「共同参画」2014年 10月号

「共同参画」2014年 10月号

連載 その1

こんにちは! 復興庁男女共同参画班です(4) 宮城県における男女共同参画の視点での復興の事例
復興庁男女共同参画班

男女共同参画班では、東日本大震災からの復興の現場、男女共同参画の視点での取組を取材し、「男女共同参画の視点からの復興〜参考事例集〜」を取りまとめ、公表しています。今回は宮城県の事例をご紹介します。各事例の詳細につきましては、復興庁ホームページに掲載しておりますのでご覧ください。

http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-16/20130626164021.html

まちづくりの例:まちづくり検討委員会に積極的に女性や若者の声を反映

宮城県岩沼市では、震災被害が大きかった沿岸部6地区が集団移転となりました。まちの復興に携わる岩沼市建設部復興整備課は、各地区から自治会長・女性代表・40歳以下の若者代表を含めた「まちづくり検討委員会」を開催しました。同委員会では2012年6月から2013年11月まで28回ものワークショップを実施。こうした委員会に参加する機会が少なかった女性や若者らは、防犯や子育て等々に関する地域住民のアイディアを報告しました。ワークショップ後は全住民向けのニュースペーパーを発行。さらに委員会は市長に向けて4回に渡り報告書を提出しました。その結果、岩沼市では住民との合意形成が早期になされ、住民の気持ちが充分に込められた復興まちづくりが進められています。

岩沼市まちづくり検討委員会ワークショップの様子
岩沼市まちづくり検討委員会ワークショップの様子


仕事づくりの例:アクセサリーづくりを通して浜の活気を取り戻す

宮城県漁協女性部連絡協議会では、震災前、水産物の地産地消推進活動、料理教室、海上ライフジャケットの着用推進運動などを実施していました。しかし震災後、多くの女性部員がやむなく内陸へ移住し退会する数も増え、県内に22か所あった支所の多くは活動停止状態となり、会費収入も激減しました。加えて、漁村から離れた仮設住宅での生活は、これまでのライフスタイルを大きく変化させ、多くの女性は閉じこもりがちになりました。これを危惧した女性部連絡協議会は、女性会メンバー同士のコミュニケーションの活性化、及び活動資金の確保のために、貝殻アクセサリー「わたつみ」の製作・販売を始めました。作業日には幅広い年代層の女性会メンバーが集会所に集い、浜の復興と生活について話し合いながら「わたつみ」を製作しています。この製作・販売を通して、活動休止状態であった地域の女性部の活動が取り戻されつつあります。

わたつみアクセサリー製作の様子(左)とピアスの完成品(右)
わたつみアクセサリー製作の様子(左)とピアスの完成品(右)


人材育成の例:復興に携わる若手女性リーダーの育成

公益財団法人せんだい男女共同参画財団は、ノルウェー王国からの拠出金による、復興に携わる女性の人材育成を目的とした「東日本大震災復興のための女性リーダーシップ基金」を設置しました。同基金は平成24年11月から平成28年9月の4年間に渡り、同財団、ノルウェー王国、仙台市の三者により締結されました。平成25年には、復興を担う若者リーダー育成をテーマに、被災地の女子大学生6名をノルウェー王国での研修事業に派遣、国内の男女平等社会づくりを推進する女性国会議員や学生の活動見学、意見交換会などを実施しました。また、子どもの権利擁護・監察のための独立行政機関、オスロ大学学生議会、性的少数派権利擁護団体を訪問。一人ひとりが住みやすいまちづくりを実現するために、各々の違いを認め合うこと、女性や若者の積極的な社会参画が重要であることを学び東北の地に戻りました。

ノルウェー女性国会議員との意見交換会での記念撮影の様子
ノルウェー女性国会議員との意見交換会での記念撮影の様子