「共同参画」2016年2月号

「共同参画」2016年2月号

取組事例ファイル/団体編

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言賛同者の取組

一昨年「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言が公表され、現在60名を超える男性リーダーが本宣言に賛同しています。今月は4名の賛同者の取組を紹介します。

女性が輝かない組織に未来は無い

女性が輝かない組織に未来は無い。私は、そう思います。

女性の管理職が少ない。これは、全て経営者の問題です。男性経営者および男性管理職の理解が低いことが、女性が輝けない組織文化を作ります。では、経営者は何をするべきか?答えは「制度と環境を作ること」です。しかし、制度導入だけでは上手く行きません。浸透するまで経営者がメッセージを伝え続けることが重要です。

クロスカンパニーの事例を紹介します。イクメン休暇の取得率は95%、女性管理職比率は54%、短時間勤務制度利用率は15%(全社員比)です。社員の意識が定着するまでに、2年はかかりました。その後3年で、この数値です。

「女性が管理職に就きたくないと思っている」、この認識は間違いです。正しくは、夜中まで残業している男性管理職のような働き方は出来ないと思っています。

当社では、取締役も管理職も皆が定時に退社します。当然、社員も全員定時退社です。上司が率先して帰る文化は、女性が活躍出来る社内環境として必要なことです。また、エンパワーメントも大切です。名ばかりの女性管理職を作った会社は失速するでしょう。男女隔たりなく意見を言い合い、最適解を見つけることが企業のガバナンスであり、組織を成長させる原動力になります。

諸外国より低い日本の女性管理職比率。経済界を上げて取り組めば、女性の輝く日本が必ず訪れると確信しています。


石川 康晴 株式会社クロスカンパニー 代表取締役社長


2014年3月に首相官邸で実施した「輝く女性応援会議」の様子


外部講演会で取組事例について紹介

皆が活躍できる社会創造に寄与する事業を

ソシオークは、社会の様々な課題をビジネスで解決する共益の創造経営(CSV経営)を推進しています。

1963年の創業以来、かつて家事として担われていた食事作り、子育て、介護、送迎等を事業化することで、女性が結婚や出産、育児、介護といったライフステージを経ながらも活躍し続けられる社会基盤づくりに取り組んできました。

従業員の74%が女性で、子育て中、介護中の人も多く、彼女たちが女性が安心して働き続けるために必要なものを当事者として知っていることが、新しい事業を産み出すきっかけとなっています。

2015年10月に開始した放課後デイ「ダンデライオン」事業も、その一つです。

「ダンデライオン」は、発達障害をもつ児童が放課後や学校休業日に過ごすデイサービスです。児童を学校まで迎えに行き、運動や社会スキルを身につけるための療育を含むプログラムを提供し、自宅まで送り届けます。子どもたちは放課後や休日を安全に楽しく過ごしながら、社会生活に必要なスキルを身に付けることができます。また保護者は、放課後等に子どもを預けて安心して働くことができます。

これまでも保育園や学童クラブで障がい児との統合保育に取り組んできましたが、それだけでは障害を持つ児童と保護者のニーズを満たすには不十分でした。障がい児の保護者が安心して働き続けられ、児童も将来自立する力の基礎を養える。そのような皆が活躍できる社会創造に寄与する事業を深化してまいります。


大隈 太嘉志 ソシオークホールディングス株式会社 代表取締役社長


2015年10月に開設した児童放課後デイ・サービス「ダンデライオン京町」


障がいを持つ児童の発達支援に取り組む(株)発達支援ラボを設立

明るい笑顔輝く職場に!

インターアクションは女性がイキイキと活躍できる職場環境を創造すべく、会社として2つの取組を実施しました。

第一に、ファミリーサポート休暇制度の導入です。

子育てや家族の介護等、様々な家庭環境の中で働く女性から、不安要素を少しでも取り除くため、家族の介護、看護、子供の学校行事や、本人の不妊治療等を理由に、年6日取得できる特別有給休暇を従業員に付与しました。子供を持つ男性従業員にも休暇を取得してもらうことで、男性の積極的な育児参加が期待されます。この制度は女性の活躍推進プロジェクトミーティングで発案され、役員会議を経て2015年6月から導入し、約半年で男女問わず約15%の従業員が取得しています。

第二に、ゆう活デーの導入です。

毎週水曜日を定時退社日として、夕方以降を家族と過ごしたり、健康促進や社内のコミュニケーション向上のために過ごすことを推進しています。

ワーク・ライフ・バランス支援、及び長時間労働削減の必要性を重要視し、2015年8月にトライアル実施をしました。今後は様々な問題点を解決しつつ、多様な人材層を受け入れ、活躍できる職場環境を創造していきたいと考えます。

「女性の活躍を推進し継続的に取り組むことが企業や日本経済の発展につながる」ということを各男性リーダーを中心に証明し、社外へ発信していく必要があり、そうすることで女性活躍推進も飛躍的に進むと感じます。


木地 英雄 株式会社インターアクション 代表取締役


「女性の活躍推進プロジェクトミーティング」の様子

ネットワークの拡大:グローバル、ローカル、インダストリー

ジェンダー・ダイバーシティの推進を目指し、ドイツ銀行グループが「ウィメン・オン・ウォール・ストリート」会議を主催したのは1995年のことです。以来、世界の主要地域で「ウィメン・イン・ビジネス」会議の開催に取り組んでいます。2014年9月にシンガポールで開催された「ウィメン・イン・アジアン・ビジネス」に出席しましたが、様々な分野で活躍するスピーカーが招かれたこの会議では、「Men Matter」をテーマに、男性が果たす役割の重要性について意見が交わされ、大変参考になりました。

また、グループ内では、2011年から毎年11月に「ダイバーシティ・ウイーク」を設け、世界各国の拠点で様々な取組を行っています。昨年日本では、ジェンダー・ダイバーシティを含む様々なダイバーシティをテーマに、期間中に8つの社内イベントを開催しました。これらには延べ419人が参加し、日本の全従業員の参加率は約6割と、過去最高となりました。

日本の金融業界でも多くの企業がダイバーシティの推進に取り組んでいます。ドイツ銀行グループを含む4社の呼びかけで、2015年11月に金融業界の人事およびダイバーシティ担当者らによる初のネットワーキングイベントが開催されました。金融関係の11社から合わせて54名が参加し、関連する課題や情報を共有し意見交換を行いました。今後も定期的な開催を目指しています。

これからも、従業員ネットワークと協力して社内での取組を進めるとともに、業界内での活動が加速するよう、他社との連携を広げていきたいと思います。


桑原 良 ドイツ銀行グループ チーフ・カントリー・オフィサー


ダイバーシティ・ウイーク社内イベント坂東眞理子氏(昭和女子大学学長)の講演


金融業界のネットワークイベントを開催