「共同参画」2015年 3・4月号

「共同参画」2015年 3・4月号

行政施策トピックス2

「農業で輝く女性のチカラを活かします。」
農林水産省経営局就農・女性課女性高齢者活動推進室

○次世代を担う女性農業者たち

農山漁村においては、数多くの女性達が地域の農林漁業の活性化などを目指し、日々いきいきと活動を展開されています。これらの方々の素晴らしい活躍を広く知っていただくため、次世代を担う地域リーダーとなりうる女性や女性登用に積極的な組織等の優れた活動に対し、毎年度「農山漁村男女共同参画優良活動表彰」を行っています。その平成26年度の受賞者・組織は下記のとおりです。

「平成26年度農山漁村男女共同参画優良活動表彰」

【次世代を担う若手地域リーダー部門】

  • 農林水産大臣賞
    前田 智恵子氏(栃木県大田原市)
  • 農林水産副大臣賞
    濱田 律子氏(富山県黒部市)
  • 農林水産大臣政務官賞
    湯ノ口 久仁子氏(鹿児島県指宿市)

【組織における女性登用部門】

  • 農林水産大臣賞
    岩手町農業委員会(岩手県)
  • 農林水産副大臣賞
    越智今治農業協同組合(愛媛県)
  • 農林水産大臣政務官賞
    加須地区女性農業者連絡協議会(埼玉県)

これらの受賞者・組織の中から、特に優れているとして農林水産大臣賞に選ばれた活動の事例を以下にご紹介します。

農林水産大臣賞受賞者の紹介

(1)次世代を担う地域リーダー部門

前田 智恵子氏(栃木県大田原市)

他産業従事後、父が経営する「株式会社前田牧場」に勤務。BSE発生の影響による牛肉価格の下落を経験したことから、「自ら価格を決め販売したい」、「安全で安心できる肉を直接消費者に届けたい」という信念の下、平成14年からレトルトカレーの委託製造・販売、ミートショップ・ファーマーズカフェを開店し、「自分に合った農業経営」をスタートさせた。現在、専務取締役として株式会社前田牧場の農業経営に積極的に参画。近年、赤身肉が注目されていることから、赤身肉を美味しくするためにドライエイジング技術を用いた食肉加工にも取り組んでいる。さらに、農業体験の受入れを積極的に展開するとともに、農業・農村生活の豊かさや暮らし方の伝承、地域人材の活用などを通じて幅広く活躍している。

前田 智恵子氏


(2)組織における女性登用部門

岩手町農業委員会(岩手県)

町内の女性農業者の組織で構成されている「岩手町農業女性連携会議」への活動支援等を通じて、女性が農業委員選挙に出やすい環境づくりに努めるなどの取組により、平成26年夏の選挙後、女性農業委員が6名と県内最多となり、全体に占める女性の割合も32%と全国平均の7.2%を大きく上回ったことに加え、農業委員会の会長にも県内で初めて女性が就任した。これまでの活動を通じて女性農業委員の意見・提言が農業委員会の事業計画及び活動に反映され、家族経営協定締結の促進や活発な研修会活動等につながっている。

岩手町農業委員会(岩手県)受賞の様子


○施策による支援

政府が進める「女性が輝く社会づくり」を農業分野においても進めると同時に、農業の成長産業化を図る上で、新たな発想で農業経営に取り組む女性の能力を最大限に発揮してもらうことが極めて重要であると考えています。

統計データ等からも、女性がいる農業経営体ほど販売金額が大きく、経営の多角化に取り組む傾向にあるなど、女性の経営参画は経営力の向上に大きくかかわっていると言えます。一方で、豊かな才能やキャリアを持ちながらも、その力を農業経営に活かしきれずにいる女性が存在しています。

農林水産省では、可能性を秘めた女性をターゲットに農業経営への参画を促進する仕組みや、地域農業の活性化などにチャレンジする女性への支援など、さまざまな切り口から施策を展開していくこととしております。

例えば、平成27年度予算案に盛り込んでいる「輝く女性農業経営者育成事業」は、農業経営や農村に変革をもたらす次世代リーダーとなりうる女性農業経営者の育成及び農業で新たにチャレンジを行いたい意欲のある女性の経営発展を支援する内容となっています。その他、地域計画づくりへの女性の参画の要件化や、6次産業化の実践活動を促進する事業の女性による活用を促すなど、農林水産省の様々な施策において、女性の活躍を推進し、女性が働きやすい環境づくりを行っていく予定です。

農林水産省ホームページ
http://www.maff.go.jp/j/keiei/kourei/danzyo/index.html

3月10日は「農山漁村女性の日」

この日は、「国際婦人の10年」ナイロビ世界会議(昭和60年)で採択された「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」を受け、我が国において決定された、「西暦2000年に向けての新国内行動計画」(昭和62年策定)の具体的施策の一つとして、位置付けられたものです。

3月10日に設定することについては、まず第1に国際的な視点として「国際婦人の10年」の基本となる世界行動計画草案が検討された時期であること、第2に農家・農村の生活リズムの視点から、農作業が比較的少なく社会生活においても女性が学習や話し合いを共にする条件が整っていること、第3に女性自身の視点として農山漁村女性の3つの能力(知恵、技、経験)をトータル(10(とお))に発揮してほしいという願いも込められています。

平成27年度予算案の概要

農林水産省では、平成27年度予算案において、地域計画づくりへの女性参画の要件化や女性による事業活用の促進により、女性の能力が発揮されるよう以下のとおり支援していくこととしています。

<主な内容>

(1)「人・農地プラン」の企画・立案段階からの女性の参画促進
担い手や地域農業のあり方等を定めた「人・農地プラン」の検討に当たって、女性が概ね3割以上参画することとします。
(2)地域農業の活性化などにチャレンジする女性への支援
女性による活用が望まれる経営体向け補助事業について、女性農林漁業者のネットワーク等を通じて周知徹底を図るとともに、女性や女性グループが積極的に採択されるよう配慮します。

【主な事業】

○ 輝く女性農業経営者育成事業
120百万円
○ 経営体育成支援事業
3,205百万円の内数
○ 6次産業化支援対策
2,684百万円の内数