・ライフ・バランス重視の姿勢は1年目と変わりありません。たとえば「就学前の子どもがいるとき」の「理想の働き方」を尋ねたところ、女性は「短時間勤務」47.2%、「家でできる仕事」20.3%、「時間の融通がきくフルタイム」18.0%、男性は「時間の融通がきくフルタイム」45.0%、「残業のないフルタイム」26.8%と回答しました(第二回調査結果)。

しかしワーク・ライフ・バランスの維持が難しくなったためか、「結婚したり子どもが生まれたりしても、今の会社で働き続けたいと思いますか」という質問に対して、「続けたい」と回答した割合は男女とも1割減少しました(女性は43.6%→34.8%、男性は75.9%→63.6%)。

本調査の詳細については、https://www.nwec.jp/about/publish/2016/index.htmlをご覧ください。

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