「共同参画」2016年11月号

「共同参画」2016年11月号

連載 その3 女性首長から

男女が共に支え合う心豊かなまち 湘南にのみや
二宮町長 村田 邦子

二宮町町章

初の女性東京都知事が誕生し、この原稿が掲載されている頃には、初の女性米国大統領が誕生しているかもしれません。私自身、二宮町としては初めての女性町長ではありますが、もともと女性議員の割合も高い町で、私が町議会議員時代には全国1位の女性議員比率だった時もありました。

二宮町は、神奈川県西南部の相模湾に面した、東京から約70km、JR東海道本線で約1時間10分程のところに位置します。東西南北約3.3km×3.8km、約9km2の小さな町ですが、首都圏のベッドタウンとして発展し、昔は県や大学の果樹試験場が点在した気候温暖な町です。

二宮町といえば、お正月早々に満開になる「吾妻山山頂の早咲き菜の花」が有名ですが、現在はそれと並んで町の紹介動画「菜の花畑のニーノ~二宮町へおいでよ」(https://www.iju-navi.soumu.go.jp/onl/kanagawa/ninomiya/?cd_jichitai=14342)が大人気です。ご覧になっていただければ、首都圏にありながら豊かな自然とあたたかな町民性を感じ取っていただけると思います。

国全体が人口減少時代を迎えた今、本町においても平成28年3月に二宮町総合戦略を策定したところです。

先ずは、若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶え、子育てを楽しめる環境をつくることを目標に、妊婦健診の補助拡充、不育症治療費助成、中学3年までの小児医療費助成、駅前民間保育所の開設、天候に左右されない温水プールでの水泳授業の実施等々、就任して2年の間にかけ足で進めてきました。

「暮らしやすい」「住んで良かった」まちづくりのための未来への投資も積極的に進めたいところですが、一方で将来の子どもたちに財政的な負担を押し付けることも避けなければならず、バランス感覚を持った町政運営が求められます。

平成25年度には「第2次にのみや男女共同参画プラン」を新たに策定し、「男女が共に支え合う心豊かなまち 湘南にのみや」を将来像に掲げ、3つの基本方針である「意識の高揚」、「参画の推進」、「支援の充実」により、プランの推進を図っています。

男性も女性も健康で充実した生活を送る男女共同参画社会を実現するためには、長時間労働などの働き方の見直しが必要です。高度成長期から変わらぬ働き方では子育てもできませんが、今後は介護離職も増えると考えられます。

本町職員においては、育児休業は、女性だけでなく、男性も取得していますが、介護休業取得は今後の課題です。

また、今後、日本全国、いつ何時、大災害が起きてもおかしくない状況の中で、熊本地震災害をみても、防災活動における女性の力の必要性、参画が求められています。本町にも女性防災隊が組織されていますが、今後は各地区における女性防災リーダーが必要だと考えています。

時代は今、多様な意見を踏まえた、参加型協働のまちづくりが求められています。一方的に言いたいことを言うのではなく、互いが真摯に向き合い、自ら何ができるのかを考える。行政に求められるのは「聴く耳」です。

より良いまちづくりを進めていくために、より一層の努力を重ねて、男性も女性も、老いも若きも、その人らしく輝けるように、互いに力を合わせて未来をつくっていきたいと思います。

執筆者写真
むらた・くにこ/1957年生まれ/1980年専修大学文学部人文学科卒業。1998年二宮町議会議員(2期)。2007年神奈川県議会議員(1期)。2014年11月二宮町初の女性町長に就任。/趣味は、スポーツ(水泳、バレーボール、太極拳)、演劇鑑賞。家族は、夫と息子2人。