「共同参画」2016年7月号

「共同参画」2016年7月号

特集2

G7伊勢志摩サミットで「女性の活躍推進」を発信
外務省経済局政策課

平成28年5月26・27日に開催されたG7伊勢志摩サミットで、首脳たちは「女性の活躍推進」を力強く発信しました。

日本は、「女性が輝く世界」作りに向けた様々な取組を行っています。その一環として、2014年から国際女性会議「WAW!(World Assembly for Women)」を開催し、海外から多数のリーダーを招き、女性をめぐる様々な課題について包括的に議論してきました。

我が国が議長国を務めた本年のG7伊勢志摩サミットでは、三重県・賢島に結集した首脳たちから、「女性の活躍推進」を力強く発信しました。G7として女性分野を初めて本格的に取り上げた2015年のエルマウ・サミットに続き、女性を優先課題の一つとして取り上げました。また、安倍総理のリーダーシップのもと、先に述べたWAW!における議論の積み重ねも踏まえつつ、G7として、女性活躍推進に向けて国際的機運を高めるとともに、具体的な行動をとっていくことに力強くコミットしました。その背景には、経済成長と雇用創出の原動力として、女性の潜在力の開花が引き続き課題であること、新たな脅威(暴力的過激主義等)の中で、女性の権利の尊重と積極的参画が一層必要であること、昨年採択され本年が実施元年である「持続可能な開発目標(SDGs)」の実施において、女性は主要アクターかつ目標そのものでもあることが挙げられます。

G7首脳たちは、女性・女児のエンパワーメントと男女平等は、女性が社会(経済・政治等)を変えるアクターとして参画するために不可欠であるが、一方で、女性はその潜在力を花開かせる障壁に直面していること、暴力的過激主義の脅威への対応において、女性の保護と参画が重要であることの認識を共有しました。その上で、経済成長に向けて女性の活躍を推進し、その人権を尊重・保護する社会づくりは、G7共通のゴールであることを強調しました。その観点から、全ての政策分野における女性の主流化を推進することで一致するとともに、その取組の一環として、4月以降に全国各地で開催されている8つの閣僚会合(外務大臣会合、農業大臣会合、情報通信大臣会合、教育大臣会合等)で、日本は議長国として女性について取り上げてきています。加えて、今回のサミットでは特に、女性の潜在力を花開かせるためのエンパワーメント、理工系(STEM)分野における女性の活躍推進、及び「女性と平和・安全保障」分野に光を当てました。

女性の潜在力を花開かせるためのエンパワーメントについては、民間企業と連携しながら、女性の権利の尊重、完全なる参画、同一労働・同一賃金、平等なリーダーシップの機会等を確保するとともに、質の高い教育や訓練等を通じて女性の能力構築を行い、潜在力を花開かせることを支援することで合意しました。そのための『女性の能力開花のためのG7行動指針:持続可能、包摂的、並びに、公平な成長及び平和のために』(骨子参照)を採択し、他国にも同様の行動を促すことで一致しています。


『女性の能力開花のためのG7行動指針:持続可能、包摂的、並びに、公平な成長及び平和のために(骨子)』

(※全文は、G7伊勢志摩サミットHP(http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160314.pdf別ウインドウで開きます)を参照)

1.持続可能な、包摂的で、かつ、公平な経済成長に向けた女性及び女児の能力開花

  • (1)教育及び職業におけるジェンダー格差と固定観念の撤廃。
  • (2)女性の労働参加、起業、リーダーシップのための就業に関する教育及び職業訓練の充実。
  • (3)女性及び女児の健康のための教育及び啓発プログラムの改善。
  • (4)学習環境の改善と女児への質の高い教育に対する障壁への対処。(※主に、途上国を対象)

2.国際平和及び安全保障に向けた取組に対する女性の能力開花と参画の促進

  • (1)国連PKO要員及び国内治安機関に対する訓練の強化。
  • (2)司法及び安全保障分野における女性のリーダーシップ醸成と女性の代表性の向上。
  • (3)緊急事態対応への女性の関与を強化。
  • (4)防災における女性の代表の醸成。

また、理工系分野における女性の活躍推進は、人材の幅を広げ、創造性・イノベーションの確保につながると同時に、地位・賃金の男女格差も縮小するとの認識を共有しました。その上で、今回のサミットの機会を捉えて、G7各国内及び国際社会において、STEM分野の女性の活躍推進の気運を高め、環境整備を後押しするため、「女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ(WINDS)」を立ち上げました。


「女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ(WINDS)」

最後に、「女性と平和・安全保障」分野に関しては、あらゆる形態の女性に対する暴力の撲滅や、被害者の支援等に取り組むとともに、国連安保理決議第1325号に係る「行動計画」の策定を技術的・資金的に支援し、国際紛争における国際和平調停者等において、女性の参画を推進すること等で一致しています。

今後は、G7伊勢志摩サミットのコミットメントと成果を、日本国内や、本年12月に開催される国際女性会議WAW!2016や国連等をはじめとする国際社会において、具体的な行動へとつなげていくことが期待されています。