「共同参画」2014年2月号

「共同参画」2014年2月号

連載 その2 女性首長から

平成27年度日本女性会議開催決定~倉敷から男女共同参画を発信~
倉敷市長 伊東 香織

倉敷市章


倉敷市は、岡山県南部に位置し、瀬戸内海に面し温暖な気候に恵まれた人口48万人余りの中核市です。市の中心には、江戸時代に幕府直轄領の物資の集積地「天領」として栄え、今でも白壁の屋敷、倉敷川沿いの柳並木などロマン薫る美観地区があり、南部には、瀬戸内海と瀬戸大橋が一瞥できる鷲羽山からの雄大な眺望など観光資源が豊富な市です。一方では水島コンビナート、玉島地区南部にも大手工業を有し、繊維のまち児島は国産ジーンズ発祥の地でジーンズ販売を行う店舗が並んだジーンズストリートがあるなど、産業分野でも恵まれています。

男女共同参画の分野では、倉敷市は平成12年の倉敷市男女共同参画都市宣言をはじめ、全国に先駆けた男女共同参画条例の制定、平成21年のDV防止基本計画の策定など、積極的な取り組みを行ってまいりました。しかし、いまだ男女共同参画はあまり進んでいるとはいえず、男女共同参画の実現のために取り組むべき施策として、育児の支援を行うための制度や保育施設を充実させるよう多くの市民が望んでいるというアンケート結果が出ています。私は、主に母親に負担がかかっている子育ての問題を解決することは男女共同参画社会の実現につながると考え、「子育てするなら倉敷でと言われるまち」を市長公約に挙げています。これを実現するため妊婦健診の公費負担回数を14回までに拡大し、入院・通院分に係る医療費の公費負担をこれまでの就学前から小学校6年生までに拡大するといった施策を行い、さらに待機児童解消に力を入れ、本年度の民間保育所2園の新設に続いて、来年度も3園の民間保育所新設を決定しました。今後は、保育の質の向上を目指して保育士の確保や資質向上に取り組んでまいります。また、学童保育の対象を小学校6年生までに拡大、さらに、乳幼児を対象とした親子が気軽に集える場所である、つどいの広場や地域子育て支援センター等の地域子育て支援拠点を市内に19か所設置するなど、子育てと仕事が両立できる環境の整備に努めてきました。男性に対し「はじめてパパの育児ガイド」を配布したり、子育てサロンや赤ちゃんの駅等の情報を載せた「子育てマップ」の配布など子育てを家族や地域で支えるための情報発信も積極的に行っています。このように私が女性の市長として男女共同参画の視点を持ちながら各種施策を行うことが、男女共同参画の推進に少しでも役にたてばと思っています。また、何よりも市民一人一人が、家庭、地域、職場など身近なところから男女共同参画を広げていくことが大切であると思っています。

このような思いの中、本市で男女共同参画を推進している団体を中心に日本女性会議を倉敷で、という気運が高まり、日本女性会議が平成27年度に倉敷市で開催されることが決定しました。この会議の開催を通じて増々本市の男女共同参画を推進し、男女共同参画社会実現のための飛躍のチャンスにしたいと考えております。また、本市の魅力を全国の皆さんにお伝えする機会でもありますので、男女共同参画を学び合うだけではなく、歴史ある町並みを楽しんでいただきますよう、実行委員会を立ち上げて充実した会議となり最大のおもてなしができますよう取り組んでおります。平成27年度秋、ぜひ倉敷の地へお越しください。

倉敷市長 伊東 香織
いとう・かおり/1966年生まれ。1990年東京大学法学部卒業。1993年ハーバード大学修士課程修了。1990年郵政省採用。総理府国際平和協力本部事務局参事官補佐、インターネット戦略企画室長補佐を経て2003年倉敷市総務局長、翌年倉敷市収入役、2007年総務省国際部多国間経済室長、2008年から倉敷市長就任。現在2期目。