「共同参画」2016年2月号

「共同参画」2016年2月号

行政施策トピックス4

「女性と経済成長」、TPPでも
外務省経済局経済連携課

2月4日に署名されたTPP協定は、モノの関税の削減・撤廃、サービス・投資の自由化のみならず、知的財産、電子商取引、国有企業、労働、環境の規律など、幅広い分野で新しいルールを構築するものです。また、このようなルールの構築により、成長著しいアジア太平洋地域に大きなバリュー・チェーンを生み出し、域内のヒト、モノ、資本、情報の往来を活発化させることで、この地域を世界で最も豊かな地域にすることを目指す協定です。

TPP協定には、そのような幅広い分野のルールの一つとして、協定参加国の間での様々な共同作業を促す開発章が設けられています。同章には、幅広い基盤を有する経済成長や教育・科学技術・研究及びイノベーションの重要性を強調する条文や、協定参加国間の開発に係る共同活動を促す条文と並んで、従来の経済連携協定には見られない、女性及び経済成長(Women and Economic Growth)という女性に特化した独立した条項が規定されています。

同条項では、労働者及び事業経営者を含む女性による国内経済及び世界経済への参加の機会の増大が経済開発に寄与することや、そのために、締約国がそれぞれの多様な経験を共有することが有益であること、更には、この協定によって創出される機会に十分にアクセスし、利益を得るために労働者及び事業経営者を含む女性の能力を向上させるための協力活動を検討すること等を規定しています。

上述した協力活動には、女性が技能及び能力を向上させ、市場や技術及び融資へのアクセスを容易にすることを支援するプログラムや、指導的地位にある女性のネットワークを発展させること、職場での柔軟性に関するベストプラクティスを特定することについて助言または訓練を提供し、情報や経験を交換することを含めることができると規定されています。

○開発章第4条 女性及び経済成長

これらは、主に途上国などが念頭におかれているとはいえ、経済活動における女性の重要性を国際的に再確認する規定であり、我が国が重視している、「すべての女性が輝く社会」や「一億総活躍社会」が目指すものと軌を一にしていると言えます。

なお、TPP協定は署名されましたが、今後、各国における承認手続を経て発効することになります。TPP協定が発効した後には、開発に関する小委員会が設置され、上述のような女性関連の論点の履行状況や改善方策についても議論されます。かかる議論を通じて、女性の活力がより効果的に活用され、域内の貿易や経済がより活性化していくことが期待されています。