「共同参画」2016年1月号

「共同参画」2016年1月号

取組事例ファイル/団体編

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言賛同者の取組

昨年「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言が公表され、現在40名を超える男性リーダーが本宣言に賛同しています。今月は4名の賛同者の取組を紹介します。

女性の「時間と場所にとらわれない働き方」を推進

ランサーズでは、創業以来一貫して「時間と場所にとらわれない新しい働き方」を創ることを目標としてきました。特に女性は、子育てや介護といった就労に対する課題に直面するケースが多く、そのハードルとなるものが「時間と場所」だと考えています。当社では女性の活躍の場を拡げるため、フリーランスとして働けることのメッセージの発信をはじめ、自治体や地方企業と連携し、地方でのフリーランス育成、特に女性・主婦層の就業機会の創出を推進しています。

■「Lancer of the Year 2015~新しい働き方大賞~」

当社では、個のスキルや経験を活かし、時間や場所にとらわれない新しい働き方を体現しているフリーランスの中から、次世代のロールモデルとなるような「ランサー」を表彰する「Lancer of the Year 2015~新しい働き方大賞~」を開催しました。育児と仕事の両立をしている「ママランサー賞」をはじめ、地域活性、移住といった7つのテーマ別で表彰し、メッセージの発信を行っています。

■地域における女性の就業機会創出

群馬県桐生市において、子育て中の主婦をターゲットとした仕事創出プロジェクトを、NPO法人キッズバレイと共に推進しています。子育て世帯向けのコワーキング・コミュニティスペースにて母親向けのクラウドソーシング教育講座を提供し、ライターとしての経験がなかった女性がウェブライティングの仕事を受け持つまでに至りました。

その他にも育児や諸事情を抱える女性従業員がテレワーキングを行っているなど、女性の活躍を推進しています。


秋好 陽介
ランサーズ株式会社 代表取締役社長


「Lancer of the Year 2015~新しい働き方大賞~」の様子


イノベーションを創出し、真に豊かな社会の実現を

世界が直面する様々な社会課題を受け止め、解決していくためには、イノベーションの創出が必要不可欠であり、そのイノベーションの源泉となるのがダイバーシティであります。世界の市場で成長し続けるために、女性を含む多様な人財の力を結集し、大きな革新を起こすことは、経営にとって、そして日本社会全体にとって、非常に重要なテーマであると考えます。

近年、株主の皆様と「これからの日立は何を変えていくのか」を議論する中でも、我が社の人財活用の在り方に関する議論を数多く行っています。日立製作所では2012年に取締役の過半数を社外取締役とし、女性や外国人を含め経営陣を多様化するとともに、実務を担う人財のダイバーシティも進めています。ダイバーシティの試金石として注力している女性への働きかけだけでなく、男性社員の意識改革と働き方改革の取組も加速しています。

これまで様々な取組を行ってまいりましたが、一方で、我が社のダイバーシティの状況を振り返ると、女性の管理職登用や意志決定への参画の状況含め、正直なところ「まだまだだな」という思いを新たにしています。企業が、そして日本社会全体が、未来に向かって変革を進める上では、一人一人の意識の変革が必要不可欠です。日本の国際競争力を高め、男女問わず多様な人財が充分に活躍できる真に豊かな社会を築くため、我々経営トップが強いリーダーシップを発揮し、日本社会が一丸となって取り組む必要があると考えます。


中西 宏明
株式会社日立製作所 執行役会長兼CEO


「女性部下を持つ管理職向けマネジメントセミナー」(15年度新設)の様子


「日立グループ女性リーダーミーティング」にて、会長・社長との意見交換を実施


スマートな働き方を通じての女性活躍推進

日本イーライリリーは、2015年に創立40周年を迎えました。多様な意見、経験、そして文化を尊重する企業風土を醸成することを戦略の一つに掲げ、ダイバーシティの価値を推進し、女性リーダーを育成し、多様な働き方を支援する取組を進めています。2004年から女性活躍推進に全社で取り組み始め、様々な成果がありました。さらにこれから2020年に「多様性に富む組織で、管理職の30%を女性が占める」ためには、男性社員が変革を担っていくことが重要と考え、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言に賛同し、全社員にその趣旨を伝えました。

9月には、在日米国商工会議所主催の第1回「関西ウィメン・イン・ビジネス・サミット」で「変革を担う男性リーダー」と題したパネルディスカッションに登壇し、意見交換を行いました。当社の男性管理職も参加し、どのように変革を担っていけるかを考える時間を持ちました。11月には社内でのダイバーシティイベントで「スマートな働き方」を社員みんなで考え、女性の働き方を理解をすることがとても重要であることを学びました。

こうした取組を通じて、多様な人材が、多様な視点、多様なスキルや才能を活用することができ、社員のエンゲージメントを高め、意思決定を強化できます。ダイバーシティを追及し、その価値を認め尊重することは、私たちの会社の成功には不可欠なのです。


パトリック・ジョンソン
日本イーライリリー株式会社 代表執行役社長


「関西ウィメン・イン・ビジネス・サミット」パネルディスカッション


社内開催されたダイバーシティデーテーマは「スマートな働き方」


Diversity is good for Business

当社は、「世界中でより豊かなライフスタイルを実現する」というビジョンの下、性別、国籍などに関係なく、一人一人の社員が最大限に能力を発揮できる環境をつくっています。当社社員の男女比は半々で、現在7か国の社員が共に働いています。課長職に占める女性の割合は28.1%、次期課長職候補であるリーダー職の女性の割合は62.5%と男性より高く、多くの女性社員が活躍しています。育休を取得した社員の復帰率は2006年より100%を維持し、ダイバーシティが企業文化として根付いています。

2015年4月に「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言に賛同し、よりダイバーシティの推進を加速しています。「SJマイタイム制度」という、1か月以内の総労働時間が120時間を超えていれば従来の定時時間分働いたものとみなし、さらに社員個人の裁量で出勤日の始業および終了時刻を決めることができる制度を導入しました。従来よりも早く業務を完了した社員は、その時間を家族と過ごす時間やスキルアップの時間にあて、ワークライフバランスの推進に役立てています。また、全社員対象の「在宅勤務制度」も導入しました。当社のダイバーシティは女性活躍推進だけにとどまりません。同性を配偶者として届け出た社員に対し、通常の結婚時と同様の慶弔金等を支給することを決めました。

こうした取組の結果、2006年度上期に4800万円であった社員一人あたりの生産性は、2015年上期には7500万円にまで向上し、企業の成長につながっています。我々はさらに企業を成長させるべく、今後もダイバーシティを推進してまいります。


ハリー・A・ヒル
株式会社オークローンマーケティング 代表取締役社長


女性管理職とコミュニケーションランチ等を実施し、意見交換を行っている。