「共同参画」2015年 8月号

「共同参画」2015年 8月号

特集1

「地域力×女性力=無限大の未来」平成27年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」開催報告
内閣府男女共同参画局総務課

男女共同参画週間の中央行事として、6月24日(水)東京国際フォーラム ホールC(東京都千代田区)において、平成27年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」が開催されました。
全国各地からおよそ900名の方々に出席いただきました。

今年のテーマは、「地域力×女性力=無限大の未来」です。

有村大臣の主催者挨拶

開会にあたり、有村治子内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から、「地方創生を実現するためには、若い女性も住みたいと思える環境を実現すること、若い世代が結婚や出産の希望をかなえることができ、仕事とも両立できる社会をつくることが不可欠。これがひいては、女性や若い世代だけでなく、誰もが暮らしやすい社会をつくり、我が国の持続的発展につながり、社会全体の活力を維持していくことにつながると確信しています」と挨拶がありました。

有村治子内閣府特命担当大臣


基調講演

伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授は、「アベノミクスにおける地方創生と女性の活躍」と題して、講演を行いました。

伊藤教授は、「安倍政権の前は毎年総理大臣が変わる時代で大きな改革が難しかったが今は大きく動き始めている。経済が好調な時こそ一人ひとりの気持ちも前に向けるチャンスで女性活躍が分かりやすく手ごたえも出やすい。一人ひとりの国民が、地域が、企業が、どう変わっていくかが重要。キーポイントはみんなが協力しムーブメントを起こすこと。主役は国民、地域である。このような会議の場で成功事例を共有し、全国に広げることがサポートになる。時代が大きく変わるチャンスである。」と述べられました。

伊藤元重教授 東京大学大学院経済学研究科


特別応援メッセージ

レーシングドライバーの井原さんは、「レースクイーンをしていた時に、レースに関わる人たちの本気を見てレーサーになりたいと思った。5年間アルバイトをしてお金をためて、25歳でデビューし翌年イギリスへ行ったがレース結果は最下位だった。人種差別も受けたが、相手の考えを変えられるように現状を受け入れて行動することで分かり合えることができた。その後フランスに拠点を移したがトレーニングのやりすぎで、病気になって帰国し、結婚。療養生活中に子供に英語を教え始めるうち子供からパワーをもらい復帰し、3度目のル・マン挑戦で完走することができた。様々な感情こそが自分の原動力であり、女性には本気で取り組んでほしい。」と力強いメッセージをいただきました。

井原慶子さん レーシングドライバー


取組事例紹介

取組事例紹介は、有限会社COCO-LO代表取締役の雅樂川陽子さん、農事組合法人きすみの営農女性部「きすみの・ふぁ~む」取りまとめ役の黒田亜子さん、東近江市商工会筆頭副会長の足立進さん、特定非営利活動法人子育て支援ネットワークとくしま理事長の松﨑美穂子さんにご登壇いただき、それぞれの取組についてご紹介いただきました。

取組事例発表者


特別メッセージ

第二部の冒頭において、石破茂地方創生担当大臣から、「この国をどうするかということに女性のお知恵とお力をいただきたい。今、全国47都道府県、1,718市町村、23特別区すべてに、5か年計画を示す「総合戦略」の策定をお願いしている。そこにぜひ参画してほしい。この国の将来について、共に責任を持ち、共に行動していきましょう」とお話いただきました。

石破茂地方創生担当大臣


パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、最初に4名のパネリストから地域を活性化するための方策や女性活躍の重要性について講演していただきました。

川北さんは、「今後は介護を必要とする85歳以上の人が増えてくる。後期高齢者の運転免許保有率は男性が54%、女性はたったの7%しかなく、地方に住む女性は病院に行く足がない。一方、孤独死状態で発見される後期高齢者は大多数が男性。それは女性の方がコミュニケーションに長けているから。つまりこれから先は男性と女性がもう少しお互いの力を借りあって、生きていく必要がある。」とお話されました。

川北秀人さん IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)代表者


佐藤さんは、「これからの地域における観光で求められる力は、生活者として地域をよく知っていること、柔軟な感性、普段観光に関わりのない方との人脈やネットワークの3つ。これらはどれも女性が得意とする分野であり、だからこそ女性の活躍に大きな可能性がある。自信を持って進んでいきましょう。」と述べられました。

佐藤郁子さん 株式会社JTB総合研究所 コンサルティング事業部 主任研究員


秋好さんは、自身の会社の紹介も含め、「ランサーズという会社は、企業と個人がインターネット上だけで仕事をするサービスを行っている。登録企業の発注額の半数以上は東京だが、働く方の7、8割の人は地方の人。つまり東京の仕事を地方に再分配している。インターネットを使って第三の働き方を提供し、女性の力や地域の力を活性化したいと思っている。」と説明されました。

秋好陽介さん ランサーズ株式会社代表取締役 社長CEO


鈴木さんは、三重県の取組を中心に「女性が活躍するためには男性の意識と働き方を変えねばならない。三重県では、男性の意識を変えるためのプロジェクトや働く質を上げるための事業などを行っており、三重県庁では育児休業取得率等において、国の目標値をすでに達成している。そのポイントは、トップの率先垂範、中間管理職のコミットメント、現場に浸透するツールの作成。この3つである。」と述べられました。

鈴木英敬さん 三重県知事


ディスカッションでは、コーディネーターを、NHKアナウンサーの伊東さんにお願いし、来場者からの質問にパネリストの方々がそれぞれの立場からご回答いただきました。

伊東敏恵さん NHKアナウンサー


最後は「地域力×女性力=○○」の○○に当てはまると思うものをそれぞれ発表していただき、盛況のうちにディスカッションは終了しました。

  • もっと元気で長生きしたくなる社会・ニッポン(川北さん)
  • Value/価値(佐藤さん)
  • 日本の課題解決(秋好さん)
  • 幸福実感向上矢印(鈴木さん)