「共同参画」2014年 9月号

「共同参画」2014年 9月号

連載 その3 女性首長から

「女性の積極的な登用による『鈴鹿のまちづくり』」
鈴鹿市長 末松 則子

鈴鹿市章


鈴鹿市は、恵まれた豊かな大地に自動車産業を中心とした製造業が発展し、農業と工業のバランスが取れた「緑の工都」です。自動車レースの最高峰「F1日本グランプリ」が開催されるモータースポーツの聖地として知られ、毎年たくさんの方が観戦に来られます。他にも伊勢型紙や鈴鹿墨といった伝統産業もあり、当市の豊富な地域資源を全国に発信すべく『さぁ、きっともっと鈴鹿。海あり、山あり、匠の技あり』をキャッチフレーズに、積極的にシティセールスを行っています。

私は、市長就任以来、女性の積極的な登用による『鈴鹿のまちづくり』に努めており、女性管理職員を市政の重要政策決定の場である行政経営会議に参画させるなど改革を進めています。また、審議会等における女性委員の登用率向上のため、各種委員の委嘱前には、担当課から男女共同参画課へ候補者名簿を提出し、必ず事前協議を行う仕組みをつくりました。目標値に達していない場合にはその理由を明記し、また必要に応じて男女共同参画課からアドバイスをしています。こうした仕組みにより、市役所全体で女性登用に積極的に取り組むという意識付けができ、平成22年度に26%であった登用率は、今年度は32.5%に達しました。今後も、登用率の低い分野での人材育成等を関係機関に働きかけながら、鈴鹿市男女共同参画基本計画の最終目標値40%の早期達成に向けて取り組んでいきます。

また、昨年度より内閣府男女共同参画会議監視専門調査会の委員を勤めておりますが、特に防災・復興ワーキングに携わる中で、防災分野における女性の参画が全国的に著しく少ない現状を目の当たりにし、まずは足元からと今年度防災部局への女性職員の増員を行いました。更に、災害時の避難生活や復興活動の中での女性の役割の重要性を鑑み、市防災会議の構成員を見直し、昨年度まで1名であった女性を10名と大幅に引き上げました。こうした女性の声を反映できる体制づくりを今後も積極的に進めていきます。

また、当市は製造業が多く女性従業員比率が低いため、指導的立場への女性登用がまだまだ進んでいない現状があります。しかし、今年2月に実施した市民意識調査の結果では、女性の職業への関わり方について『就労継続型』を支持する回答率が5年前の調査より大幅にアップしており、意識の高まりを実感しています。働く女性を支援するためには、子育て支援策の充実や企業全体でのワークライフバランス実現に向けた取組が重要であり、各種制度の周知や活用促進など、男女がともに制度を利用しやすい職場の風土づくりが肝要だと考えています。現在、平成28年度からの次期総合計画の策定に向け、検討を始めていますが、男女共同参画推進に拍車がかかるような施策を積極的に取り入れていきたいと考えます。

最後に、鈴鹿市は平成24年12月1日に市制施行70周年と男女共同参画センターの開設10周年の節目を記念して、男女共同参画都市宣言を行いました。宣言では、男女があらゆる分野において個性と能力を発揮でき、夢を持って暮らせるまち「鈴鹿」の実現を掲げています。この宣言に基づいて、真の男女共同参画社会の実現を目指し、一層取組を加速させていきます。

すえまつ・のりこ氏
すえまつ・のりこ/1970年生まれ/名古屋造形芸術短期大学卒業。2003年4月三重県議会議員初当選。2007年4月三重県議会議員二期目当選、教育警察常任委員会副委員長、環境森林農水商工委員長、防災農水商工常任委員長、地域経済活性化対策調査特別委員長を歴任。2011年5月鈴鹿市長に就任。2013年5月内閣府男女共同参画会議監視専門調査会専門委員就任。