「共同参画」2014年 6月号
巻頭言
昨年秋の国連総会における安倍総理演説は、国内外の女性のエンパワーメントを支援するという日本政府の積極的な姿勢に対して抜群の注目を浴びた。国際社会は、その内容に大きな期待をもち、成果を待っている。
国内の政策的位置づけは「成長戦略としての女性の活用」とされ、経済成長のための残された資源としての女性という観点が強い。高度経済成長時代、労働力不足を補うために、女性が家族役割を脅かさないような働き手として、また、雇用調整の安全弁的労働力として、既婚女性のパート労働が定着し始めた頃とは時代が違う。しかし、その頃以降の政策方針や制度設計において「女性=家族のケアの担い手、男性=家族の養い手」、「家族=ケア制度」「企業=生産制度」という役割分業を前提とする仕組みが変わらないので、専門職を含む女性の就業者が増加しても、男女の進路差や昇進格差、賃金格差の解消は先進諸国に追いつかない。
今回の戦略には、グローバル機関や企業のトップに就く女性の活躍や国際機関の報告などのデータの影響が大きい。重要なことは、経済効果や日本のジェンダー格差指標の順位を上げるためだけの方策ではなく、男女ともに生き方の選択ができる公正な社会を構築することである。国連で合意形成された男女平等の国際基準は、日本を含む国際社会の主張が組み込まれた基準であることを忘れてはならない。
上智大学名誉教授
国連ウィメン日本協会理事
目黒 依子
主な予定
6月 | 男女雇用機会均等月間(主唱:厚生労働省) |
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6月 | 男女共同参画白書公表 |
6月23日〜29日 | 男女共同参画週間(主唱:男女共同参画局推進本部) |
6月27日 | 男女共同参画社会づくりに向けての全国会議 |