「共同参画」2016年5月号

「共同参画」2016年5月号

行政施策トピックス1

公共調達の活用による女性活躍の前提となるワーク・ライフ・バランス推進の加速について
内閣府男女共同参画局推進課

1.策定の経緯

公共調達を通じた女性活躍の推進については、これまで、「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活躍に関する取組指針」(平成26年8月5日男女共同参画推進本部決定)に基づき、総合評価落札方式等で積極的に評価すべき事業として、「男女共同参画及びワーク・ライフ・バランスに関連する調査、広報及び研究開発事業」や「女性が重要な対象者である広報事業」等を対象として取り組まれてきました(平成26年度実績 約10.4億円(36事業))。

さらに、社会全体で、女性活躍の前提となるワーク・ライフ・バランス等の実現に向けた取組を加速するため、「女性活躍加速のための重点方針2015」を踏まえ、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)に基づき、平成28年3月22日にすべての女性が輝く社会づくり本部において、「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」(以下「取組指針」という。)が決定されました【図1参照】。

図1:取組指針策定の根拠・背景

また、すべての女性が輝く社会づくり本部では、安倍総理から、「完全実施されれば、5兆円規模の事業が対象となります。企業が働き方改革を進める新しいインセンティブです。」「公共調達によって、これまで取組が遅れていた分野においても企業の意識が変わり、社会全体での『ワーク・ライフ・バランス』が大きく前進することを期待しています。」との発言がありました。

2.取組指針の概要

新しい取組指針では、女性活躍推進法第20条に基づき、国の契約のうち、新たに、総合評価落札方式又は企画競争方式による事業において、女性活躍推進法(えるぼし認定)、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)(くるみん認定、プラチナくるみん認定)、青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)(ユースエール認定)に基づく認定を取得した企業や女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定した中小企業を「ワーク・ライフ・バランス等推進企業」として、加点評価することとしています。

この取組の背景には、仕事と生活の調和連携推進・評価部会報告書に示されたように、ワーク・ライフ・バランスの取組が女性活躍等の前提であるだけでなく、ワーク・ライフ・バランスの取組を進めることで、一般に、業務の改善・見直しなどによる業務の効率化、女性など多様な人材の確保・定着による企画力の高度化や市場の変化への対応力の向上等を通じ、生産性の向上が図られ、これにより、価格競争力の向上だけでなく、事業の品質の確保・向上につながることも考えられることがあります。

評価の実施に当たっては、不正な手段を使った企業が採用されることのないよう、適切な基準を設定し、公正かつ客観的な評価や取扱いを行うこととなります【図2参照】。具体的な配点については、実施要領(「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する実施要領」(平成28年3月22日内閣府特命担当大臣(男女共同参画)決定)に示された各府省において設定することとされています【図3参照】。

図2:取組指針のポイント

図3:評価基準例

3.実施時期等

取組指針の実施時期は、各府省等において、平成28年度中に原則開始となり、企業の状況等により、年度内の全面導入が困難な場合、各府省がスケジュールを公表の上、段階的に取組を行うこととしています。

また、WTOの政府調達に関する協定の適用対象となる事業に参加する外国企業については、女性活躍推進法等に基づく認定の要件に相当する基準を満たしていることの確認をもって、ワーク・ライフ・バランス等推進企業に準じて取り扱うことができるように、内閣府において、この確認方法や体制等の検討を行った上で、取組を開始する予定です。

なお、女性活躍推進法第20条第2項により、地方公共団体も国に準じた取組を実施するよう努めることとされているほか、取組指針では、引き続き、補助金の分野における女性の活躍推進を取組むこととしています。

【参考】
▼取組指針・報告書は下記リンク先を参照
http://www.gender.go.jp/policy/positive_act/wlb_torikumi.html