「共同参画」2015年 2月号

「共同参画」2015年 2月号

特集2

「女性の活躍推進に関する世論調査」の概要
内閣府男女共同参画局調査課

内閣府は、平成26年11月、「女性の活躍推進に関する世論調査」の結果を公表しました。ここではその概要をご紹介します。

内閣府では、数年に1度、「男女共同参画に関する世論調査」を実施していますが、女性の活躍推進が政府の重要な政策課題となる中で、平成26年8月に「女性の活躍」に焦点をあてて世論調査を実施し、11月に結果を公表しました。ここでは、その概要をご紹介します。

(1)固定的役割分担意識は、反対が賛成を上回る

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」との考え方についてどう考えるかを聞いたところ、「反対」は49.4%、「賛成」は44.6%となり、「反対」が「賛成」を上回りました。これまでも、「男女共同参画に関する世論調査」等として同じ設問があることから、時系列で比較してみたのが図表1ですが、これをみると、長期的には「賛成」が減少傾向、「反対」が増加傾向となる中で、前回平成24年調査においては、「賛成」(51.6%)が「反対」(45.1%)を上回り、過半数となりました。今回の調査では、再び「反対」が「賛成」を上回っています。

図表2は、これを男女別にみてみたものです。女性では、「反対」が増加傾向となる中、平成14年調査以降、「反対」が「賛成」を上回って推移しています。直近では、前々回平成21年調査で「反対」が6割近くまで高まりましたが、前回平成24年調査では「賛成」が増加(「反対」が減少)して半数割れの48.8%となり、今回調査では少し戻して過半数の51.7%となっています。男性では、前々回平成21年調査で初めて「反対」が「賛成」を上回った後、前回平成24年調査では「賛成」が増加(「反対」が減少)して再び「賛成」が「反対」を上回った後、今回調査では「賛成」と「反対」が同水準となっています。

今回、「賛成」もしくは「反対」と考える理由についてもあわせて聞きましたが(複数回答、図表3)、その結果をみると、「賛成」とする理由としては、「妻が家庭を守る方が、子どもの成長などに良い」、「両立しながら、妻が働き続けることは大変」という回答が多くなっています。また、「反対」とする理由としては、「固定的な役割分担意識を押し付けるべきではない」、「妻が働いた方が、個人や社会にとって良い」という回答が多くなっています。

図表1「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考え方に対する意識(昭和54〜平成26年)


図表2「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考え方に対する意識(男女別)


図表3「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考え方に賛成又は反対する理由


前回平成24年調査において、「賛成」が増加した背景として、その直前に発生した東日本大震災により、家族の絆が見直されたためといった声が聞かれます。当時の調査では理由を聞いていないため、厳密には言えませんが、一部にそうした事情があった可能性はあります。一方、例えば子育て世代にあたる30代や40代の女性の動きをみると、震災前の平成21年調査以降において、既に「反対」が減少して「賛成」が増加する傾向がみられます。また、若い世代の女性に専業主婦願望が増加しているとの調査結果もあります。いずれにせよ、前回及び今回の調査の結果だけをもって、傾向が何か変わったと判断しづらく、今後もその動向をみていく必要があります。

(2)「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」との考え方が減少

女性の各ライフステージ、例えば、結婚や出産等に際して、職業を続けるかどうか判断が迫られるケースがあります。一般に女性が職業をもつことについての考え方をきいたところ、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」(44.8%)との回答が最も多く、次いで「子どもが大きくなったら再び職業を持つ方がよい」(31.5%)となっています。

比較可能な平成4年調査以降の動きを時系列的にみてみると、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」との考え方は、これまで一貫して増加傾向にありましたが、今回調査においては前回(47.5%)から減少しています(図表4)。

図表4 女性が職業を持つことに対する意識(平成4〜26年)


(3)女性リーダーが増えたときの影響、増やすときの障害

女性の参加が進み、女性のリーダーが増えるとどのような影響があるかを聞いたところ(複数回答)、「男女問わず優秀な人材が活躍できるようになる」(65.0%)との回答が最も多く、次いで「女性の声が反映されやすくなる」(55.9%)、「多様な視点が加わり、新たな価値や商品等が創造される」(42.8%)となっています(図表5)。特に「女性の声が反映されやすくなる」との回答は、女性が60.0%、男性が50.7%となっており、男女で回答に大きな差があります。

女性リーダーを増やすときに障害となるものについて聞いたところ(複数回答)、「保育などにおける家族の支援が十分ではない」(50.1%)との回答が最も多く、次いで「保育の支援などの公的サービスが十分ではない」(42.3%)、「長時間労働の改善が十分ではない」(38.8%)となっています。

図表5 女性リーダーが増えた時の影響


(4)仕事を選ぶ際に、やりがいだけでなく勤務条件や育児・介護との両立を重視する女性

仕事を選ぶ際に重視すること、またはしたいことを聞いたところ(複数回答)、「仕事にやりがいがある」(61.0%)との回答が最も多く、次いで「勤務時間・勤務場所の条件が良い」(49.0%)、「職場の雰囲気が良い」(46.3%)等となっています(図表6)。特に「勤務時間・勤務場所の条件が良い」については、30代、40代の女性の7割以上が重視しており、「育児や介護への理解や制度が整っている」についても、30代女性の6割近くが重視しているなど、これらの項目は男性と女性で回答に大きな差が出ています。

図表6 仕事を選ぶ際に重視すること


(5)女性が働き続けるために必要な子育て環境の整備や周囲の理解等

女性が出産後も離職せずに同じ職場で働き続けるために、家庭・社会・職場において必要なことは何だと思うかを聞いたところ(複数回答)、「保育所など、子どもを預けられる環境の整備」(71.6%)が最も多く、次いで「女性が働き続けることへの周囲の理解・意識改革」(49.6%)等となっています(図表7)。特に、「介護支援サービスの充実」(33.6%)については、全体としては6番目ですが、50代の女性では過半数の53.5%が必要なこととして回答している点には留意が必要です。

図表7 女性が働き続けるために必要なこと


(6)女性活躍推進で特に必要な情報

女性活躍推進で特に必要な情報(複数回答)としては、「保育所や幼稚園に関する情報」 (59.9%)、「仕事と育児・介護との両立支援制度に関する情報」(46.1%)、「介護・家事の支援サービスに関する情報」(45.9%)、「放課後児童クラブに関する情報」(40.4%)となっています(図表8)。特に、「保育所や幼稚園に関する情報」については20代、30代で7割以上の人が、「放課後児童クラブに関する情報」については30代で半数以上の人が、「介護・家事の支援サービスに関する情報」については50代で約6割の人が、それぞれ必要な情報と考えているとの結果になっています。

図表8 女性活躍推進で特に必要な情報


(7)まとめ

今回の調査は、男女共同参画社会を目指す中での「女性の活躍」に焦点を絞って実施しましたが、様々な課題が浮き彫りになった結果になっています。本年は第3次男女共同参画基本計画の最終年度となり、新たな計画の策定作業も始まっていますが、今回の調査結果も十分踏まえて、様々な施策の推進に取り組んでいく必要があります。

(参考)女性の活躍推進に関する世論調査の結果
http://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-joseikatsuyaku/index.html